妊婦さんは必読!妊娠中に歯科治療を受けるときの注意点

2018.04.12 healthSUE

大前提は医師に妊娠していることを伝えること

妊婦と歯医者

妊婦さんが医療機関にかかる際には、何かと注意が必要です。もっとも重要なポイントは、問診票に記すだけでなく、診療の前に口頭でもしっかりと妊娠していることを医師に伝えることです。特に、妊娠初期は薬の影響を一番受けやすい時期だと言われています。妊娠4週から7週までは薬の影響で奇形を起こしやすい「絶対過敏期」なので、できる限り薬の服用は避けましょう。妊娠の可能性がある場合も、十分に注意してください。この前提をもとに次はお薬について触れていきます。

抗菌薬・鎮痛薬

歯科治療を受けたときに処方される薬のほとんどは、抗菌薬あるいは鎮痛薬です。抗菌薬はできるだけ避けるのがベストですが、どうしても使用する必要がある場合は催奇形性(胎児に奇形を生じさせる作用)が少ないβ-ラクタム系、ペニシリン系、セフェム系などの薬剤が使用されます。
鎮痛薬は、安全性が高いと言われているアセトアミノフェンが処方されることが多いようです。スルピリン、アンチピリンなどのピリン系薬剤は催奇形性があるため妊婦には使用できません。
抗菌薬にしても鎮痛薬にしても、できるだけ安全性の高い薬を選んでもらうことが大切です。

麻酔

歯科治療で使用する麻酔のほとんどは治療する部分にのみかける局所麻酔薬です。妊婦に局所麻酔薬を投与して奇形児が生まれた報告は今のところないので、基本的には妊娠中に麻酔をしても問題はありません。しかし、前述した通り妊娠4週から7週までは薬に対して敏感に反応する絶対過敏期です。できればこの時期の麻酔は避けたほうがいいでしょう。
なお、麻酔薬の中には血管収縮剤のフェリプレシンが入っているものがあります。フェリプレシンには分娩促進作用があるので、妊娠中はフェリプレシンが入っていない麻酔薬を服用するようにしましょう。

レントゲン撮影

歯科医院で使用されるレントゲンでの医科のものと違ってごく部分的なもの。ですから被ばく量も少なく、妊娠中にレントゲン撮影をすることは問題ありません。むしろレントゲン撮影をせずに治療を開始するほうが危険なので、確実な治療を受けるためにもレントゲンはきちんと撮ってもらいましょう。
妊娠中であることがわかっていれば、歯科医師や歯科助手も腹部にレントゲンが照射しないように十分配慮してくれます。レントゲンの影響のリスクを最小限に留めるために鉛のエプロンをすれば、なお安心です。

仰臥(ぎょうが)位性低血圧症候群

妊娠後期になるとお腹の中ちゃんは大きくなり、子宮はかなりの重さになります。その状態で仰向けに寝転がると、脊柱の右側にある下大動脈を圧迫してしまうことによって低血圧状態に陥ってしまうことがあります。これが「仰臥(ぎょうが)位性低血圧症候群」です。
仰臥位性低血圧症候群の症状としては、頻脈、吐き気、嘔吐、冷や汗などが挙げられます。また、ひどいときには気絶することもあります。もちろん仰臥位性低血圧症候群になると赤ちゃんにも影響があり、この状態が長時間続くと赤ちゃんが低酸素状態になってしまいます。
そのため、妊娠後期に歯科治療を受けるときには体位に気をつける必要があります。万が一気分が悪くなったときには、すぐに左側を向いて横になるようにしてください。下大動脈の圧迫が解消されれば症状は速やかに解消されるので、焦らずに対応するようにしましょう。

妊娠中の歯科治療には十分な配慮を

マタニティ診療

結論から言えば、妊娠中でも歯科治療を受けることは可能です。しかし、普段とは違うリスクがあるということは言うまでもありません。妊娠初期は薬による影響が出るリスクがあり、妊娠後期は仰臥位性低血圧症候群になるリスクがあります。妊娠中に歯科治療をするときには、緊急時以外は体調が安定している妊娠中期(5~7ヶ月頃)に行うのがいいでしょう。
また、妊娠中に歯科治療を受けるときにはきちんと歯科医師に話をするようにしましょう。妊娠中だとわかっていれば、歯科医師も母体や赤ちゃんに影響が出ないように配慮をしながら治療をしてくれます。また、妊娠の可能性があるときにも念のため話をしてください。
もちろん、歯科治療の必要がないように普段からケアをしておくことも大切です。妊娠中は歯のトラブルが起こりやすいので、念入りにケアをしてくださいね。

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