食いしばりは全身に影響する!?適切な対処法って?
食いしばりの原因とは
食いしばりは咬筋(咀嚼するときに使われる筋肉)の緊張によって起こります。その原因は大きく分けると、噛み合わせなどの「物理的な要因」とストレスなどの「心理的な要因」に分けられます。
原因1:歯並び・噛み合わせ
歯並びや噛み合わせが乱れていると、強く噛むことで上下左右のバランスをとろうとし、食いしばりを起こしやすくなります。また、虫歯の痛みがある場合や詰め物が合っていない場合も食いしばりの原因になると考えられます。さらに食事の際にどちらか片方の歯ばかりで噛んでいると、その部分の筋肉が常に緊張してしまうため、食いしばりにつながることもあります。
原因2:ストレス・疲労
ストレスによって歯を食いしばっていると、それがクセになってしまう可能性があります。また過労や栄養不足、睡眠不足などで疲労がたまっているときにも無意識で歯を食いしばり、いつのまにか習慣化してしまうことも……。ストレスを溜めやすい人や我慢強い人、緊張しやすい人は特に注意しましょう。
食いしばりが引き起こすさまざまな症状
食いしばりは口腔内や顎にその人の体重に相当する力がかかると言われています。それによって全身にさまざまな不調を引き起こすのです。
症状1:歯が欠けたり、歯の根元が折れたりする
食いしばりを続けていると歯が欠けたり折れたりするほかに、知覚過敏や歯ぐきの腫れ、歯周病、歯肉炎、歯の詰め物・被せ物の欠損など、口腔内にさまざまな不具合を生じさせます。
症状2:顎関節症
食いしばりによって顎の関節を圧迫してしまうと、顎関節症の原因になります。顎に痛みを感じるようになったり、口を開けづらくなったり、カクカクと音が鳴ったりするようになると要注意です。
症状3:頭痛・耳鳴り
口腔からこめかみに至る筋肉が緊張している状態が続くため、頭痛や耳鳴り、目の奥の痛みなどを引き起こすことがあります。
症状4:肩こり・全身疲労
口腔内や顎の筋肉は肩に伸びているので、食いしばりが続くと肩こりの原因になります。重度の肩こりは全身疲労をはじめ、あらゆる不調の原因にもなりますので注意が必要です。
症状5:寝不足による体調不良
睡眠中に食いしばりをする人は眠りが浅く、睡眠障害や自律神経失調症を引き起こす場合もあります。
食いしばりの対処法
食いしばりを改善するには次のような方法がおすすめです。
対処法1:噛み合わせ・歯並びを調整する
噛み合わせや歯並びが乱れていたり、歯の詰め物や被せ物が合わなかったりする場合は、歯科医院を受診して適切な治療を受けましょう。
対処法2:ストレスや疲労を解消する
ストレスや疲労がたまっている方は、早寝早起きを心がけるなどして生活のリズムを整え、十分な睡眠と栄養をとるようにしましょう。ほかにもストレッチやウォーキングなどの簡単な運動を取り入れるなど、最適なストレス解消法を見つけましょう。
対処法3:枕の高さを調整する
枕が高すぎると顎が下がって食いしばりを起こしやすくなるので、枕の高さを調整してみましょう。また横向きに寝ると片側の顎に力が偏るため、なるべく仰向けに寝るように心がけてください。
対処法4:ボツリヌス菌注射を打つ
ボツリヌス菌注射は緊張した筋肉をほぐすことが可能なので、受けてみたい方はかかりつけの歯科医院に相談してみましょう。
対処法5:日ごろのクセを見直す
日中、何気なく食いしばりをしていないか注意を払い、日常的な習慣を見直してみましょう。特に頬杖は片側に力がかかってしまうため、控えてください。
就寝中の食いしばり対策にはナイトガードが有効
睡眠中の食いしばりは特に無意識に行われるので、なかなか改善しづらいもの。そこでおすすめなのが就寝時に装着するナイトガードです。ナイトガードとは硬いアクリル樹脂製のマウスピースのことで、上あごに装着します。就寝時に装着すると歯や顎に加わる力を緩和、分散してくれるので、食いしばりの症状を大きく和らげてくれます。
一般的なマウスピースはネットなどでも簡単に購入できますが、既製品をご自身の歯型に合わせるのは難しく、かえって症状を悪化させてしまうリスクもあります。ナイトガードは歯科医院で歯型を取って製作するので、安心して使うことができます。
適切な対処法で食いしばりの改善を
食いしばりには、さまざまな原因が考えられます。まずは原因を突きとめて適切な対処を行いましょう。原因がわからない場合や症状が深刻な場合は、お早めにかかりつけの歯科医院にご相談することをおすすめします。