インプラント周囲炎予防に!デンタルフロス習慣はじめました~実録“インプラント女子”第9話~

2018.06.05 healthHa・no・ne編集部 RIKA

なぜ?インプラントの周りに汚れが溜まりやすい理由

解説図

上の図は私が聞いた歯科衛生士さんの話をもとに、インプラントと歯ぐきの関係を簡略化して描いたものです。インプラントに上部構造を装着すると、天然歯と同じように物を噛むことができるようになりますが、パーツの構造上、どうしても歯ぐきと上部構造(人工歯)の間にわずかな隙間ができてしまいます。“インプラント周囲炎”を予防するためには、その隙間にもデンタルフロスを通して、汚れをかき出す必要があるとのことです。

“インプラント周囲炎”とは、インプラントの周りに歯垢や汚れが溜まることで引き起こされる、歯ぐきや骨の炎症のこと。天然歯でいう歯周病と同様、歯ぐきの腫れや出血、痛みといった症状があり、重度になるとインプラントが抜け落ちてしまう、インプラント治療を受けた人がもっとも注意すべき病気の1つです。

※インプラント周囲炎にかからないためのケアの詳細については、こちらの記事をご覧ください。

私は仮歯を装着した当日に歯科医院でデンタルフロスの使い方を教えてもらってはいましたが、自分のデンタルフロスを持っていなかったので、近所のドラッグストアでデンタルフロスを選ぶことから始めました。

ワックスって何?初めてのデンタルフロス選び

デンタルフロス

ドラッグストアのオーラルケアコーナーにはさまざまなタイプのデンタルフロスが売られています。持ち手がついた糸ようじや、ピック状の歯間ブラシもありましたが、上部構造の下の汚れを取るには細い繊維でできたデンタルフロスが適任だろうと考え、いろいろなデンタルフロスを見比べてみることに……。

デンタルフロス選びで最初にぶち当たった壁は「WAX」「UNWAX」という表示です。要はデンタルフロスの表面にワックスが塗ってあるか、塗っていないかの違いなのですが、使用感の違いは想像するしかありません。商品数はどちらかというと「ワックスあり」のほうが多かったのですが、ワックスなしのほうが摩擦力で強力に汚れを取ってくれそうな気がしたので、今回はワックスなしのタイプを購入してみました。

ワックスありのデンタルフロスは滑りがいいので、歯と歯の間に入れやすく初心者でも使いやすいといいます。そんなこととはつゆ知らず、初めからガテン系のデンタルフロスに手を出してしまった私は、案の状その扱いにくさに苦労することに……。ちなみにお値段はワックスありでもなしでも一緒です。ミントフレーバー付きなどの進化系フロスは、今使っているフロスを買い替える際に試してみたいと思います。

デンタルフロス1週目 毎晩血が出るのはナゼ?

出血

仮歯を装着したその夜から、デンタルフロスとの戦いが始まりました。まず、容器からデンタルフロスを40センチほど取り出して切り離し、おそるおそる両手の中指に巻きつけます。指と指の間隔は10センチ程度にしておき、両手の親指と人差し指でフロスをつまんで準備完了。この時点で両指の間隔は1~2センチほどになっています。

上の歯にフロスを使うときは、フロスを巻いたそれぞれの指を歯の内側と外側に回し、フロスを前後に動かしながら歯ぐきまでゆっくりと引き下げるだけ。文章にすると簡単そうですが、これが結構難しいんですよ!

まず、右上5番の歯は鏡でギリギリ見えるかどうかの位置にあるので、フロスを入れるべきポジションが見にくいという難点があります。また、狭い口の中で指先を器用に動かすのは至難の業。先ほど、フロスの長さは40センチといいましたが、私は「少し短めに切っても問題ないだろう(早く使い切らそうとするメーカーの策略には乗らんぞ)」と実際はそれより10センチほどケチっていたので、途中で指に絡めたフロスが緩み、何度も巻きなおしました。

そして、もっとも苦手意識を持ったのは、フロスを歯ぐき方向に下ろす瞬間です。歯と歯の間の狭い部分に、力を込めてフロスを通すと、ピンと張ったフロスが歯ぐきに直撃し、初日はフロスを通したほとんどの箇所から出血してしまいました。一度出血した箇所はデンタルフロスを通すこと自体が怖くなり、今後毎日これをやるのかと思うと憂鬱な気分に。確かに汚れは落ちますが、「ここまでしなきゃダメ?」という疑問も浮かびました。

デンタルフロス3週目 やっと慣れたデンタルフロス!そのコツは……?

フロス使用

悪戦苦闘しながらも、フロスを使い始めてから3週間もするとやっと動かし方のコツをつかみ、出血することも減りました。フロスによる出血は使い始めの時期によくあることで、フロスで歯ぐきに溜まっていた悪い血液を排出していくうちに、歯ぐきの腫れが引いて血が出なくなるそうです。出血する期間を乗り切れば何も怖くないので、これからフロス習慣を始める人は最初の1ヶ月だけ我慢しましょう。

私がデンタルフロス習慣を始めてから、今までに習得したコツは
1.フロスをケチらないで長めに取り出す
2.指と指の間は短めにした方が操作しやすい
3.フロスの通りにくいところはのこぎりのように横方向に動かす
4.出血しても悲観しない
の4点です。

それに加えて、「自分に合ったデンタルフロスを選ぶこと」「痛みや出血がひどい場合は歯科医院に相談すること」の2点を徹底すれば、歯周病やインプラント歯周炎の予防をしっかり行うことができるでしょう。インプラント治療を受けた人は、デンタルフロスなどのケア用品と一生の付き合いになるので、最初に正しい使い方をマスターして、楽しくケアを続けたいものですね。

余談ですが、ハノジョのキヨ子さんがミントワックス付きの糸ようじを紹介していたので、デンタルフロス選びで迷っている方はぜひ参考にしてみてください

さて、記念すべき連載第10回目となる次回では、仮歯を外して、いよいよセラミッククラウンを装着する様子をお伝えします。トピックは「やっと迎えた対面の日」「仮歯とセラミッククラウンの違い」「セラミッククラウンの見た目」の3つです。次回更新をお楽しみに~!

【実録“インプラント女子”過去記事はこちら】
第1話 私の永久歯が根元からぱっくり割れた経緯
第2話 抜歯になるかも……そんな時に選ぶべき歯科医院
第3話 抜歯後に歯科医院で提示される3つの選択肢と心の声
第4話 抜歯後の生活で感じた困難と推奨される対策
第5話 怖い!逃げたい!初めてづくしのインプラント埋入手術
第6話 鼻血・禁煙・カード払い!経験者が語るインプラントの裏話
第7話 意外とアッサリ!?インプラント治療「2回法」のアバットメント連結手術
第8話 アバットメントに「仮歯」を装着!その噛み心地は?

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【ライター紹介】 RIKA

RIKA

Ha·no·ne編集部でもっとも歯に悩みを抱えるライター。小学生時代に上下の顎の噛み合わせが逆である「不正咬合」であることが判明したのを皮切りに、乳歯が生え替わる際に必要な永久歯が生えない「先天性欠損」や慢性的に冷たい物が歯にしみる「知覚過敏」など数々の困難を経験。2017年春には25歳にして永久歯を1本失った。そんな“口運”に見放された悲劇のヒロインとしての物語を「実録!インプラント女子」にてありのままに綴っている。予防歯科や矯正治療の重要性を世の中に発信したいという気持ちは、当然ながら“ノンフィクション”だ。

Twitter:香取さとり【文筆業】
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