粘膜が白くなったら要注意!白板症の特徴と口腔がんの可能性
白板症ってどんな病気?
白板症は口の中にできる粘膜疾患です。舌や歯ぐき、頬粘膜に現れやすく、一部が白っぽくなります。表面が平らなもの、凹凸のあるもの、しわのできているものなど、形は人によってさまざまです。痛みがないことがほとんどですが、症状が悪化して表面が赤くなると痛むことがあります。
主に50~70代の男性がかかりやすい病気で、発症率としては女性の約2倍と言われています。見た目は口内炎に似ている場合もありますが、口内炎が2週間ほどで治るのに対して、白板症は放置しても治ることはありません。
また、徐々に範囲が広がってくることもあります。白板症は生検(組織の一部を切除して顕微鏡で調べる検査)によって確実に診断できます。病変が広範囲に及ぶ場合は、数ヶ所に分けて生検する場合もあります。
白板症の原因とは
実は白板症の原因ははっきりとはわかっていません。そのため、具体的な予防対策がないのが現状のようです。ただし、次のようなことが白板症の誘因と考えられているので、心当たりのある場合は気をつけましょう。
継続的に化学的・物理的な刺激が与えられるケース
・タバコやアルコール、刺激性のある食品を摂取する機会が多い
・ブラッシングしすぎることによる擦過刺激
・サイズや形の合わない詰め物やインプラントが入っている
・いつも同じところばかり噛んでしまう
そのほかの誘因
・ビタミンAやビタミンBの不足
・カンジダ症
・高コレステリン血症
白板症の有効な治療法とは
白板症はその程度や範囲によって治療法が異なります。まずは診察してもらったうえで治療方法を選択していくことになるでしょう。ここでは治療法のなかでも代表的なものをいくつか紹介します。
刺激物を避ける
まずは白板症の誘因となる刺激物をできるだけ避けるようにします。特にタバコは発症に深く関わっていると言われているので、禁煙がマストです。合わない詰め物が入っていたり、虫歯や歯周病が進行していたりする場合は、適切な治療を行います。
薬物療法
白板症にはビタミンAが有効とされているので、ビタミンAを投与したうえで経過を観察する方法もあります。チガソンというカプセルを1日2~3回服用し、これを2~4週間続けます。
病変の切除
ビタミンAの投与で効果がみられない場合は、病変部分の外科的切除が行われます。また検査段階で病変のがん化が認められた場合などは、すぐに切除となることもあります。術後は機能障害が出ることもありますが、リハビリテーションでほとんど問題ないレベルの回復が見込めます。
白板症と口腔がんのリスク
口腔がんは体にできる“がん”の種類の1~3%を占めており、最近では増加傾向にあります。部位によって舌がん、口底がん、歯肉がんなどに分類されます。前述の通り、白板症は前がん病変といわれており、がん化するリスクがある病気です。白板症になった人の将来的な口腔がん化率は4.4~17.5%とされています。
特に舌に発生した白板症でイボ状のものや潰瘍になっているものの場合、口腔扁平上皮がんに進展する確率が高いといわれています。または、すでにがん化しているケースもあるため注意が必要です。
白板症の検査ではどのくらい“がん化”しやすいかということまで診断してもらえるので、早期発見のためにも早めに受診するようにしましょう。
白板症はとにかく早期発見が重要!
口腔がんのリスクもあることから、白板症は放置するととても危険な病気と言えます。口内炎と区別するために様子をみるのはいいかもしれませんが、ちょっとでもおかしいなと感じたら、ためらわず歯科医院や口腔外科を受診してください。
白板症の病変は範囲の狭いものから広いものまでさまざま。最初は痛みがなく気づきにくいこともあるので、毎日のお口のケアの時には口の中をすみずみまでチェックする習慣をつけておくといいでしょう。小さな変化を見逃さず、お口の健康をしっかり守りましょう。