高齢者だけじゃない!嚥下障害の原因とは

2018.05.24 health福本春香

誰にでも起こりうる嚥下障害とは

食卓

そもそも嚥下障害とは、どういったトラブルなのでしょうか。私たちが普段食事をするときには、以下の流れを無意識に行っています。

① 食べ物を口に入れて噛む
② 舌で食べ物を喉のほうへ送る
③ 食べ物を喉の入り口から食道へ送る
④ 食道から胃へと送る

この中のどれか1でも正常に機能しなくなった状態を、嚥下障害と言います。自覚症状としては「うまく飲み込めない」「喉がゴロゴロする」「痰が増える」など、さまざまな兆候があります。

嚥下障害による問題はただ食事がスムーズにできないだけではありません。飲み込んだ物が誤って気管に入り込む誤嚥(ごえん)や、誤嚥による窒息、肺炎などのリスクも高くなってしまいます。

さらに食べることは多くの人にとって生きるうえでの楽しみの1つ。それが思うようにできなくなると、暮らしにおける意欲の低下につながる恐れもあります。それだけ嚥下機能というのは大切なものなのです。

嚥下障害になる原因

一体どんなことが原因で嚥下機能にトラブルが起きてしまうのか。その原因は主に次の3つに分類されます。

原因1:器質的な障害

嚥下に関わる口から胃までのいずれかが何らかの原因で変化し、食べ物の通過が妨げられることにより発生します。生まれつきという場合もありますが、多いのは口内炎や咽頭がんによる腫瘍など後天的な要因によるものです。

原因2:機能的な障害

器官そのものには問題はないけれど、それらを動かす筋肉や神経に問題が生じて嚥下機能が衰えます。脳梗塞の後遺症やパーキンソン病が原因となるケースが多いです。また加齢による筋力の低下が原因の場合も、この機能的な障害に当てはまります。向精神薬や鎮静剤などの薬剤の影響で、各器官の動きが低下することもあります。

原因3:心理的な障害

ストレスが原因で嚥下機能に何らかの障害が出てしまうケース。神経性食欲不振などの摂食障害、うつ病などによる嚥下困難など、さまざまな原因があります。また、胃潰瘍や胃腸炎などの心身症による吐き気や胸焼けも、心理的な嚥下障害を引き起こす原因になります。

日常生活でできる予防法

エクスクラメーションマーク 

いつどんな病気になるかは誰にも予想ができないし、どんなに若くてもストレス社会の中で嚥下障害を起こしてしまう可能性もあります。そこで、日常生活でできる食事中に気をつけたほうがいいことをいくつか紹介します。

・イスに深く腰掛けて正しい姿勢で食べる
・テレビやスマホを見ながらの「ながら食べ」はやめる
・急がずにゆっくり噛んで食べる
・肉など飲み込みにくい物は小さく切って食べる
・口の中の物を飲み込んでから次の食べ物を入れる

こういった一見すると当たり前のような食事の癖をつけておくことで、たとえ嚥下障害になっても誤嚥などのリスクを減らせます。食事の時に少しだけ意識してみてくださいね。

嚥下機能を鍛える予防体操

肩をもむ女性

嚥下障害の方のリハビリにも使われている体操についても紹介します。機能回復だけでなく予防にもなるので、日常的に行うことで嚥下機能をしっかり鍛えることができます。テレビを見たり読書をしたりしながらできる簡単なものなので、ぜひ試してみてください。

その1:首の体操

①首だけでゆっくりと後ろを振り返る。左右2回ずつ。
②首を左右に2回ずつ倒す。
③首をゆっくり回す。左右2回ずつ。

その2:口の体操

① 口を大きく開けたあとぎゅっと閉じて奥歯を噛みしめる
② 唇を「う」の形にとがらせる
③ 「いー」と言いながら口を真横に開く
④ これを3回繰り返す

その3:舌の体操

①口を大きく開け舌をできるだけ前に突き出す
②上唇を3往復なめる
③唇の両端を3回ずつなめる

その4:呼吸トレーニング

ヨガなどでも行われる腹式呼吸を心がけると、呼吸機能が高まり食べ物が気管に入った場合でも排出しやすくなります。腹式呼吸はまずお腹がへこむまで息を吐き出し、ゆっくりお腹を膨らませるように息を吸い込みます。寝る前などにこれを繰り返すと、リラックス効果もありおすすめです。

嚥下障害のリスクを踏まえ日々の習慣から改善を

年齢が若いと「嚥下障害など自分には関係ない」と思いがちですが、そうしたリスクは誰にでもあります。これからも長期間にわたり食事を楽しめるよう、嚥下機能について少し意識しましょう。そして、予防体操などを取り入れて日々の生活習慣を見直すことが大切です。

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