歯科口腔外科が必要な疾患と治療範囲とは?

2018.03.05 healthSUE

口腔外科とは

歯科治療

そもそも口腔外科とは、顎や口腔に現れた疾患に対して、主に外科的なアプローチを行う診療科です。外傷などの外科的疾患から口臭などの内科的疾患まで対象にしているため、治療範囲は非常に広くなります。日本では、全国の総合病院の15%ほどが口腔外科を設けています。

顎や口周りに疾患が現れるときの問題点は、食事をする、噛むなどの機能面だけではなく、審美面にも大きく影響が出るということです。口腔外科では、その面にも配慮しながら他の科とも協力して治療を進めていきます。

なお、口腔外科は歯科領域にも外科領域にもまたがる分野であるため、歯科医師または医師の免許があれば口腔外科に従事することができます。しかし、口腔領域は歯科とつながりが強い分野であることから口腔外科の医師は歯科医師として活躍する方が多いようです。

口腔外科の治療範囲

口腔外科は、非常に幅広い疾患を対象としています。口腔外科で扱う主な病気は以下の通りです。

・歯および歯周疾患(埋状歯、智歯周囲炎、歯の欠損症など)
・炎症(顎骨骨髄炎、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死など)
・顎顔面の外傷(打撲・脱臼・破折・嵌入など)
・良性腫瘍(エナメル上皮腫、角化嚢胞性歯原性腫瘍、歯牙腫など)
・悪性腫瘍(口腔癌、悪性黒色腫、悪性リンパ腫など)
・先天異常(舌強直症など)
・骨格性の不正咬合(顎変形症など)
・口腔粘膜疾患(口腔乾燥症、ウイルス性疾患など)
・嚢胞(のうほう)(歯根嚢胞、含歯性嚢胞、術後性上顎嚢胞、粘液嚢胞など)
・唾液腺の疾患(細菌性唾液腺炎、ウイルス性唾液腺炎、シェーグレン症候群など)
・神経性疾患(三叉神経痛、顔面神経麻痺など)
・顎関節の疾患(顎関節症、顎関節脱臼、顎関節強直症)
・舌痛症
・口臭症
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群
・手術、手技(抜歯、歯根端切除術、歯槽骨形成術、インプラントなど)

口腔外科の主な病気・症状

その1.良性腫瘍・悪性腫瘍

顎や口腔付近で発生した良性腫瘍や悪性腫瘍は、口腔外科の治療対象疾患です。悪性腫瘍とはいわゆる癌のことで、舌癌や腺癌、歯肉癌、口底癌、頬粘膜癌などの症例が多いとされています。

顎や口腔付近で腫瘍が発生すると、食べ物を噛んで飲み込んだりすることが難しくなるケースがあります。また、話をしたときの発声に影響が出ることもあるので、生活に支障を来すことが想定されるのです。そのため、手術にて腫瘍を切除した後には患部の形を整えるための機能的・形態的再建手術が行われる場合もあります。

その2.顎関節症

顎関節症とは「顎が痛む」「口が開けない」「口を開くとカクカクと音がする」などの症状が出る疾患で、軽度のものを含めると日本人の半数程度が経験する疾患だと言われています。特に女性の発症率は高く、これは女性が男性に比べて顎の骨格が小さく、筋肉量が少ないためだと考えられています。

顎関節症の多くは自然に治癒しますが、マッサージなどのセルフケアで改善しない場合には治療が必要になります。治療では鎮痛薬や筋弛緩薬が投与されますが、重症の場合には手術を行うこともあります。

その3.口腔粘膜疾患(ドライマウス)

口腔粘膜疾患に分類される疾患は多くありますが、その中でも高齢になると発症しやすいのが「口腔乾燥症(ドライマウス)」です。口腔乾燥症とはその名の通り口の中が乾燥する病気で、加齢による筋力の低下などが原因で唾液の分泌が不足することによって起こります。

また、服用している薬剤が原因で口腔乾燥症になることも。向精神薬や鎮痛剤、抗パーキンソン剤、降圧剤など、多くの薬に唾液分泌低下の副作用があります。

気軽に口腔外科の受診を

ここでは、歯科口腔外科の特徴および治療対象となっている疾患について紹介しました。口腔外科はどこにでもある診療科ではありませんが、大きな病院では口腔外科を設けているところもあります。顎関節症などを発症してしまったときには、気軽に口腔外科を受診してみてください。

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