自力で治すのはNG!気になる歯並びは矯正治療で改善

2017.11.01 health福本春香

歯並びは自力で整えることはできない

私たちの歯は、年齢にかかわらず一定の力を加え続けることで少しずつ動かすことができます。矯正治療の場合、一般的に50~100gの力を加えることで1ヶ月に1㎜程度動かして正しい位置に戻します。矯正治療は歯科医院で受けるのが一般的ですが、「自力で歯並びを治した」という以下のような情報がネット上に掲載されているようです。

・受け口を治すため、手が空いているときに下顎を押し続けた
・すきっ歯を治すため、輪ゴムで歯を縛って何時間も固定した
・ステンレスの針金をカットし、矯正装置を自作して装着した
・3Dプリンターでマウスピースを作成し、装着した

これにはネットでも驚きの声があがりました。ネット上では歯や顎の骨を押すという方法が紹介されていることが多いようです。「自分でもできそう」と試したくなる人もいるかと思いますが、絶対にマネしないでください。素人が知識もないままムリヤリ矯正すれば深刻な歯のトラブルに発展しかねません。

自力で歯を動かすことのリスク

自力で歯並びを治そうとするのはなぜよくないのでしょうか。そもそも、歯並びは数㎜動いただけでも噛み合わせのバランスに影響が出るくらいデリケートなもの。自分で歯列矯正を行った場合、歯が抜けるなどの最悪の事態を招きかねません。

リスク1:歯が抜ける

日本人は歯根と呼ばれる歯の根っこが欧米人と比べて短いのが特徴です。そのため無理に力を加えると歯根を破壊してしまったり、歯が抜けてしまったりすることがあります。

リスク2:噛み合わせが悪化する

日本人の顎の骨格は欧米人と比べてとても華奢(きゃしゃ)で、噛む力が弱いといわれています。自力で矯正を行うと前歯の噛み合わせが悪くなり、前歯が上下に開いている「開咬」を引き起こすことがあります。

リスク3:歯根が露出する

日本人は歯の骨格が華奢な上、歯の頭部が大きいためガタガタの歯並びになりやすいといわれています。自力で歯を動かすと、歯ぐきや骨から歯根が露出するといったトラブルが起こる可能性があります。

こんな歯並びには矯正治療がおすすめ!

歯並びを整えることは見た目の美しさだけでなく、噛み合わせを正しく戻してストレスのない食事ができるようになります。歯並びに次のような特徴がある場合、自力で治そうとしたり放置したりせずに歯科医院で矯正治療を受けることをおすすめします。

・出っ歯
上顎の前歯が前方に出ている状態。顔の形や印象を変える大きな要因に。

・すきっ歯
歯と歯の間に隙間がある状態。食べ物が詰まりやすく、発声や発音にまで影響が出ることも。

・受け口
下顎の歯が前に出ている状態。上顎の歯が摩擦ですり減ってしまうことがあります。全体的に噛み合わせが悪くなります。

・開咬
奥歯を噛んだ時に上下の前歯が噛み合わない状態。常にぽかんと口が開いてしまいます。

歯並びを悪化させないために気をつけるべきこと

自己判断で歯を動かすことにはリスクが伴います。ただし、現状を維持し、歯並びを悪化させないために自身でできることはあります。日常生活の中で気をつけておくべきポイントを紹介します。

ポイント1:頬杖をつかない

何気なくやってしまいがちですが、成人の頭の重さは約5kgあると言われています。そのため、頬杖をついたり、片方の頬を下にしたりして寝るとかなりの負担がかかり、顎や歯の骨のゆがみにつながります。

ポイント2:口呼吸しない

ぽかんと口が開いたままになっていると、舌の位置が正しい場所に定まりません。すると常に下顎と舌が下がっている状態になり、上顎が狭くなるなど歯並びにも悪影響を及ぼしてしまいます。

ポイント3:片方の歯だけで噛まない

食事のときにいつも片方の歯だけで噛んでしまうと、片側ばかりに負担がかかり歯並びもずれてきます。また片方の口角だけ上がったり、ほうれい線が濃くなったりするリスクもあります。

ポイント4:唇を噛みしめない

唇をぎゅっと噛みしめる癖があると、歯に部分的に強い力が加わって歯並びが乱れる可能性が高くなります。ストレスがかかると出やすい癖なので、気持ちの変化があるときは気をつけるようにしてみてください。

どれもほんのささいな癖やしぐさから改善できるものばかりです。さっそく今日から意識してみてはいかがでしょうか。

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