妊娠中に受ける歯科レントゲンの胎児への影響とは?

2018.03.29 healthSUE

胎児に影響が出る被ばく量

胎児に影響が出る可能性のある被ばく量は、妊娠週数によって異なり、影響の出方も異なってきます。妊娠8日目までは、放射線被ばくによって流産する可能性があります。さらに、影響が出る可能性がある被ばく量は100mGyと非常に低い数値です。ただし、妊娠8日目は、妊娠そのものに気づいている可能性はかなり低いと言えるでしょう。そのため、気づかないうちにレントゲン撮影を受けることもあるかもしれません。

お腹の中で胎児が成長していく過程において流産の可能性は低くなりますが、その代わりに放射線被ばくによって奇形児が生まれるリスクが生じると言われています。

放射線被ばくによって胎児に影響が生じる可能性が一番高いのは妊娠8日~3週の間で、わずか100mGyの放射線でも奇形児が生まれる可能性があります。この器官形成期が過ぎると、奇形児が生まれる可能性は低くなります。

次に妊娠中期に入ってから放射線被ばくをすると、精神遅滞や発育遅滞が生じることも。精神遅滞が起きやすいのが妊娠8~15週、発育遅滞が起きやすいのが妊娠16~25週で、どちらも閾値は100~200mGyです。

また、放射線被ばくをすると妊娠周期にかかわらず、人には癌のリスクが高まります。発癌リスクに関しては、子どもが被ばくした場合も胎児が被ばくした場合も同じだと考えられています。

レントゲンによる被ばく量

胎児に影響の出る被ばく量について説明しましたが、放射線の単位はあまり馴染みがないためピンとこないかもしれません。ここでは、医療機関でレントゲン撮影をしたときにどの程度の被ばく量になるのかを確認しましょう。

レントゲン撮影を1回行ったときの胎児の被ばく量は、胸部の場合は0.01mGy以下、腰部の場合は約1.7mGy、腹部の場合は約1.4mGy、骨盤の場合は約1.1mGyとなっています。この事実を踏まえると、レントゲンを数枚撮影したところで胎児に影響が出る可能性はほぼないと考えられます。

「放射線」と聞いて日常生活の中でまっさきにイメージするものでは、もっとも身近なのがレントゲン撮影ではないでしょうか。ゆえにレントゲン撮影による被ばくについて心配する人は少なくありませんが、私たちは普段からある程度の量の放射線を浴びています。飛行機に乗った時などは、レントゲン撮影をするときよりもずっと多くの量を被ばくします。妊娠中はあらゆることに気を配る必要がありますが、放射線被ばくについてはそれほど神経質になる必要はないと言えるでしょう。

妊娠中の歯科レントゲンの胎児への影響は?

歯科医院でレントゲン撮影をするときには、被ばくする箇所は当然ながらお口周りです。そのため、胎児が直接放射線被ばくを受けることはほぼないと言えます。さらに、妊婦さんがレントゲン撮影をするときには念のため鉛が挟まれた防護エプロンでおなかをガードします。歯科レントゲンによる胎児への影響はゼロに等しいと言えるでしょう。

被ばくの影響を気にしてレントゲン撮影をせずに歯科治療を行わないのであれば、そちらのほうがよほど危険です。安全で確実な歯科治療を受けるためにも、レントゲン撮影はきちんと行いましょう。

歯科レントゲン以外の注意点

妊娠中に歯科治療を受けるときには、いくつか注意すべき点があります。まず、妊娠中はできる限り薬を飲まないのがベストです。歯科で処方される抗菌薬や鎮痛薬は比較的安全だと言えますが、特に胎児が薬に対して敏感に反応する妊娠初期はできるだけ飲まないようにしましょう。

また、妊娠後期はお腹の中の胎児が大きくなっているため、重くなった子宮が血管を圧迫して低血圧に陥ってしまうことがあります。母体が低血圧になると胎児にも影響が出てしまうので、治療を受けるときの体位には十分に注意してください。

もちろん、事前に医師に告げておけば、しっかり対処してくれます。特にマタニティ歯科を強みにしている歯医者さんなら、安心です。

妊娠中の歯科レントゲンは問題なし

妊娠中に歯科レントゲンを受けても、それが胎児に影響する可能性はほとんどないと言えます。必要がある場合は、心配せずにレントゲンを撮影してもらってください。

ただし、前述したように妊娠中の歯科治療には他のリスクが伴います。妊娠中に治療が必要になったときには、できれば体調が安定している妊娠中期に行いましょう。

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