インプラント治療の前に行う“歯周病治療”のナゾに迫る!
インプラントを受ける前に歯周病治療が必要な理由
どうしてインプラント治療を受ける前に歯周病治療が必要なのでしょう? その理由は主に2つあります。1つ目は、「インプラント歯周炎」「インプラント周辺粘膜炎」など、インプラントが原因で歯周組織にダメージを与えてしまう可能性がある場合です。
そして2つ目は、歯周病が進行していてインプラント治療が困難な場合です。歯周病は歯を支えている骨を溶かしてしまう病気ですが、その歯を支えている骨が溶けている場合はインプラントを埋め込むのが難しくなります。そのため、インプラントを埋め込むのに十分な骨をつくる治療を行ってから、ようやくインプラント治療を始めることができます。
“インプラント周辺粘膜炎”“インプラント歯周炎”とは?
こちらでは、インプラント周辺粘膜炎とインプラント歯周炎について解説していきます。
インプラント周辺粘膜炎
インプラント周辺粘膜炎は、その名の通りインプラントを埋め込んだ場所の粘膜が炎症起こしている状態です。原因としてはインプラントの周りについた歯垢が挙げられます。放置することでインプラントの周辺の細菌が増殖していき、やがてインプラント歯周炎となります。
インプラント歯周炎
インプラント歯周炎は、インプラント周辺粘膜炎が悪化し、炎症が顎の骨まで達している状態です。炎症が長引くことで、最終的にはせっかく治療したインプラントが脱落してしまう可能性があるので、早めに治療を受けなければなりません。
これらの症状は、メインテナンス不足により口腔内に歯垢や歯石が発生することが原因となります。毎日しっかりとメインテナンスを行っているつもりでも、セルフケアには限界があるもの。そこで、歯科医院で定期的にインプラントのメインテナンスを受けることが大切になります。
3つの治療方法で骨を増やしていく
インプラントを支えられる十分な骨量がないと、インプラントが脱落したりとトラブルを招きやすくなります。そこで骨を増やす治療を行ってからインプラント治療に移ります。こちらでは、骨を増やす治療方法について解説します。
サイナスリフト
サイナスリフトは上顎の歯の骨が溶けてしまい、空洞になっている上顎洞がある場合に用いられる治療方法です。この上顎洞があることでインプラントが不安定となります。顎の骨に穴を開けてカルシウムの粉を入れて、数ヵ月かけて骨に変えていきます。つまり、空洞であった部分を骨に変えてからインプラントを入れる治療法です。インプラントが安定するので、硬い食べ物でも問題なく噛むことができるようになります。
ソケットリフト
ソケットリフトは、上顎の奥歯周辺の骨が薄くてインプラントを埋め込むことができない場合に用いられる治療法です。歯茎に穴を開けてそこへインプラントを入れ込み、骨補填剤を流し込むことでインプラントが固定されます。
スプリットクレスト
歯茎の高さは足りているけれど、厚さが足りていない場合はスプリットクレストという治療法が用いられます。骨の薄い部分を特殊な器具を用いて縦に2分割しながら押し広げ、そこへインプラントを埋め込み骨補填剤を入れて縫合させます。その後3~4ヵ月後に抜歯をすれば、インプラントとして使用できるようになります。
たくさんの治療が必要だから、身体に負担もかかる
歯を失ってしまった時に、インプラントはとても有効な治療です。でもインプラントを埋め込むための治療が必要になることもあるので、身体に負担がかかるのも事実です。
それを避けるためにも、まずは歯周病にならないことや歯を失わないよう心がけることが大切です。「いつもなんとなく歯のケアをしている」という方は、これから歯や歯茎を大切にしましょう。そして、インプラントを埋め込む事態になることを回避しましょう!