お悩み相談
最近、歯槽膿漏という言葉が使われず、歯周病という言い方が一般的になってきているのはなぜですか?歯周病と歯槽膿漏の明確な違いはあるんですか?
「歯周病」も「歯槽膿漏」も同じ病気を指す言葉です。
「歯周病」という名前の方がより専門的、学問的な
響きがある言葉です。
学会など医療従事者の間ではまず「歯槽膿漏」という
言葉は使うことはありません。
例えば「むし歯」は専門家の間では「齲蝕(うしょく)」と
呼ぶのが普通ですが、患者様からすると「むし歯」の方が
より理解しやすいと思います。
そこで、「歯周病」について説明するときにあえて
「歯槽膿漏」という表現を使うことがあるのです。
最近ではテレビなどのメディアでもより専門的な
表現を好むようになってきたため、『歯周病』という
言葉が使われ始めて一般化してきました。
しかし歯周病という言葉自体は、歯科医学の中では
かなり昔から使われている言葉です。
歯周病専門医/福嶋太郎
- 福嶋歯科医院/福嶋 太郎
- 2017.11.25
歯周病は、細菌感染と感染に伴う炎症反応により歯周組織が破壊されていく病気です。
歯周病が進行すると、歯槽(歯が骨に植わっている部分)から膿が漏れ出すこともあります。
それは、歯周病の進行過程の中の一つの病態を表しているにすぎません。
歯周病がどういうものかわかっていなかった頃は、単純に病態を見て、歯槽膿漏と表現したのでしょう。
歯槽膿漏は、実は歯周病という病気が進行するとあらわれる症状のうちのひとつ。
だから、歯の周囲組織に起こる病気=歯周病 の方が病気を表現するのに適している。
病気のメカニズムの解明が進んで、表現する言葉がアップデートされた結果です。
- あらやしき歯科医院/嶋倉 史剛
- 2017.11.25