歯周病は早産の危険性を高める?大切な赤ちゃんを守るための口腔ケア
妊娠中の歯周病は早産の危険性を高める
歯周病は一見、歯や歯茎の病気で全身との関係性はないように思いますが、実は妊娠中に歯周病菌に感染していることで、早産のリスクが約7.5倍になることが最近の研究で明らかになっています。
その原因を理解するためには、陣痛が起こる仕組みから考える必要があります。
陣痛は、プロスタグランディンという物質が分泌されることで起こります。この物質は子宮収縮作用がある物質で、同じく体内で分泌されるサイトカインという物質の分泌に促されて増加します。つまりサイトカインが増えるとプロスタングランディンも増え、その結果、陣痛が引き起こされるのです。
このサイトカインという物質は、炎症が起きることで分泌される物質でもあります。歯周病で歯茎に炎症が起きている場合もサイトカインが分泌されるので、その結果、通常よりも子宮収縮が早く起こってしまい、早産を引き起こす可能性があります。
妊娠中は歯周病になりやすい
妊娠中に歯周病にかかると早産のリスクが高まるため、しっかりと予防をすることが大切です。なぜなら、妊娠中は歯周病になりやすい期間でもあるためです。
歯周病になる危険性が高まる原因は女性ホルモン。妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの分泌が盛んになります。歯周病菌は女性ホルモンにより増加することが分かっており、妊娠中に歯周病になってしまう人も少なくありません。
妊娠中の歯周病は、女性ホルモンの増加による一時的なもので、出産後に女性ホルモンの分泌が安定することで治ることもあると言われています。しかし、口腔ケアを疎かにしてしまうと症状が徐々に進行してしまうこともあるため、注意が必要です。
自分でできる歯周病対策
カラダの抵抗力を維持する
人のカラダには外部から侵入してくる異物の働きを沈静化する抵抗力、“免疫力”が備えられています。免疫力は健康状態に左右され、仕事が忙しくて休養を取れないときや、妊娠中のストレス過多の状態などに低下しがちです。
免疫力が低下すると歯周病菌の働きがよくなり、増加を早めてしまうことも。とくに妊娠中は、健康状態に気をつかいカラダの免疫力を維持することで、歯周病の発生を未然に防ぐことができます。
歯と歯茎の間を意識して磨く
歯と歯茎の間には歯周ポケットと呼ばれる溝のようなポケットがあります。この部分に歯垢が溜まると歯周病を引き起こしやすくなるため、普段から丁寧なブラッシングで歯周ポケットに溜まった汚れをかき出すことが重要です。
妊娠中はとくに丁寧に歯磨きを行い、なるべく口腔内を清潔な状態に保ちましょう。また、ブラシだけではなく歯間ブラシやデンタルフロスなどを使うのも効果的です。より多くの歯垢を除去することができます。
殺菌効果を持つマウスウォッシュで口内洗浄する
口腔内をより清潔な状態に保つために、殺菌効果のあるマウスウォッシュで口内洗浄を行う習慣を身につけることも大切です。
おすすめのマウスウォッシュはウエルテック製の“コンクールF”。グルコン酸クロルヘキシジンという殺菌剤が配合されています。真菌にも有効な殺菌剤が含まれているため、歯周病菌にも効果的。殺菌効果が長続きするため、きれいな口腔内を維持することができます。
早めに受診し歯周病を未然に防ぎましょう
歯周病が重症化すると、歯を失うだけでなく早産の危険性も高まるので、決して甘く見てはいけない病気です。妊娠中の人のなかには、レントゲンや麻酔など赤ちゃんに与える悪影響を気にするあまり、妊娠中は歯科医院を受診しない人がいるようですが、それは逆効果。妊娠中でも対応できる歯科医院やマタニティ歯科を行うところもありますので、早めの受診をおすすめします。