歯茎から膿？！歯槽膿漏（しそうのうろう）になる前に対処せよ！

2017.04.06 health木村由奈

歯茎から膿が出たら危険信号！

なぜ歯茎から膿が出ているの？

歯槽膿漏は、歯周病が悪化して、歯茎を支えている骨が溶けてしまい、炎症を起こし膿が出ている状態を言います。これは、歯の磨き残しが原因で起こるとても身近な病気。歯周病菌に感染したとしても、比較的早期の歯肉炎や中度歯周炎の段階で、ほとんどの人が改善するように歯を磨きますが、それでも放置し続けてしまう人が、歯槽膿漏という危険な状態になってしまいます。膿は歯茎の危険を知らせるためのサインのようなものだと思っていいかもしれません。

その他の歯槽膿漏の症状は？

何を口に入れても歯がしみる

歯槽膿漏になると、歯の根元が露出してしまうので、知覚過敏のような状態になりやすくなります。悪化してしまうと、常温の水を飲んだだけでも歯が痛くなるので、食べるのがおっくうになってしまいます。

玉ねぎの腐ったニオイがする

歯茎から溢れ出る膿は、正確には白血球の死骸。玉ねぎの腐ったようなニオイがし、口臭の原因になります。歯槽膿漏が原因で発生している口臭は、歯茎の炎症を抑えなければ改善されないので、長期間、口が臭い状態が、続いてしまうかもしれません。

蓄膿症になる

歯槽膿漏を悪化させると、上奥歯の周辺にある上顎洞に徐々に膿が溜まります。すると、蓄膿症を引き起こす可能性があります。蓄膿症が酷くなると、頭痛や鼻づまりなどの症状が出るので、とても厄介です。

全身疾患になることもあるの？

歯槽膿漏がさらに悪化すると、お口だけでなく全身にも悪影響が及びます。

狭心症

狭心症は歯槽膿漏が発生させる全身疾患の代表です。症状は、胸がいきなり強い力で締め付けられるような発作が現れ、重症化すると発作の時間が長くなり、辛い思いをすることになります。

脳梗塞

歯の内部には細かい血管がたくさんあります。そこから歯周病菌が血液内に入り込んで動脈硬化を促進させてしまい、脳梗塞や心筋梗塞になることがあります。稀ではありますが、命の危険もあるということを知っておきましょう。

歯槽膿漏ってセルフケアで治せるの？

セルフケアだけでは足りないかも……

歯周病の中でも末期症状が出る歯槽膿漏は、セルフケアだけでは十分とは言えません。なぜなら、歯周ポケットに、歯垢や歯石がびっしりと詰まっている可能性があるからです。歯周ポケット内の汚れは、歯ブラシである程度掻き出すことはできますが、完全には取り切ることはできないので、歯医者でクリーニングをしてもらう必要があります。

歯医者のクリーニングとは？

歯医者で行う歯のクリーニングでは、スケーリングという歯石の除去や、ルートプレーニングという歯肉内の歯石除去です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

スケーリング

スケーリングは、超音波スケーラーと呼ばれる機器を使って行います。超音波振動を与えながら、歯の表面にこびりついた歯石を取ることができ、虫歯の原因を根本的に改善することができます。

ルートプレーニング

ルートプレーニングは、スケーリングと同じで、超音波スケーラーなどを使って歯周ポケットの内部など、目に見えない場所の汚れを取ることができます。これをすることで、効果的に歯周病を改善できますが、一度歯槽膿漏になると歯茎が下がってしまうので、完全にもとの状態に戻すのは困難です。

歯槽膿漏は歯肉炎の段階で止められたはずです！

歯茎から膿が出ている原因は歯槽膿漏の可能性が高いです。でも、歯槽膿漏になるということは、歯肉炎や中度歯周炎などの初期・中期の段階で症状を無視してしまった、もしくは、見逃してしまった結果です。歯槽膿漏になり、いろいろな症状が現れて苦しむよりは、早い段階で悪化を止める必要があります。みなさんも、歯槽膿漏で厄介なことになる前になるべく治療をし、悪化を防ぎましょう。また、一度改善されても油断せず、しっかりとしたブラッシングを心掛けましょう。