抜歯になるかも……そんな時に選ぶべき歯科医院 ~実録“インプラント女子”第2話~
6月6日 直属の上司にセカンドオピニオンをすすめられる
右上5番の臼歯にヒビが入ったのは金曜日の夜こと。しかし、土日月と大事な予定があった私は歯医者に行くことができず、火曜日の仕事を少し早めに切り上げて近所の歯科医院で診てもらおうと考えていました。早退の許可を得るため直属の上司(9月に弊社を旅立ちました)に歯が割れた経緯を話すと、いつもは早退の理由に深入りしない上司から「その歯医者さんホントに大丈夫なの?」と意外な追及を受けました。以下はそのやりとりです。
RIKA
「私は大丈夫だと思います。今通っているのは先生と歯科衛生士さんの2人でやっている小さな歯医者さんですが、設備は最新ですし、矯正治療やホワイトニングにも対応しているので問題はないかと」
上司
「ふーん。でも、もしそこで治せないって言われたら抜歯になっちゃうよ?永久歯は一本でもなくなったら大変だから、歯を残すことを第一に考えてくれる先生に診てもらった方がいいんじゃない?」
RIKA
「でも、ヒビが入った歯はすでに神経のない歯なので、もう抜くしかない気がしています」
上司
「そうだとしても、抜歯したらそのあとの治療もあるでしょ?確かこの辺にもインプラントの治療実績が豊富な歯科医院があるから、そっちでセカンドオピニオンを受けてみたらどう?」
「インプラントですか……そうですね、私もいろいろ調べてみます!」
抜歯になるかもしれないと予想はしていても、抜歯後の治療にまでは考えが及んでいなかった私。近所の歯科医院に入れていた予約をキャンセルするのは心苦しかったのですが、私は上司のアドバイスを受けてインプラント治療で有名な歯科医院を受診することにしました。その歯科医院は患者数が多いのかなかなか予約ができず、3日後の午後に診察を受けることに。予約のついでに治療法について聞いたところ、抜歯がどうかはレントゲンを撮ってみないと判断できないとのことでした。
ちなみに歯が破折した場合の治療について、Ha・no・neでは以下のように先生が回答しているので、チェックしてみてください。
・虫歯で抜歯することになり、インプラント治療を考えていましたが、高額なので尻込みしています。
神経を抜いた歯は健康な歯より割れやすくなる!
神経を抜いた歯は健康な歯より割れやすくなる!
上司に紹介された歯科医院の新しい担当医の話によると、虫歯で過去に根管治療をした歯は他の健康な歯より寿命が短くなってしまうのだそう。根管治療を行うと歯髄の血管を失うため歯の内部に栄養分が行き届かなくなるばかりでなく、治療過程で歯の内部を乾燥させる必要があるため、ほかの歯よりも強度が弱くなってしまうそうです。
根管治療についての詳細は以下の通り。
・根管治療で歯の根を残すよりも、いっそのこと抜歯してしまった方がいいケースもありますか?
根管治療では、上の図のようにまず細菌に冒された歯髄を取り除き、できた空洞に薬を詰めた後、歯に丈夫な被せ物をする治療が一般的だそうです。しかし、今回ヒビが入ってしまった歯は根管治療後の被せ物が不十分であったことがこの先生の診察によって判明しました。
6月9日 レントゲン写真でヒビの深さが判明し……!
健康な歯の一部が欠けた場合は、欠けた部分を持って直ちに歯科医院に行けば復元できる場合が多いのに対し、過去に虫歯治療で手を尽くした歯のひび割れは「歯の臨終」と捉えなければならないことが多いそうです。転院先の担当医は、私の歯のレントゲン写真からヒビが根元のほうまで達していることを見抜き、「これは抜歯ですね。今から抜きますか?」とスピーディーな提案をしてくれました。
有名な歯科医院で診察を受けて抜歯と言われたら、もう私に選択肢はありません。「お願いします。」と答えてから約10分後には、私は穏やかな気持ちで止血用のガーゼを噛んでいました。抜歯の手順は次回の記事でくわしく紹介しますが、麻酔のおかげでまったく痛みを感じず、あっという間に悩みの種が除去されたことに喜びを感じる余裕さえありました。
余談になりますが、それから間もなくして最初の歯科医院は突然閉院に……。上司のアドバイスがなければ、抜歯後の治療の途中で荒野に放り出されるところだったので、早い段階で転院を決意できたのは不幸中の幸いでした。
信頼できる歯科医院の選び方とは
虫歯が重症化した場合は長期にわたって根管治療を受ける必要があり、やむなく抜歯をする場合はインプラントや入れ歯・ブリッジなどの治療を受けて失った歯の機能を取り戻さなければなりません。歯は一生ものなので、自分が通う歯科医院を選ぶ際は職場や家からの通いやすさだけでなく、自分の症状を正確に診断し治療できる先生がいるのかを調べることも重要だということを私は今回強く認識しました。
治療の実績や設備、先生の経歴は歯科医院のオフィシャルサイトで情報を収集することができます。医院によってはサイトの専用フォームから症状の相談を受けているところもあるので、実際に足を運ぶ前にやり取りをして信頼できるかどうかを見極めてもいいかもしれません。
歯科医院の選び方についてのアドバイスは以下の通り
・インプラント治療を検討していて、色々な歯科医院のサイトを見ています。
次回のトピックは「抜いて明らかになった歯の惨状」「抜歯後に提示される3つの治療法」「麻酔が切れてからの痛み」です。お楽しみに!
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【ライター紹介】 RIKA
Ha·no·ne編集部でもっとも歯に悩みを抱えるライター。小学生時代に上下の顎の噛み合わせが逆である「不正咬合」であることが判明したのを皮切りに、乳歯が生え替わる際に必要な永久歯が生えない「先天性欠損」や慢性的に冷たい物が歯にしみる「知覚過敏」など数々の困難を経験。2017年春には25歳にして永久歯を1本失った。そんな“口運”に見放された悲劇のヒロインとしての物語を「実録!インプラント女子」にてありのままに綴っている。予防歯科や矯正治療の重要性を世の中に発信したいという気持ちは、当然ながら“ノンフィクション”だ。
Twitter:香取さとり【文筆業】
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