オゾンの力を借りた虫歯治療「ヒール・オゾン」について

2017.09.08 healthReiko Okabe

ヒール・オゾンはどんな虫歯治療?

わたしたちが普段口にしている水道水は、安全性を確保するために塩素で消毒されています。オゾンという物質に強力な殺菌力があることは上述しましたが、ヒール・オゾンの殺菌力はこの塩素の約7倍。この高い殺菌力を利用して、虫歯になった部分に潜むほとんどの菌を殺菌する効果が期待できるとされています。

ヒール・オゾンの特徴

ほとんど削らない

一般的な虫歯治療では、タービンと呼ばれる専用の器具で虫歯菌に侵食されている部分を削ります。神経まで虫歯が達しているような重度の虫歯の場合は、神経ごと取り除く治療(根管治療)を行いますが、歯冠の大部分を削ってしまうということも多いでしょう。

しかし、ヒール・オゾンの場合はほとんど削ることなく治療が行えるため、虫歯が神経まで達していても神経を取り除かずに済む可能性があります。

痛みがほとんどない

一般的な虫歯治療で使用するタービンは、空気圧を利用して先端についているドリルを回転させて歯を削ります。歯とドリルとの摩擦が神経に伝わって鋭い痛みを感じることがあるため、苦手意識を感じている方も多いでしょう。

一方のヒール・オゾンは、最新器具なら約6mmの深さまでほとんど削らずに治療できます。歯を削らずに殺菌するので、タービンを使って重度の虫歯を治療するときのような痛みがほとんどありません。ヒール・オゾンでは麻酔を使わないので、麻酔注射時のチクッという痛みにも悩まされずに済みます。

象牙質の再石灰化を促す

普段の食生活の影響を受け、人の口腔内は酸性に偏りがちです。こういった環境では、虫歯が進行しやすくなります。しかし、オゾン・ヒールを歯に照射すると化学反応が起き、口腔内がアルカリ性に近くなるため、歯の再石灰化(失われたミネラル分を再び歯に吸収する作用)が促されて虫歯の影響を受けにくい“強い歯”に変わります。

虫歯の再発を高確率で防止できる

一度治療をして上から被せ物をしたにもかかわらず、その歯がまた虫歯になってしまった……という経験をしたことがある人は、少なくないでしょう。こうしたトラブルは、治療をした部分にまだ虫歯菌が残っていたり、歯と被せ物の隙間から虫歯菌が侵入したりして起こります。ヒール・オゾンなら約99%の虫歯を殺菌できるため、虫歯の再発防止に大きく貢献してくれます。

ヒール・オゾンの治療の流れ

1.クリーニング・深さの測定
はじめに、歯のクリーニングを行います。重曹入りの水を高圧で歯に吹きかけて汚れを吹き飛ばし、その後、オゾンが照射できる位置に虫歯があるかどうかを確かめるために、専用の器具を用いて虫歯の深さを測ります。

2.オゾンの照射
照射したオゾンが届く範囲に虫歯があった場合は、ヒール・オゾンの機器を用いてオゾンを照射し、虫歯菌を殺菌します。

3.再石灰化を促す薬剤の塗布
最後に再石灰化を促進させる薬剤を歯に塗布して治療は完了です。このとき塗布される薬剤にはフッ素などが含まれています。

オゾンによる虫歯治療に挑戦してみてはいかがでしょうか?

ほとんど歯質を削らず、麻酔も必要としないため、「削る虫歯治療」の際の痛みが苦手な人にはおすすめの治療法と言えるかもしれません。ただし、日本ではヒール・オゾンが医療機器として認可されておらず、すべての歯科医院がヒール・オゾンの治療を採用しているわけではありませんので、事前にしっかり確認したうえで「自分に合いそうだ」と思えたら取り組んでみてください。

あわせて読みたい

レコメンド

関連記事