歯磨き中の出血……キケンな歯周病の初期症状とは

2017.11.17 health福本春香

見逃してはいけない歯周病の初期症状

歯周病は「サイレントディジーズ(沈黙の病気)」とも呼ばれており、その名の通り自覚症状がほとんどないまま静かに、そして少しずつ進行していきます。だからこそ、少しのサインを見逃すことなく、正しく対処していくことが重要です。重要なのは、毎日歯ぐきをチェックすること。もし次のような変化が見られた場合は、歯周病の可能性があります。

初期症状1:歯ぐきが腫れている

歯周病の初期段階である「歯肉炎」の症状の1つに、歯ぐきの炎症があります。特に疲れているときなどは歯周病菌に対する抵抗力が弱まっているため、腫れやすくなる傾向があります。歯ぐきがいつもより盛り上がっていないかどうか、歯磨きのタイミングでチェックしてみましょう。

初期症状2:歯ぐきが赤くなっている

通常、健康的な歯ぐきはキレイな薄いピンク色をしています。歯と歯ぐきの境目などが赤くなっている場合、細菌による炎症が起きていると考えられます。初期の段階では特に磨き残しがたまりやすい部分に症状が現れることが多く、歯周病が進行すると歯ぐき全体が赤くなってきます。

初期症状3:歯ぐきから出血がある

もっとも自覚しやすいのが、歯ぐきからの出血です。歯磨きのときに気づくことも多いですが、「ちょっと強く磨きすぎたかな」などと考えて放置してしまいがち。出血があるということは、その部分に炎症が起きて歯ぐきが弱っている証拠です。ちょっとした刺激で血が出るなら歯周病を疑う必要があります。

歯周病を放置するとどうなるの?

歯周病は初期(歯肉炎)から軽度歯周炎、中等度歯周炎、重度歯周炎へと徐々に進行していき、中等度より先は外科手術が必要になるケースが多くなります。

中等度歯周炎になると、炎症が起きている部分で歯と歯ぐきの間の溝がどんどん深くなり、歯周ポケットが形成されます。歯ぐきの腫れや出血が悪化し、口臭が強くなるというのが主な特徴。歯を支える骨が溶かされてしまうので、歯ぐきが下がって歯が長くなったように見えることもあります。

重度になると、歯周ポケットがさらに深くなって膿がたまったり、支えを失った歯が抜け落ちたりする場合も。そうなるともう手遅れで、義歯(入れ歯)やインプラントなどの補綴治療で対処するしか方法がなくなってしまうのです。

歯周病は、かなり進行しないと虫歯のように痛みを感じることがほとんどありません。そのため、気づかなかったり、「まだ大丈夫」と勘違いしてしまったりして治療が遅れてしまうケースがとても多いと言えます。いかに初期の段階で気づけるかが、将来のお口の健康を左右すると言えるでしょう。

初期段階で適切なケアをすれば、歯周病になった歯ぐきを健康な状態に戻すことができます。出血や腫れなどに気づいたら、できるだけ早く正しいケアを行いましょう。また、正しいケアを続けることは再発の予防にもつながります。

ケア方法1:歯ぐきの「中」までキレイにする

歯磨きのとき、どんなデンタルケアグッズを使用していますか?実は普通の3列歯ブラシ1本だけでは、どれだけしっかり磨いても歯周病の原因となる菌を取り除くことができないと考えられています。

歯と歯ぐきの間には、健康な状態でも1~2mmの溝があります。この部分にたまったプラークを、デンタルフロスでキレイにする必要があるのです。最初は出血があるかもしれませんが、怖がらずに毎日続けてみましょう。すると1週間ほどで出血は止まり、歯ぐきが引き締まってきます。口臭やお口のねばつきも改善できるのでおすすめです。

ケア方法2:定期的に歯科医院でクリーニングを受ける

歯ぐきの出血や腫れが起こりやすいのは、主にプラークがたまりやすい部分です。歯並びの乱れがある場合や変な癖がついて正しいブラッシングができていない場合は、いつも同じ部分に汚れ(磨き残し)がたまってしまいます。そうした汚れは、自分の力で取り除くことができません。

そのため、定期的に歯科医院でプロのクリーニングを受け、自分では取り除けない部分の汚れをキレイにしてもらうのが得策です。歯科医院の予防歯科では染め出し液などを用いて磨き残しが多い部分を指摘してもらえるので、その部分をセルフケアでも念入りに磨くようにしましょう。

ケア方法3:免疫力をアップさせる

歯周病は細菌を原因とする感染症なので、体に備わっている免疫力と密接に関係しています。風邪やインフルエンザなどと同じで、ストレスや疲労で体が弱っているとき(抵抗力がないとき)に“悪さ”をしやすくなるのです。

そのため、普段から生活習慣や食生活に気を配り、免疫力をアップさせておくことも大事な予防法の1つといえます。

歯周病は誰もがかかる恐れのある病気

歯周病は日本人の8割が罹患している、もしくは予備軍だと言われている、非常に身近な病気です。決して「自分は関係ない」と思わず、ケアを怠ることで自身も罹患する恐れがあることを意識しておくべきでしょう。とはいえ、正しいケア方法を知っておけば予防できる病気なので、必要以上に怖がることもありません。毎日のケアをしっかり行い、健康な歯と歯ぐきを守っていきましょう。

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