舌の汚れ取りに歯ブラシ使用はNG?トラブルを防ぐ正しいケアの仕方とは
歯ブラシで歯をこすると舌が傷がつくので危険!?
自分の舌を鏡などでよ~く見てくると、舌の表面がボコボコとしているのがわかるはずです。舌の表面には、味を感じるための細胞がたくさんあります。それが肉眼でも確認できる「舌のボコボコ」の正体なのです。このボコボコは、「有郭乳頭」や「茸状乳頭」、「糸状乳頭」という、手の皮膚や顔の皮膚とはまったく異なる特殊な細胞で、消化器官の延長部分のため、手の皮膚や顔の皮膚よりも、胃の内部の構造と似ている部分でもあります。
これらの細胞は非常にデリケートで、ちょっとした刺激でも傷がついてしまいます。ましてや歯ブラシのように硬い物(歯)を磨くためにつくられたケアアイテムでは、こすることで目には見えない微細な傷がたくさんついてしまうのです。特に文字通り糸のような形状のとても細い細胞である「糸状乳頭」は傷がつきやすいため、歯ブラシでこすってしまうと大ダメージを負ってしまいます。
舌が傷つくことで起きる舌トラブル
舌に傷がついてしまうと、さまざまなトラブルが発生します。そのため、舌が汚れているからといってむやみに汚れを取ろうとするのではなく、トラブルが起こるリスクをあらかじめ理解しておきましょう。
トラブル1:口臭が悪化する
舌を歯ブラシでこすってしまう原因の1つに「舌苔(ぜったい)」の影響が挙げられます。舌苔は、口の中のバクテリアや食べかすなどが舌の表面に溜まったもので、口腔内環境が正常な人の場合は、唾液が舌苔を殺菌して人体の害にならない状態にして胃の中に運んでくれます。しかし、お口のケアが不十分だと舌苔が舌の表面に溜まりやすくなってしまうのです。
さらに歯ブラシで舌磨きをすることで、舌の「糸状乳頭」が傷つき、徐々にその細胞の形状が縦に長くなってしまいます。すると、舌苔が溜まりやすい舌になり、唾液だけでは舌苔を処理できなくなり、舌苔が溜まることで口臭の悪化が考えられます。
トラブル2:肺炎になる可能性が高まる
舌苔をケアする際にみなさんは、どのように歯ブラシを動かしているでしょうか。多くの方が上下に歯ブラシを動かしていると思いますが、歯ブラシが口の奥に入るときに、舌苔が口の奥に入り飲み込んでしまうことがあります。
舌苔を唾液で殺菌せずに飲み込んでしまうと、舌苔に棲みついているバクテリアなどが、肺に入り込み、肺炎を引き起こす可能性が高まります。こうした肺炎を誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)と言い、特に高齢者を注意すべき症状です。実際に高齢者が誤嚥性肺炎を発症した場合、命に関わることがあるので、十分な注意が必要になります。
舌専用ブラシで優しくケアしましょう
歯ブラシで舌をこするとかなりのダメージを負ってしまうこともあります。そこで大切なのは舌を正しくケアするということですが、正しいケア方法をご存知の方はどれくらいいるのでしょうか?歯の磨き方の指導は幼いろから親から受けているのでわかっても、舌のケア方法は同様ではないケースが多いでしょう。以下で舌の正しいケア方法について説明します。
ケア1:舌専用ブラシを使って洗う
歯ブラシで舌をこすると傷がついてしまうため、舌をきれいにしたい場合は、歯ブラシではなく舌専用のブラシを使用します。舌専用ブラシは歯ブラシよりも柔らかく舌が傷つきにくい素材でできているので、傷がつかないようにやさしくブラッシングを行うことが可能です。ドラッグストアなどで500円前後で手に入れられるので、気軽に始められるでしょう。
ケア2:舌苔が溜まりやすい朝方に洗う
睡眠中は唾液の分泌が制御され、必然的に舌が乾燥しやすく、舌苔がつきやすい状態になります。そのため、舌苔が多く舌についている朝方に舌の洗浄をすると効果的です。洗いすぎは禁物なので、夜の舌の洗浄は控えましょう。
ケア3:ブラシは上下に動かすのではなく奥から先端への一方通行
舌用のブラシを使っていても上下にブラシを動かしてしまうと、喉の奥に舌苔が入り込みやすいので、舌を洗う際は奥から先端への一方通行でブラシを動かしましょう。
ケア4:舌苔がある程度とれたら、一度ブラシを洗浄する
何度も舌苔を洗浄しているとブラシに舌苔のカスが溜まります。そのまま使用すると、この場合も喉の奥に入り込んでしまったり、飲み込んでしまったりする危険性があります。数回に一度は、ブラシ自体を洗浄するようにしましょう。
上手にケアすることで舌トラブルを防ぎましょう!
歯ブラシで舌をこすってしまうと、デリケートな舌にさまざまなトラブルが生じる危険性があります。普段歯ブラシで舌を洗っている人は多いかもしれませんが、トラブルを回避するためにも、歯ブラシで洗うのは控えて舌用ブラシに切り替えることをおすすめします。