鼻血・禁煙・カード払い!経験者が語るインプラントの裏話~実録“インプラント女子”第6話~
手術後は安静に!上顎手術の鼻血リスク
2017年8月8日。15時半から始まったインプラント埋入手術は麻酔などの準備を含め1時間程度で終了し、16時半には歯科医院を出ることができました。切開した歯ぐきは手術糸(時間が経てば自然に溶ける)で完全にふさがれ、麻酔も効いており、この時点ではどこにも痛みを感じません。私は手術の恐怖に耐えた自分にご褒美を与えたくなり、親友を誘っていつもよりリッチなディナーに行くことにしました。手術した右側の歯で噛みさえしなければ、食事はいつも通りでよいとのことです。
ご褒美にと選んだのはイタリアンレストラン。アツアツのピザやパスタを食べるのですが、右側の歯が使えないのでなかなか食事が進みません。「口に入る食べ物の量も半分になるし、左頬の内側にずっと食べ物が触れ続けるから、熱いものを冷まして食べなきゃいけないのがとても不便!」と訴えると、友人は「かわいそう!」と同情してくれました。その一言で私はやさぐれモードに入ってしまい、愚痴の内容も歯ぐきに限らずヒートアップ……。
恋愛や人間関係の悩みなどを語り合ううち、体内の血液循環が活発になってしまったのでしょうか? 右の鼻に違和感を覚え、「ヤバイ!」と思ったときにはすでに手遅れ。「手術当日は鼻血が出やすいので安静に」という先生の忠告を他人事だと思い込んでいた私に突きつけられたのは、自分も例外ではなかったという現実でした。
右の鼻にティッシュを詰めると3分ほどで鼻血は止まりましたが、その後、家に帰って横になったら、再度鼻血が出てきました。上顎にインプラントを埋め込む手術をすると、手術後にしばらくしてから鼻血が出ることがあるそうです。
私のような経験をしたくない方は、手術後に強く鼻をかむことは避け、鼻にこもるようなくしゃみに気をつけましょう。アルコールの摂取や、血液の循環がよくなるようなことは厳禁です。手術当日は痛みがなくても安静にしておきましょう。鼻血が止まらないなどの異常があるときは、歯科医院に連絡してくださいね。
裏話1:インプラント治療に臨む喫煙者に一言
喫煙習慣のある方はインプラント治療をきっかけにタバコをやめることをおすすめします。なぜなら、タバコを吸うとニコチンによって歯ぐきの毛細血管が収縮し、インプラントの周りの抵抗力が低下してしまうからです。抵抗力がさがるとインプラント手術初期に感染症にかかりやすくなり、長期的に見てインプラントの歯周病である「インプラント周囲炎」に対するリスクも高まります。最終的には、せっかく入れたインプラントが脱落してしまうことにもなりかねません。
しかし、「インプラントを長持ちさせたい」というモチベーションだけでは、喫煙習慣に終止符を打つことはなかなか難しいでしょう。そんなときは、自分が何のためにインプラント治療を選んだのか、改めて思い出してみてください。「自然な噛み心地や違和感のない見た目を手に入れるために、決して安くはない治療費を支払ったこと」、そして「インプラントがダメになったら生活がまた不便に戻ること」を忘れないでください。喫煙者がインプラント治療を始めるときは、もらいタバコを含め、“喫煙習慣をやめる意志”をしっかり持つことが大切です。
裏話2:高額治療費の現金払いは損?カードのポイントが貯まるクレジット払い
インプラント治療は自費診療となるため、一般的に30~50万円ほどの費用がかかります。治療費の支払いには、現金払い、クレジットカード払い、デンタルローンなどの方法を選ぶことができますが、クレジットカード払いがお得になるケースもあります。
私は48万円の治療費を2つのクレジットカードに分けて支払いましたが、後日カードの明細を見てみると、カード払いの利用金額に応じて付与されるポイントが相当溜まっていました。クレジット会社によってはポイントが貯まると商品券や記念品と交換できるサービスがあるので、高額な治療費を現金で支払うより、カードで支払ってポイントを貯めるのは得策だと言えるかもしれません。
また、私が支払いに使ったカードのうち一方は今回の治療費を払ったことがきっかけでゴールドカードにランクアップしました。自分がゴールドカードを持てる機会は一生ないと思っていたので、個人的にはテンションが上がりましたよ!
インプラント治療の際に役に立つほかの財テクとしては、確定申告での医療費控除があります。医療費控除額とは、1年間にかかった医療費総額が10万円を超えた際に納めた税金の一部が還付される制度のことです。治療にかかった費用を申告すれば所得税の金額を抑えられるので、治療の際の領収書はなくさずにとっておきましょう。
裏話3:溶けるはずの糸が溶けなくても……歯医者に行けば何とかなる!
インプラント埋入手術の際、傷口の縫合には医療用の手術糸を使いますが、私の場合は手術後2週間を過ぎても溶け切らず、歯ぐきに違和感が残っていました。しかし、術後は歯科医院で定期的に消毒や経過観察をするので、その際に手術糸の残り具合もチェックしてもらえます。私の場合は、歯ぐきから飛び出している糸の切れ端を短く切ってもらい、舌で触ったときに気にならないようにしたら、気がつくと数日後には糸が溶けてなくなっていました。
溶けるはずの糸がなかなか溶けないなど、治療に関して「あれ?」と思うことがあれば、自発的に歯科医院のスタッフの方とコミュニケーションをとるのをおすすめします。そうすれば問題解決につながりやすいため、心配なことがあれば遠慮せず歯科医院で質問するようにしましょう。
インプラント埋入手術後はチタン製の人工歯根と顎の骨が結合するのを4ヶ月ほど待ったのち、アバットメント(連結部分)を接続する2度目の手術に移ります。次回のトピックは「そろそろ手術でビビらなくなってきた」「アバットメントと歯の間にも物が挟まる」「隣の歯がずれてきている……だと?」の3点です。更新をお楽しみに!ちなみに過去記事は以下から見てください!
【実録“インプラント女子”過去記事はこちら】
第1話 私の永久歯が根元からぱっくり割れた経緯
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【ライター紹介】 RIKA
Ha・no・ne編集部でもっとも歯に悩みを抱えるライター。小学生時代に上下の顎の噛み合わせが逆である「不正咬合」であることが判明したのを皮切りに、乳歯が生え替わる際に必要な永久歯が生えない「先天性欠損」や慢性的に冷たい物が歯にしみる「知覚過敏」など数々の困難を経験。2017年春には25歳にして永久歯を1本失った。そんな“口運”に見放された悲劇のヒロインとしての物語を「実録!インプラント女子」にてありのままに綴っている。予防歯科や矯正治療の重要性を世の中に発信したいという気持ちは、当然ながら“ノンフィクション”だ。
Twitter:香取さとり【文筆業】
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