口臭の原因になる臭い玉(膿栓)の正体と安全な取り除き方
臭い玉の正体は?
臭い玉は膿栓(のうせん)と呼ばれ、その正体は細菌の塊や白血球の死骸です。細菌やウイルスが口から侵入するとそれらを防ぐために扁桃(へんとう)から白血球などの免疫細胞が分泌されます。免疫細胞の攻撃によって菌やウイルスが残骸として残り、免疫細胞である白血球の残骸も加わります。これが食べ物のカスと絡み合って膿栓として口腔内に残ってしまうのです。
膿栓は1mm程度のものから小さな豆粒大のものまであり、扁桃の周りにあるくぼみに溜まります。口を大きく開けて見たときに、喉の奥に乳白色のつぶ状ものが見えるでしょう。そこから下水に例えられるような悪臭を放ちます。
普段から口呼吸をしている人や、緊張や薬の副作用によって口腔内が乾燥しやすくなるドライマウス、鼻水や鼻詰まりをともなう副鼻腔炎を患っている人は、とくに膿栓ができやすいと言われています。膿栓が溜まっているのは口臭の変化のほかにも、原因喉の奥に何か挟まっているような感覚で気づくことがあります。
臭い玉の安全な取り方
悪臭を放つ原因が膿栓だとわかれば、すぐに対策したいとお考えでしょう。そこで膿栓を安全に取り除くための方法を紹介します。
うがいでそっと洗い流す
ご自身で膿栓を除去する場合はうがいをするのがおすすめです。うがいが終わって水を吐き出す際にうまくいけば膿栓も一緒に取れる場合があります。うがいは洗面台など鏡越しに喉の奥が確認できる場所で行えば、膿栓が取れたかどうかを確認しやすくなるでしょう。
ただし、膿栓の位置や大きさによっては、うがいをしたからといって必ず取れるとは限りません。
耳鼻咽喉科で取ってもらう
病院で医師に取り除いてもらうのが確実で安全な方法です。耳鼻咽喉科での治療には、専用の洗浄管を使って扁桃腺に付着した膿栓を洗い流したり、ガラス製の吸引管によって吸い上げたりする方法があります。
健康保険が適用されるため、安価に治療を受けられます。膿栓の除去だけではなく予防法についても相談できるので、まずは耳鼻咽喉科で医師の診断を受けましょう。
やっちゃだめ!危険な臭い玉の取り方
インターネットなどで調べると「こうすれば臭い玉が取れた!」という方法がたくさん出てきますが、安易に真似をしないようにしましょう。危険をともなうものが多く、やわらかくデリケートな扁桃を傷つける恐れがあります。次のようなやり方によって、膿栓を無理やり除去するのは避けましょう。
綿棒で取る
市販の綿棒を使って1人でできる方法ですが、扁桃を傷つけて炎症を起こしてしまうリスクがあります。また、無理に押すと膿栓が扁桃の穴の奥に入り込んで逆に取りにくくなってしまう恐れもあるため、絶対に行わないでください。
シャワーの水圧で取る
シャワーを勢いよく出して口の中に当て、その水圧で吹き飛ばすという方法です。喉の奥に強い水圧がかかって吐き気をもよおしたり、多量の水を飲み込んで苦しくなったりする危険があります。
注射器の水で洗い流す
注射気に入れた水を押し出すことで、扁桃に付着した膿栓を洗浄する方法です。ただし、注射器はまっすぐな形状なので喉を傷つける可能性が非常に高く、出血の恐れもあるため避けましょう。
臭い玉を予防するために
膿栓は一度取り除いたとしても、何度もできてしまうことがあります。特に自分で無理やり取り除こうとすれば、余計に悪化させてしまいかねません。そのため、耳鼻咽喉科で安全に取り除いてもらったあとは、できるだけ膿栓が溜まりにくい生活を心がけるようにしましょう。膿栓ができにくくするには、次のような行動がおすすめです。
ほかの病気が原因になっていないか専門家に相談する
膿栓は慢性扁桃炎が原因でできることがあります。慢性扁桃炎とは、食事や唾液を飲み込む際に痛みを感じるほか、扁桃腺が腫れることで高熱が出ることもある病気です。慢性扁桃炎は合併症の原因にもなるため、扁桃腺に違和感があるなら耳鼻咽喉科や歯科医院で調べてもらいましょう。
うがいや歯磨きを見直す
そもそも膿栓ができる原因は細菌やウイルスの侵入によるものなので、口の中に入り込まないようにマスクをしたり、うがいなどで菌を洗い流したりするのも効果的です。
また、磨き残しがないようにブラッシング方法を見直すことも予防につながります。お口の中の環境をよくすることは膿栓だけではなく虫歯や歯周病の予防にもなるので、歯科医院で指導を受けて正しい方法で行いましょう。