花粉症と口腔内の意外な関係性
花粉症が原因で口内環境が悪化する?
鼻づまりによる口呼吸
花粉症で口内環境が悪くなってしまうのは「鼻づまり」と関係しています。花粉症の影響で鼻炎の症状が現れ、鼻がつまってしまうことで、鼻呼吸から口呼吸になります。口呼吸がクセになると、睡眠中も口で呼吸するようになってしまい、口腔内が乾燥することに……。すると、細菌の働きが活発になり、虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルが発生するリスクが高まります。
花粉症薬による唾液量の減少
花粉症の症状を抑える「花粉症薬」の副作用が口内環境の悪化に関わっている可能性もあります。花粉症薬を服用すると「唾液の量が減少する」という副作用が現れることがあるのです。唾液が減ると、唾液にそなわる殺菌力が低下し、虫歯や歯周病などにかかる恐れがあります。
口呼吸を治す3つの方法
習慣になってしまった口呼吸を治すには、次の3つの方法があります。
1.あいうべ体操
「あいうべ体操」は口呼吸から鼻呼吸へ治す方法のなかでもよく知られており、効果的な方法です。やり方はとても簡単。文字通り「あー」「いー」「うー」「べー」と大きく口を動かしながら発音するだけです。
最後の「ベー」では、顎の先端を舐めるようなイメージで舌を下のほうに突き出します。
・舌の位置が改善できる
・いびきが少なくなった
・口内炎ができにくくなった
・耳鳴りが少なくなった
あいうべ体操を行うと、口呼吸が鼻呼吸に変わるだけでなく、上記のようなさまざまな効果を期待できるのでぜひ実践してみてください。
2.口を塞ぐグッズ
あいうべ体操と並行して、睡眠時に「口を塞ぐグッズ」を使って口呼吸を治すのもおすすめです。一度、口呼吸から鼻呼吸に治っても、「日中は意識をしているから鼻呼吸ができているものの、睡眠中は無意識に口呼吸になってしまう」という方は少なくありません。
そこで、睡眠中に口を塞ぐグッズを使ってみてください。市販品の場合は、口に貼るテープが効果的です。寝る前に口にテープを貼るだけなので、とても簡単に改善できそうですね。
3.鼻孔拡張グッズ
あいうべ体操を行って口を塞ぐグッズを使ってみたけれど、効果が現れないという人は、「鼻孔拡張グッズ」がおすすめです。鼻孔を優しく広げて鼻呼吸を楽にする効果があり、鼻呼吸へシフトすることができます。また、いびきの軽減にもつながります。
唾液の量を増やす3つの方法
では、唾液の量を増やすにはどんなやり方があるのでしょう。3つご紹介いたします。
1.花粉症薬の服用をやめる
花粉症薬には唾液量を減少させる副作用があることを先ほどお伝えましたが、花粉症薬の服用をやめるという選択肢も考えうるのではないでしょうか。花粉症薬には「抗コリン作用」を持つ成分が含まれています。抗コリン作用は、簡単に言うと「副交感神経の働きを抑制する」というものです。
自律神経は副交感神経が優位に働くことでバランスをとっていますが、抗コリン作用の働きで副交感神経が抑制されると、交感神経が優位に立つことになり、唾液量の分泌が減少してしまいます。
こうした副作用は、花粉症薬の服用をやめればなくなります。しっかりと医師に相談して、あまりにも口が乾くようなら服用をストップしてみるのもよいでしょう。
2.ガムを噛む
さまざまな原因で唾液量が減少しているときに、手軽にできる方法が「ガムを噛む」というものです。花粉症薬の影響で唾液量が減少しているときにも効果的。咀嚼筋付近にある唾液腺を刺激することで唾液の分泌量を増やすことができますよ。
3.ポリフェノールを含むお茶類を避ける
花粉症薬を服用して唾液量の分泌が減少しているときには、口腔内が乾燥するので喉が乾くと思います。そんなときにはポリフェノールが含まれているお茶類の摂取はおすすめできません。ポリフェノールには唾液の分泌を抑制する効果があり、口内環境がさらに悪化してしまう可能性があるからです。花粉症薬の副作用を感じる場合は、ポリフェノールを含むお茶類の飲用を控えましょう。
花粉症の症状が現れたら、極力口を乾燥させないようにしましょう
このように、花粉症になると口内環境が悪化しやすく、特に乾燥することが原因で虫歯や歯周病になりやすくなります。花粉症の症状が現れた際は、今回紹介した方法を取り入れ、口内をなるべく乾燥させないようにしてください。また、あまりにも乾燥がひどい場合は速やかに受診して、医師に相談をすることをおすすめします。