正しい舌のケア方法で手に入れる爽やかな吐息
舌の汚れとそのデメリットとは?
飲食をして歯が汚れるのと同様に、舌もそのたびに汚れていきます。舌の表面には細かい突起がたくさんあり、絨毯のようになっているので、そこに汚れが溜まってしまいがちです。
舌は肌と同様に定期的にターンオーバーするので自然に組織が生まれ変わったり、唾液による自浄作用があったりもするので、何もしなくてもある程度汚れが落ちます。しかし、もちろんこれだけでは不十分。完全に除去しきれなかった汚れはそのまま舌に残ってしまい、まるで白い苔のように溜まっていきます。これを「舌苔(ぜったい)」と言います。
舌苔はどんなに注意深くケアをしていても、ほとんどの人の舌に存在するものなので、多少舌が白くなっていても問題はありません。ところが、増えすぎると細菌繁殖の温床となり、虫歯や歯周病、口臭の原因となります。
また、舌苔のデメリットはこれだけではありません。舌苔が多すぎると舌の機能が鈍くなり、味覚にも悪影響を及ぼします。さらに飲食物と一緒に舌に溜まった細菌を飲み込んでしまうと肺炎など全身疾患を発症するリスクも高まります。だからこそ日常的に舌をケアする必要があるのです。
正しい舌のケア方法とは?
何気なく鏡で舌を見たとき、表面が白くなっていることに気づいてビックリした……という人は多いでしょう。しかし、慌てて自己流の方法で舌のケアを続けると、逆に悪化させたり他のトラブルを引き起こしたりしかねません。こちらでは正しい舌のケア方法を紹介しましょう。
ケア方法1:舌専用のブラシを使用する
舌の汚れを落とすために、歯ブラシで磨いているという人がいますが、これは代表的なNG行為です。歯ブラシの毛先は舌のざらざらとして細かい突起よりも太いため、歯ブラシではきれいに汚れを取り除くことができません。それどころか舌に傷をつけてしまったりする恐れもあります。舌の表面は粘膜なので、思った以上にデリケート。だから、舌のクリーニングには専用のブラシを使用するようにしましょう。
ケア方法2:舌ブラシは奥から前へ動かす
舌のクリーニングをはじめる前に、まず舌のどの部分に汚れが溜まっているのかを鏡で確認しましょう。そして、舌ブラシを舌の根元のほうから手前に向かって滑らせていきます。前後に動かすのはNGです。またこのとき、歯磨き粉や歯磨き剤などは使いません。舌ブラシを小まめに水道水で洗いながら舌磨きを行い、汚れが取れなくなったら完了。3~10ストロークほどを目安に行ってください。
ケア方法3:嘔吐反射を避けるため息を止める
歯ブラシを口に入れただけでも、吐き気がする……という方もいらっしゃるでしょう。そのため舌を磨くときにオエッと吐きそうになってしまう人もいて当然です。これは「嘔吐反射」と呼ばれる自然な現象であり、人によってはこの反射が強く現れることがあります。ブラシで舌をこするとどうしてもえづいてしまってケアしにくいという人は、ブラシを当てている数秒間だけ息を止めてみてください。これだけでもかなり嘔吐反射が抑えられるはずです。
舌をゴシゴシこするのはNG
汚れをしっかりと落とそうと思うと、つい力を入れてゴシゴシと磨いてしまいがちです。しかし、こうした行為によって舌に傷ができるとより舌苔が付着しやすくなってしまうそうです。さらに、強い刺激は舌癌のリスクを上げる原因にもなると言われています。
舌をケアするときにはブラシを優しく当てることが大切です。舌磨きのときにかける力は100gが適切だと言われており、これは想像するよりもかなり弱い力だと思ったほうがいいようです。自宅に計量器がある人は、ぜひ一度100gがどのくらいなのかを実際に確認してみてください。
舌のケアをする頻度・タイミング
舌はとてもデリケートな場所なので、歯磨きのように1日に何回も行う必要はありません。舌苔は、舌を守るためにある程度は必要なものであるため、除去しすぎると脳がまた急いで舌苔を作ろうとしてより早く舌苔が溜まるようになってしまいます。舌のクリーニングは、1日1回を目安に行うようにしましょう。
またケアを行うタイミングは、朝食前がおすすめ。なぜなら、寝ている間は唾液の分泌量が少なくなり、朝の口腔内は雑菌でいっぱいだからです。繁殖した菌を朝食と共に飲み込むことを避けるためにも、舌のケアは朝起きてすぐに行うようにしてください。
舌のケアは正しい方法で継続的に
舌のケアは口臭を改善するために大切なことですが、間違った方法でケアをしてしまうとむしろ状態を悪化させかねません。舌専用ブラシを使って、正しく行いましょう。気になる舌苔をきれいに取り除いて、爽やかな吐息を取り戻してくださいね。