カナヅチで顎を殴られたような痛みが生じる「根尖性歯周炎」とは?
根尖性歯周炎の原因は?
根尖性歯周炎は歯周炎という病名から、歯周病菌(ジンジバリス菌)が原因だと考える方も多いかと思います。しかし、実は歯周炎という名前でも、炎症は虫歯菌(ミュータンス菌)が原因で起こるのです。虫歯は虫歯菌が糖分をエサに酸を発生させることで進行しますが、それを放置することで徐々に歯が溶けて内部の神経まで達します。虫歯に冒された神経は機能を果たせなくなるので、この時点で痛みが消えます。
そしてさらに症状が進行すると、歯根を通り過ぎ歯槽根と呼ばれる骨の部分に虫歯菌が進行。根の先(根尖)の周囲にある歯周組織にまで炎症が生じます。これが根尖性歯周炎の症状です。つまり、虫歯を放置し過ぎた結果、歯や歯ぐきが溶けてその下の骨まで達し、その周辺の歯周組織が痛んでいる状態だと言えます。
また、神経まで達した虫歯の治療を途中で放棄したり、治療中でも完治していない状態で期間を開けたりすることで、歯の根元に膿や菌が溜まり症状が起こります。そのため、きちんと虫歯の治療を完治させることが重要です。
根尖性歯周炎の症状は?
根尖性歯周炎は「慢性根尖性歯周炎」と「急性根尖性歯周炎」の2つのタイプに分かれていて、その種類により症状が異なります。慢性根尖性歯周炎の場合は、自覚症状が現れることはあまりなく、痛みが出ることもほとんどないと言われています。レントゲンにより偶然に発見されることが多いようです。
一方、急性根尖性歯周炎の場合は、ズキズキという痛みというよりも、ズッキーンという突発的な痛みが物を噛んだ瞬間に発生します。また、何も噛んでいない状態の場合は顎を動かすことが刺激になり、猛烈な痛みが伴います。その痛みは歯科に関する病の中でも最悪な痛みと言われていて、寝ることができない人も少なくないようです。いかに虫歯の放置が良くないかということがわかります。
根尖性歯周炎の治療方法
根尖性歯周炎はすでにかなり症状が進行してしまっている状態のため、自然治癒することはありません。そのため、必ず歯科医院で「根管治療」を受けましょう。根管治療は、歯の内部の歯髄という部分を特殊な薬剤で殺菌し、無菌状態にしたうえで再度感染しないように穴の開いている部分に蓋をするように詰め物をします。歯への治療はここまでです。
次に歯根に関しては、化膿している部分に対して膿を完全に出し切る治療になります。その後は、抗生物質を塗って炎症を抑えます。治療後に歯科医師から処方された薬を使い始めてから、完治までには約5日を要するようです。
根尖性歯周炎は早期発見・早期治療が大切
根尖性歯周炎は虫歯が進行し過ぎて歯根や歯ぐきを通り過ぎ、その下の歯槽根と呼ばれる部分にまで虫歯菌が進行することで歯周組織に強烈な痛みを発生させる病です。そのタイプには慢性と急性の2つのタイプがありますが、慢性の場合でも気づけば歯槽根まで達しており、急性に変わることも珍しくありません。定期的に歯科医院に足を運び歯のメンテナンスを行うことで、根尖性歯周炎のリスクを回避しましょう。
また、虫歯を見つけた場合にはすぐに治療を行うことが大切です。怖いからといって治療を怠るとさらにお口の状態が悪化し、後悔することになりかねません。そのため、早期発見・早期治療を心がけることが何より重要です。