歯科(口腔外科)における超音波検査の活用とは?
超音波検査のメリット
超音波検査は超音波を当て、その反響を画像・映像化するものです。この検査を行うことには、以下の3つのメリットがあります。
メリット1:放射線被ばくがない
レントゲン検査とは異なり、エックス線を使うことがありません。したがって放射線被ばくの心配がなく、妊娠中の方などでも安心して検査が受けられます。
メリット2:ストレスが少ない
超音波検査は体力を消耗したり、ストレスがかかったりすることがほとんどない検査です。体力に不安のあるお年寄りにも負担が少なく済みます。
メリット3:リアルタイムで状態を観察できる
超音波検査では、体の内部の状態をリアルタイムで観察できます。レントゲン写真に写りにくい筋肉や血管、脂肪などの組織の状態もよくわかることから、より緻密な検査が可能です。
超音波検査のデメリット
一方で、超音波検査には少なからずデメリットもあります。したがってすべての検査において有効であるわけではない点をあらかじめ理解しておきましょう。
デメリット1:超音波検査には向かない場所がある
超音波は骨や空気があると跳ね返されてしまい、そこから先にあるものを判別できない場合があります。つまり、骨の向こう側にある症状の検査や、肺や気管などの空気が含まれている臓器の検査には適しません。
デメリット2:超音波特有の影が生じる
超音波検査は、超音波の反響を捉えて画像や映像にする検査法です。この反響によっては、超音波検査特有の影が生じることがあります。たとえば、お口の中から頬に超音波検査を行うと、実際には何もない皮膚の向こう側にも何かあるように写ってしまいます。そのため、その影が病変によるものかどうかわかりにくい場合があります。
デメリット3:検査者の技術によって精度が変わる
CTやMRIなどのレントゲン検査では、患者さんを検査台に固定しますので、ほぼ同じ条件の写真が撮影できます。しかし超音波検査では、検査者の技術によって精度にバラつきが出てしまいます。
デメリット4:超音波検査だけではわからないこともある
超音波検査の結果をもとにした診断は、たとえ専門家であっても難しい場合があります。診断の精度を上げるためには、CTやMRIなど他の画像検査と組み合わせた検査が必要になることもあります。
歯科(口腔外科)における超音波検査の活用
最後に実際に歯科(口腔外科)の分野でどのように超音波検査が活用されているのかを紹介します。超音波検査を受けられる場合の参考にしてください。
活用1:唾液腺(だえきせん)の検査
唾液を作り出している組織を唾液腺といい、この唾液腺から導管を通してお口の中に唾液が供給されます。唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺があり、さまざまな病気のリスクがあります。超音波検査によって正確に症状を知ることができます。
活用2:リンパ節の検査
リンパ節は炎症や悪性腫瘍などが原因となり、腫れることがあります。超音波検査を行うと、リンパ節の状態やリンパ節への血液の流れ、血管の状態を確認できます。たとえば親知らずが化膿している場合、炎症によってリンパ節が腫れているのか、それとも悪性腫瘍が生じたことによってリンパ節が腫れているのかを見分ける際に、超音波検査が有効です。悪性リンパ腫の診断などにも活用されています。
活用3:顔面の炎症の検査
親知らずなどが化膿して、顔まで腫れてしまうケースがあります。こうした顔面の症状を詳しく調べる場合にも、超音波検査は有効です。
活用4:腫瘍(しゅよう)の検査
腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があり、お口にもいろいろな種類の腫瘍ができてしまうことがあります。超音波検査によって腫瘍が良性か悪性かが判断でき、分かりにくい腫瘍の大きさなども調べることもできます。
気になる症状は専門の医療機関で超音波検査の受診を
顔面の炎症やリンパ節の腫れ、腫瘍などが見られる場合、超音波検査による正確かつ緻密な検査を行うことがよくあります。そうした気になる症状がある方は、超音波検査の受けられる医療機関を探してみましょう。