料理の味がしない……!?あなたにも迫っているかもしれない味覚障害のリスク

2016.12.16 health小日向睦

日常に潜む味覚障害を生む行動

自分にはあまり関係ないと思いがちな味覚障害。でも、身近な行動が、味覚障害を招くことがあります。その原因となる行動を見ていきましょう。

野菜中心の生活

野菜中心の生活は、一見とても身体にいいような気がしますよね。しかし、食はバランスがとても大切。野菜は重要ですが、かといって野菜だけに偏った生活を長期間送ると、味覚障害になる可能性があるのです。味覚障害の原因のひとつに亜鉛不足が挙げられますが、亜鉛を多く含む野菜の大葉でさえ、100gあたり1.3mgほどしか含まれていません。それに比べ、肉類には亜鉛がとても多く含まれていて、ロースの赤肉ならば100gあたり6.4mgも含まれています。味覚障害にならないためには、適度にお肉も食べたほうがいいでしょう。

インスタント食品やジャンクフードの頻度が多い

亜鉛不足は、インスタント食品やジャンクフードばかりの食生活かでも起こります。これらの食品には添加物や脂質が大量に含まれていますが。亜鉛はごくわずかしか含まれていません。さらに、リン酸塩という成分を多く含んでいます。リン酸塩は、亜鉛の吸収を妨げる可能性があるため、長期的にインスタント食品やジャンクフードを摂ることで、味覚障害になることがあります。

長期間服用している薬がある

薬の中には、亜鉛キレート作用を持つ薬があります。亜鉛キレート作用とは、細胞が亜鉛を吸収するのを妨げる作用で、細胞の新陳代謝が悪くなり、舌の表面の味蕾という味を感じる器官のターンオーバーができなくなります。舌の代謝は非常に早く、約1週間で完全に新しい細胞に生まれ変わります。しかし、亜鉛が不足して代謝が行われなくなると、味を感じる味蕾が徐々に古くなるため、味覚障害になります。

事故に遭う

自発的な行動とは違いますが、味覚障害は事故に遭って頭部に外傷を負うことや、舌を噛み損傷することでも起こります。このように、細胞の損傷が原因で起こる味覚障害には、「味覚脱失」と「味覚減退」の2種類があります。味覚脱失は「甘味」、「塩味」、「酸味」、「苦み」のうちすべてを感じることができない場合。味覚減退は、これらのうち1種類を感じることができない場合です。

味覚障害の影響で起こる病

味覚障害は、味が分からなくなってしまいますが、中でも甘みを感じなくなることが多いと言われています。甘みが分からなくなってしまうと、いくら甘いものを食べても、まったく満足感を得られなくなり、つい食べ過ぎて糖尿病になるリスクが高くなります。

また、甘みの次に失いやすい味覚が塩味です。塩味の場合は塩分を摂りすぎることで、高血圧や動脈硬化などのリスクが高くなります。

味覚が回復するまでの期間は?

味覚障害は一度味覚を失うと、適切な治療を受けたとしても回復するまでに非常に時間がかかります。たとえば、亜鉛不足が原因で味覚を失った場合、半年~1年。薬の影響で味覚を失った場合、8~10ヶ月ほどかかります。

この期間中は何を食べても味が薄く感じてしまったり、まったく味を感じることができないという状態になるため、体重が極端に減少するという人もいるようです。

また、頭部の外傷や舌の損傷という原因で味覚を失った場合、外傷や損傷が回復したとしても、味覚の回復は期待できないことが多いのが実情です。

味覚障害になると食事がつまらなくなる

このように、味覚障害というのは普段送っている日常生活の影響で起こる可能性のあるとても厄介な病気です。また、一度味覚を失ってしまうと改善までにかなりの時間がかかり、味がしなくなるため、食事をしても満足ができなくなります。そのため、予防がとても大切になります。亜鉛不足が原因で起こることも多いため、まずは偏った食生活を送らないように気を付けることが、味覚障害を予防する一番の方法と言えるでしょう。

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