お口の中だけじゃない！歯周病と全身疾患の関係とは？

歯周病と関係のある10種の全身疾患

歯周病は歯周病菌が歯ぐきの血管に入り込むと全身を循環し、さまざまな疾患と関係してきます。以下で紹介する10種の全身疾患と関わりがあるので、あらかじめ把握しておきましょう。

その1：糖尿病

糖尿病は、インスリンという血糖を下げる働きを持つホルモンが不足したり、ちゃんと作用しなくなったりすることで高血糖の状態が続く病気です。インスリンの働きが低下すると食べ物から分解された糖分ちゃんと吸収されず高血糖になり、心臓病、腎臓病などさまざまな病気も引き起こします。

糖尿病が原因で高血糖になると感染症にかかりやすく、歯周病菌にも感染しやすくなると言われています。また歯周病にかかり歯ぐきの中でつくられた物質がインスリンの働きを低下させ、糖尿病を悪化させる原因にもなるとも。いずれの病気も同時に治療しなければ改善されません。

その2：敗血症

敗血症は傷口などから細菌が血管に入り、全身に重い症状を引き起こす病気です。敗血症は糖尿病や腎臓疾患、血液疾患などの全身疾患にかかっていたり、何らかの理由で抵抗力が低下していたりするときにかかりやすくなります。歯周病菌が歯ぐきから血管に入り、全身の血管が歯周菌に侵され、敗血症が引き起こされます。

その3：心臓疾患

歯周病は心筋梗塞や狭心症などにも深く関係しており、歯周病を発症している人は心臓疾患の発生リスクが通常よりも高まります。血管に入った歯周病菌などが血流に乗って心臓に到着すると、冠動脈にプラーク(血管沈着物)が形成され、血管が塞がれることで心筋梗塞や狭心症といった心臓疾患を引き起こす原因になるからです。

その4：脳血管疾患

歯周病は脳梗塞などの脳血管疾患の原因にもなります。歯周病菌が血管に入りこみ、脳血管に入り込んだ際、血栓をつくり脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こします。

その5：誤嚥性肺炎

誤嚥性（ごえんせい）肺炎とは唾液中の細菌が誤って呼吸器に入り起こります。高齢者に多く見られる病気で、最悪の場合は死に至ることも。歯周病菌が正しく食道から胃へと流れていけば胃酸により滅菌されますが、誤って気道に入り込み肺に入れば誤嚥性肺炎を引き起こします。

誤嚥性肺炎の高齢者患者の多くから歯周病菌が見つかっていますが、正しく口腔ケアを行うことで発生率を下げることができます。

その6：骨粗しょう症

骨粗しょう症も歯周病と密接な関係にある病気です。骨粗しょう症は高齢者の特に女性に多く見られる病気ですが、カルシウム不足などにより骨密度が下がり、骨が骨折しやすくなります。骨粗しょう症になると顎の骨密度も低下するので、歯周病の進行スピードが速くなります。つまり骨粗しょう症は歯周病の進行を早め、重症化させる病気と言えるのです。

その7：早産・低体重出産

妊婦が歯周病にかかると早産や低体重出産などのリスクが通常に比べてはるかに高まります。妊娠中は女性ホルモンの関係やつわりにより歯磨きが十分にできないなどの理由から歯周病になりやすいという事情もあります。妊娠中の歯科検診は、生まれてくるお子さまの健康のためにも不可欠なのです。

その8：関節リュウマチ

関節リュウマチとは免疫反応の異常から来る関節炎で全身に影響を与える難病です。昔から関節リュウマチの患者に歯周病患者が多く、関節リュウマチと歯周病の相関性が言われています。

その9：腎臓病

歯周病によって糖尿病に罹患しやすくなりますが、糖尿病によって腎臓病が引き起こされることもあります。また腎臓病にかかると血液の免疫能力が下がり、歯周病の進行を早めるなど、腎臓病と歯周病は相関関係があります。カリフォルニア大学の研究では歯周病による慢性腎疾患のリスクは通常の4倍と言われています。

その10：メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームはリンゴ型肥満と動脈硬化の要因が2つ以上該当する状態であり、心疾患、糖尿病などの原因になることで知られています。心疾患や糖尿病は歯周病と関連があるので、歯周病の予防はメタボリックシンドロームの予防とも関連しています。

健康長寿のためにも歯周病の治療と予防を

歯周病と関係する全身疾患は数多くありますが、その多くが慢性化すると命に関わる病気であることに注意が必要です。つまり歯周病の治療と予防は、私たちの健康と長寿にためにも重要なことであることがおわかりいただけたと思います。

歯周病は、ある程度まで進行すると自然治癒することはありません。現在、歯ぐきから出血する、口臭が強い、歯がグラグラする……など、お口の中に異変を感じている方は、すぐにお近くの歯科医院へご相談ください。また、「最近、歯医者さんに行ってないなぁ……」という方も、定期検診の受診をおすすめします。

あわせて読みたい

レコメンド

関連記事