妊婦さんにぜひ教えたい「妊娠中の虫歯対策・口腔内ケア」

2017.07.10 healthマユ

妊娠して虫歯が増えた!?

不安そうな妊婦

妊娠してから虫歯になる人の割合が多いことをご存知でしょうか。妊娠中はホルモンバランスの変化など、さまざまな原因によって、虫歯ができやすい体質になってしまっているのです。口腔内環境の変化など、代表的な原因は以下の通りです。

・ホルモンバランスの変化による唾液分泌量の低下
妊娠中はホルモンバランスが大きく変化し、その影響で唾液の分泌量が少なくなることがあります。唾液が持つ殺菌作用がうまく働かずに口内環境が悪化することで、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなってしまいます。

・つわりによる口腔内環境の悪化 
妊娠5~16週目にかけてつわりが始まると、ちょっとした刺激でも吐き気をもよおしてしまうため、毎食後のブラッシングが難しくなります。そのため、口腔内が不衛生になり虫歯菌の繁殖を招きます。また、一度に摂れる食事の量も少なくなり、回数を分けて食べるため、口腔内が長時間にわたって酸性になり、虫歯になりやすい口腔内環境を作ってしまうのです。

つわりがひどくて歯科医院に行けない…

口元を抑える妊婦

つわりがひどいと歯ブラシを口に入れるだけでも大変……。こんな状態では、虫歯になったとしても、とても歯科医院での治療は受けられないと感じている方も多いことでしょう。妊婦さんが歯科治療を受けるタイミングとしては、赤ちゃんと母体が安定している妊娠5~8ヶ月頃が適切です。このころまでにはほとんどの方のつわりが落ち着くため、治療を受けやすいタイミングといえます。

一方、歯科治療をおすすめできないタイミングは、妊娠初期と後期です。つわりがひどい妊娠初期の1~4ヶ月頃までは流産しやすく、治療で感じるストレスが母体に悪影響を及ぼす可能性があるため、この時期の歯科治療はなるべく避けましょう。また、妊娠後期である9ヶ月以降では早産のリスクが高まるため、歯の治療をすべきではないといえます。母体や胎児への影響を考えても、つらい時期に無理をして歯科治療を行う必要はありません。口腔内のセルフメンテナンスをして安定期を待ってから、歯科医院に行くことをおすすめします。

妊娠中の虫歯予防のためにも、口腔内に対してできる限りのセルフメンテナンスを行いましょう。つわりが始まったらブラッシングが無理でも、できるだけ口をすすぐなどして口腔内を清潔に保ちましょう。キシリトール入りのガムや、フッ素が配合された歯みがき粉を使うなど、虫歯菌の活動を抑制する働きが期待されるものの使用をおすすめします。できる対策を少し行うだけでも、虫歯感染のリスクを抑えることができるのです。

歯科治療を受ける妊婦

妊娠中に虫歯ができてしまった場合は、出産前に治療しておくことをおすすめします。虫歯の原因である虫歯菌は、キスや口移しで食事を与える際に唾液を介して大人から赤ちゃんに感染するケースがあるからです。それを「母子感染」といいます。とはいえ、スキンシップは赤ちゃんの健やかな発育にとって欠かせないもの。虫歯菌が移ってしまうからと気を遣いすぎては、せっかくの子育てを楽しめず、子どもの成長にも影響が出てしまうかもしれません。

そこで、妊娠中に虫歯を治療して口腔内の環境を整えておくことで、赤ちゃんとのスキンシップを気兼ねなく行えます。産後は育児に追われ、通院の時間もなかなかとれないことも多いので、大切な赤ちゃんのためにも、妊娠中の体が安定している時期にしっかりと虫歯を治療しておきましょう。

妊娠中の治療は本当に安心?

しかし、妊娠中に歯科治療を受けることに抵抗がある方も少なくないはず。母体にかかる負担や胎児への影響など、不安要素は尽きませんよね。でもご安心ください。多くの歯科医院では妊娠中の方でも安心して治療を受けられる体制を整えています。

たとえば、歯科用レントゲンのほとんどは医療用と比べて放射線による母体への影響が少なく、防護エプロンをまくことによって、胎児への影響はほとんどないといえます。また、歯科治療では患部に注射する局所麻酔を用いるため、胎児に影響を及ぼすことはありません。ただし、治療後に痛み止めを服用するのはなるべく避けたほうがいいため、担当の歯科医師に相談してみましょう。

通常の歯科治療であれば妊娠中の方でも問題なく受けることができます。不安点は歯科医師だけでなく、担当の産婦人科医にも相談してから、治療を受けることをおすすめします。

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