舌が痛くなる原因は何?「舌痛症」の基礎知識を解説

2017.11.05 health福本春香

「舌痛症」ってなに?

舌痛症は、「原因不明の舌の痛み・しびれが出る病気」のことです。以前は舌痛症に対する情報が少なく、舌の痛みを訴えても「気のせいではないか」という扱われ方をすることが一般的でした。もちろん解決できる方法を提示してもらえるわけではないので、そういった場合は「ただ状態が良くなるのを待つ」しかなかったのです。

しかし、最近では舌痛症が「精神的要因による心身症の一種」として考えられるようになっています。

舌痛症を発症しやすい特徴とは

舌痛症を発症しやすいと考えられているのは、主に「几帳面・神経質な性格の人」「40代以上の女性」「精神的ストレスを抱えている人」と言われています。

3つの条件の共通点は、「心身症(=心理的な問題が大きく関与している身体疾患)になりやすい人」。心身症は、不安や緊張などの精神的なストレスや続くことによって発症したり悪化したりするとされています。ただし、心身症は神経症やうつ病などの精神障害とはまったくの別物です。混同しないようご注意ください。

舌痛症になってしまったらどうすればいい?

主な治療法は「抗うつ薬」の投与です。不安や不眠を併発する人も多いので、場合によっては同時に「抗不安薬」や「睡眠導入剤」などが処方されることもあります。

しかし、「舌が痛い」と感じる病気は舌痛症以外にもあるので、一概に「だから舌痛症だ」と判断できるわけではありません。では、どのように診断するのでしょうか?舌痛症の場合、「他の病気ではない」ということを確認することで「舌痛症である」と判断します。

以下では舌痛症に似た「他の病気」について少しだけ紹介します。これらに当てはまらないケースの多くは、「舌痛症」と考えてもよいでしょう。

慢性的な刺激による舌炎

歯の詰め物や被せ物をしている場合に起こる可能性があります。補綴物(ほてつぶつ)に突起があるとそれがたびたび舌に引っかかってしまい、刺激によって粘膜が悪化してしまうと「びらん」「潰瘍」などが生じる場合があります。

口腔乾燥症

いわゆる「ドライマウス」のことです。口の中が乾燥すると粘膜の保護作用を備えている唾液が少なくなるので、舌が傷つきやすくなります。ドライマウスの自覚がある場合は、口を閉じるように心がけたり、舌をよく動かして唾液を出したりするとよいですが、それでも気になる場合は歯科医院で治療することをおすすめします。

貧血(鉄欠乏性・悪性)

貧血には、鉄分の不足による貧血と萎縮性胃炎などで胃粘膜が収縮した場合に起こる貧血の2種類があります。どちらも悪化すると舌が痛くなるので、心当たりがある方は一度病院で受診されたほうがよいでしょう。

舌痛症の対処法・改善策

舌痛症の詳しい原因は、いまだ明らかになっていません。したがって、決まった治療方法もありません。しかし、「精神的にくるものが多い」という研究結果が出ていることもあり、まずは「ストレスをためない生活を心がける」というのが大切だと言えます。

とはいえ、現代人は常にストレスと隣り合わせ。もちろん、それだけでは治らない人もいます。そういったときは、ストレスを発散させたり軽減させたりすることを意識しましょう。旅行などで現在の生活から少し離れてみたり、趣味や好きなことにとことん没頭したり、体を動かして気を紛らわせたり……。そういった自分に合ったストレス発散法を見つけ、できることから始めてみてはいかがでしょうか。

舌が痛い場合、上記の他にも「亜鉛欠乏症」「口腔感染症」「神経痛」といった理由が考えられます。そのため、まずはお医者さんのもとで診断を受け、痛い理由を把握するのがよいでしょう。「薬を処方してもらうだけで安心する」という人も中にはいらっしゃいます。

「舌が痛いから」といって歯医者に行ったのに、精神科の受診をすすめられることがあるかもしれません。それは「精神的なものからくる舌痛」の可能性があるためです。疑わずに受診することをおすすめします。

舌が痛いと感じたら一度検診の受診を

少しでも舌痛症に当てはまる可能性があると感じた方は、一度検診に受けてみてはいかがでしょうか。

舌痛症の疑いがある場合は、お近くの大学病院の歯科口腔外科や大きめの医療機関での受診がおすすめです。自己判断をするのではなく、専門医にしっかりと診てもらい、早期発見・早期治療できるように心掛けましょう。

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