虫歯になりやすい?神経を抜いた歯の正しいケア
歯の神経の役割について
歯は表面にエナメル質、その内側に硬い象牙質があり、象牙質の内側に歯髄という部分があります。この歯髄の中には神経組織や毛細血管などが通っており、歯の神経を抜くということは歯髄を取り除くことになります。ここでは歯の神経や歯髄の役割について解説します。
役割1:歯に栄養を与える
歯髄の中に通っている毛細血管は歯に酸素や栄養を供給しています。これらの酸素や栄養が白くて硬い健康な歯を育んでいます。
役割2:虫歯を知らせてくれる
歯髄の中に通っている神経はさまざまな歯の異常を知らせてくれます。たとえば虫歯の初期症状がある場合には冷たい物や熱い物を口に入れると歯がしみたり、虫歯が進むと歯に痛みを感じたりします。このような症状があるなら放置せず、すぐに歯科医院に行きましょう。
役割3:歯を虫歯から守ってくれる
歯髄の中には免疫機能があり虫歯菌の侵入を防いだり象牙質を再生したりするなど、歯を虫歯菌などから守ってくれます。
役割4:食事を美味しく味わえる
神経も含めて健康な歯は食事の際に噛み心地など本来の味覚を味わうことができ、美味しい食事を楽しむことができます。
歯の神経を取ることによるデメリット
歯の神経を抜くことは歯髄を取り除くことになるので、歯にさまざまな悪影響を及ぼすことになります。
デメリット1:歯の強度が弱まる
歯の神経を取ると歯髄にある毛細血管などの組織も同時に取り除くことになります。神経組織も毛細血管などは決して再生されることはありません。それだけに歯に空気や栄養が行き届かなく、歯の強度が弱くなります。硬い物を食べた際に割れやすくなり、歯の寿命も短くなります。
デメリット2:歯が痛みを感じなくなる
神経を抜いた歯は痛みを感じなくなります。そのため詰め物や被せ物の下で再度虫歯になっても、なかなか気づくことができず、歯の異変に気がついたころには虫歯がかなり進行し、抜歯をせざるを得ないケースもあります。
デメリット3:虫歯が再発しやすい
歯髄には虫歯菌から歯を守る働きがありますが、歯の神経を抜いた後はこうした働きを失うので、虫歯になりなりやすくなります。
デメリット4:つやがなくなり黒ずんだりする
歯の神経を抜いた後は、歯に空気や栄養が行かなくなるので歯の象牙質が黒ずみ、きれいな白い歯からつやのない、黒褐色などに見えてしまいます。
デメリット5:歯ぐきが黒ずんでしまう
歯の神経を抜いた後に歯ぐきが黒ずんでしまうことがよくあります。これは歯の根が神経を抜いたことにより黒ずんでしまい、歯ぐきから透けることで、まるで黒ずんでいるように見えるのです。
神経を抜いた歯のケアの仕方
神経を抜いた後の歯は、虫歯になりやすくダメージを受けやすい状態にあります。そのため、神経を抜いた後の歯は健康な歯以上に日々のケアが重要になります。
ケア方法1:毎日のケアで良好な口内環境を保つ
毎日朝、晩としっかりと歯を磨き、口腔内環境を良好に保つことが何よりも大切です。歯ブラシは柔らかい物を選び、1ヶ所につき20回以上、優しくブラッシングし、歯垢を取り除いていきます。また歯間ブラシやフロスを使い歯と歯と歯ぐきの隙間の汚れもしっかりと落としていきましょう。
ケア方法2:正しい食習慣を
食習慣も口腔内環境に大きな影響を与えます。唾液には虫歯や歯周病を予防し、虫歯の初期症状を再石灰化によって修復する力などがありますが、食事中に良く噛むことで唾液の分泌が促されます。
こうしたことからもさまざまな食べ物をバランスよく、よく噛んで食べることは口腔内環境を良好に保つために効果的です。また虫歯菌は糖分を吸収して酸を出し虫歯をつくりだすので、甘い物はできるだけ控え、もし食べた場合はその後にできるだけ早めに歯を磨くようにしましょう。
ケア方法3:鼻呼吸をする
口呼吸を続けていると唾液の分泌量が減り口腔内環境が悪化し、虫歯の原因になります。唾液には虫歯予防や歯の再石灰化のほかに口腔内環境を中性化し歯の粘膜を保護する役割も持ちます。口呼吸は控え、唾液の分泌を促す鼻呼吸に努めるようにしましょう。
ケア方法4:定期的に歯医者さんで検診を受ける
神経を抜いた後の歯は痛みを感じなくなっているので、再度虫歯になっても悪化するまでなかなか気がつきません。そのため、歯医者さんでの定期検診を受け、虫歯になったとしても早期に発見し治療することがとても重要になります。
歯の神経を抜く必要をなくすためにも、日々のケアを大切に
歯の神経を抜いてしまうと歯に栄養が行かなくなり、再度虫歯になりやすいなどさまざまな悪影響が出てきます。毎日の歯のケアや歯医者さんで定期検診を受けるなど虫歯予防に心がけ、虫歯になっても初期の段階で発見し神経を抜かずに治療することが大切です。