妊娠中にかかりやすいお口の病気とケアが不可欠な理由

2018.04.02 healthSUE

妊娠中にお口の病気になりやすい理由とは

妊娠すると女性ホルモンの量が急激に増え、その結果として唾液の粘性が高まります。そうすると唾液による自浄作用が弱くなり、お口の中を清潔に保ちにくくなります。
また、つわりによる嘔吐反射などで歯磨きが難しくなったり、食べ物の好みが変化したりするのもお口の病気になる原因になります。赤ちゃんが大きくなるにつれて食事の回数が増えると、さらにお口の病気のリスクは高まると言えるでしょう。

妊娠中になりやすいお口の病気

具体的に妊娠中に気をつけるべきお口の病気としては、虫歯、妊娠性歯周炎、妊娠性エプーリスなどが挙げられます。それぞれの危険性についてくわしく検証してみましょう。

かかりやすい病気1:虫歯

前述したように妊娠すると唾液の性状が変化するため、お口の中に菌が溜まりやすい状態になります。また、つわりで歯磨きができないことによってさらにお口の中の細菌が増えるので、虫歯のリスクが高まります。
なお、子どもが虫歯になる理由のほとんどは母親ら周囲の大人からの感染です。特に子どもとの接触機会の多い母親の場合、妊娠中に虫歯があると、生まれてきた子どもに虫歯菌を移してしまう可能性が高まると言えます。

かかりやすい病気2:妊娠性歯周炎

妊娠中にかかるお口の病気の中でもっとも危険なのは、妊娠性歯周炎です。妊娠性歯周炎とは妊娠中にかかる歯周病のことで、妊娠性歯周炎になると早産と低体重児出産のリスクが上昇することが明らかになっています。
北海道医療大学が行った疫学調査によると、妊娠性歯周炎の妊婦とそうでない妊婦では妊娠性歯周炎の妊婦のほうが早産の割合が5倍ほど高いという結果が出ています。また、海外の研究によると、妊娠性歯周炎の妊婦が低体重児出産をする確率はそうでない妊婦に比べて7倍だったとのことです。
妊娠性歯周炎による低体重児出産のリスクは、高齢出産や妊娠中の喫煙、アルコール摂取に比べてもはるかに高いと言われています。低体重出生児は合併症や後遺症が出やすいということが明らかになっているため、このリスクはできる限り避けなければいけません。

かかりやすい病気3:妊娠性エプーリス

妊娠性エプーリスとは、歯ぐきにできる良性のできもののことです。妊娠3ヶ月以降にできることが多く、その原因は女性ホルモンの増加など内的要因が大きいと言われています。
一般的に、エプーリスになったときには外科的に切り取ることが多いようです。しかし、妊娠性エプーリスは分娩後に自然消失することもあるので、たいていの場合は経過観察となります。

妊娠中にするべきお口のケア

妊娠中にはお口の病気を患いやすくなりますが、病気の発生メカニズムは変わりません。そのため、基本的な予防方法・ケア方法は普段と同じです。お口の病気になりやすいということを日頃から意識し、より丁寧なケアを心がけましょう。
つわりのときには歯磨きをしにくくなりますが、子ども用の小さな歯ブラシや柔らかい歯ブラシを使えば歯を磨きやすくなります。また、歯を磨くときにはできるだけ小刻みに歯ブラシを動かすようにしましょう。歯磨き粉を香料の強くないタイプに変えるのも効果的です。
どうしても歯磨きが難しいときには、水や洗口剤などを使ってうがいをしましょう。あまり無理をするとストレスになってしまうので、神経質になりすぎないようにしてください。気分がいいときにしっかりと歯磨きをすれば問題ありません。
また、しっかりと歯磨きできないときには食事に気を使うことも大切です。甘い物や酸性の食べ物は極力避けるようにしてください。

妊娠中は徹底したお口のケアを

妊娠中は、ホルモンバランスの変化や食生活の変化などによってお口の中の環境が悪化しがちです。しかし、ケアを怠ってお口の病気になってしまうと大切な赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまうこともあります。妊娠中は、いつも以上に徹底したお口のケアを心がけましょう。
つわりがひどい時期にはケアができないこともありますが、つわりが落ち着く妊娠中期にはしっかりとお口のケアに時間をかけるようにしてください。また、心配なときには歯科医師に相談するという方法もあります。元気な赤ちゃんを産むためにも、お口のケアは万全にするようにしてくださいね。

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