見た目の異常がない舌の痛み・不快感「舌痛症(ぜっつうしょう)」とは!?
舌痛症の症状とは?
舌痛症とは、舌が感じる原因不明の痛みの総称です。お口全体の粘膜で発生する原因不明の痛みのことを、「バーニングマウス症候群」などと言いますが、舌痛症はその1つと考えられています。症状は、「舌のピリピリした痛みや不快感を1日2時間以上、なおかつそれを3ヶ月以上にわたって毎日繰り返すものの、原因が特定できない」というものであり、発症するとかなり辛いものがあるそうです。ちなみに数日間だけ舌がひりひり痛むくらいの場合は、舌痛症ではない可能性が高いと言えます。
気になる舌痛症の原因
残念ながらこの謎の舌の不調の原因はよくわかっていません。しかし、圧倒的に女性が多い点が特徴です。特に更年期を迎える45~55歳の女性に多い傾向があります。このことから、更年期障害や自律神経失調症、ホルモンバランスの異常などとの因果関係も考えられています。
また、ストレスを受けると症状が悪化することもあり、舌痛症の発症にストレスが影響している可能性は高いと考えられるでしょう。近年では、舌の感覚を司る神経、「舌神経」に原因があるのではないかという仮説も立てられています。この説によると、舌神経から枝分かれした末梢神経が何らかの原因で傷つけられ、それによって痛みが発生しているというものです。いくつかの諸説はありますが、いずれも明確にメカニズムが解明されていないのが現状になります。
何もしていないときに発症する?
舌痛症は舌に痛みを感じるにもかかわらず、炎症や傷、腫瘍などの異常は認められない点が特徴です。さらに血液検査でも異常な数値が現れることはないと言われています。発症のタイミングは1日のうちに変動があり、痛みを感じる時間帯とそうではない時間帯があります。食事中や何かに集中して取り組んでいる間、会話をしている間などは舌に痛みは生じないようです。しかし、何もしていないときやテレビをぼーっと眺めているとき、寝る前などによく発症する傾向にあります。
一般的にそれほど強い痛みではないことが多いようですが、ひどい場合は痛みのあまり仕事や日常生活に影響が出るというケースもあるようです。しかし、鎮痛剤を飲んでも、痛みが完全になくなることはないケースもあるようで、明確な対処法がない点が悩みどころ。ただし、痛みのあまりに眠れなくなるということは少なく、睡眠中に痛みによって目が覚めるケースはほとんどないと言われています。
舌痛症(ぜっつうしょう)の診療
舌痛症は、歯科口腔外科が専門の診療科になります。もし、ここまでにお伝えしたような症状が出ている場合は、歯科口腔外科を受診することをおすすめします。受診の際の主な治療方法は以下の通りです。
診療1:経過観察
舌痛症は、悪性の進行性の病気などとは異なります。軽度の症状の場合は、そのまま経過観察となることも多いようです。それでも気になる場合は、うがい薬が処方されることがあります。
診療2:処方薬による治療
舌痛症のお薬はすぐに効果が得られるものは少なく、数ヶ月単位の長期間の治療になることが多いようです。ストレスが症状を悪化することがあるため、ストレスの緩和と精神的な緊張状態の改善を目的として抗不安薬が処方される場合があります。
診療3:漢方薬による治療
舌痛症の治療に漢方薬が使われることもあります。漢方薬では、紫胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)や 紫朴湯(さいぼくとう)がよく投与されます。どちらも、「お口の中が粘つき苦いような感じ」や「喉の何かが仕える感じ」など、お口の違和感があるときに使われる漢方薬です。紫胡加竜骨牡蛎湯には、イライラするときや、ささいなことが気になって仕方がないときに、心を落ち着かせる作用が期待できます。紫朴湯には、沈んだ気持ちを落ち着かせたりする効果が期待できます。
まずはストレスフリーな生活を
今回紹介した舌痛症の症状は、主にストレスを感じている人が発症しています。そのため、心理的な不安要素があったり、ストレスに心当たりがあったりする場合は、まずその解決を目指すことが先決です。睡眠不足もストレスが溜まる1つの要因なので、生活習慣から見直すことをおすすめします。舌痛症は、治療法が確立されているわけではありませんが、症状が辛い場合は必ず医師の診断を受けるようにしましょう。