抜歯後の生活で感じた困難と推奨される対策~実録“インプラント女子”第4話~

2017.11.30 healthHa・no・ne編集部 RIKA

6月12日(抜歯から3日)抜いた隣の歯が痛む不思議

歯列模型

抜歯当日と次の日は、抜歯した部分の歯ぐきが痛み、処方された痛み止めで痛みを和らげていました。しかし、その痛みが収まり始めた抜歯から3日目の夜、抜歯した右上5番の手前の右上4番に痛みを伴う違和感を覚えたのです。その違和感とは、歯が少し浮いたような感覚で、いつもの力で食べ物を噛むと、右上4番の歯に圧力がかかって根元に痛みを感じるようなものでした。

歯科医院の次の診察は数日先だったので、ひとまず自分の症状をインターネットで調べてみることに。すると、抜歯後に隣の歯が痛くなったという経験談は予想したよりも多く見つかりました。「珍しいことではないようなので数日様子を見よう」と、痛みを気にしないようにして過ごすうちに2~3日で違和感はなくなりましたが、あの感覚は一体何だったのでしょうか?抜歯した部分以外の箇所がピンポイントで痛くなることは予期していなかったので、隣の歯が痛み出したときは正直怖かったです。

6月20日(抜歯から11日)インプラント治療の見積もりが出る

治療の見積もり

抜歯後最初の1ヶ月は傷口の状態を確認して消毒を施すために、週1回程度歯科医院に通います。経過は特に問題なく、抜歯後2回目の診察の際にインプラント治療の見積書を受け取りました(画像は実際の見積書の一部です)。内訳をよく見てみると、インプラントの手術に25万円、骨造成に5万円、アバットメント(被せ物の土台)に2万円、セラミックの被せ物に12.5万円という信じがたい数字が並んでいます。

私が通っている歯科医院はインプラント治療で有名なので、治療費が相場よりも高額になることは覚悟していましたが、予想以上の見積額に驚きが隠せませんでした。少しでも値段を安くしようと、奥歯なのできれいな素材でなくてもいいという希望を伝えましたが、この歯科医院ではセラミッククラウン以外の素材は扱っていないとのこと。骨造成はインプラントを埋め込むための骨が足りないときに行う処理ですが、自分のレントゲン写真を見せられ「抜歯した歯の周りの骨が溶けている」と主治医から直々に説明されたので、納得せざるを得ませんでした。

5月上旬に実家で歯の痛みを自覚してから、私は歯の治療状況を逐一父に連絡していました。抜歯をした日に「インプラントにしたいけど、お金がないから援助してほしい」と伝え「お金は出すからしっかり治しなさい」と了承してくれた父。しかし、治療費は30万円くらいだろうと伝えていたので、税込み48万円と書かれた見積書の画像を父に送ったときは胸が痛みました。

6月下旬 傷口の治りを早めるレーザー治療を受ける

歯科治療

見積もりの内容を父にLINEで一通り説明すると、わずか10分後に「了解、手術の成功を祈っています」と笑顔の絵文字つきの返信が来ました。決して安くない治療費を嫌な顔1つせず出してくれる父には感謝の気持ちでいっぱいです。こうして資金調達問題をクリアした私は、次の診察でインプラント治療の同意書にサインをし、インプラント埋入手術に向けて準備を進めていくことになりました。

インプラントの埋入手術を受けるためには、まず抜歯の傷口を完全に塞がなければなりません。抜歯から2ヶ月程度は傷の治癒を待つ期間が続きました。抜歯から1ヶ月が経過したら2週に1回歯科医院に通って、傷の治癒を促進させるレーザー治療を受けます。タオルで目隠しをしているので詳細はわかりませんが、レーザーで傷口の表面を焼いていくような処置でした。痛いというよりは、くすぐったいような感覚で、1回の施術は5分もかからず終わります。

抜歯してすぐは、歯ぐきに空いた穴の中に米粒やゴマなどの細かいものが入り込むこともありましたが、傷口が治っていくにつれて右側の歯でも食べ物を噛めるようになりました。しかし、レンコンやせんべいなどの硬い物を食べるときは、臼歯が一本無い右側の歯は全く役に立たず、とても不便です。また、歯がないところから空気が漏れるため「チ」や「ジ」の発音が不明瞭になってしまうことにも悩まされました。

抜歯後の困難に打ち勝つ術はあるのか?

臼歯を抜歯したあとに私を襲った困難は「穴に細かい食べ物が入り込む」「固いものが噛めない」「発音が不明瞭になる」の3点でした。どれも生活するうえでは大変不便でしたが、次のステップまでは「右側の歯で固いものを噛まない」という医師の言いつけを守って我慢するしかありません。インプラントの治療が無事に終われば、元通りの歯の機能を取り戻すことができると前向きに考え、抜歯からインプラント埋入手術までの期間は傷口をきれいに治すことに集中しましょう。

また、治療費の調達はインプラント治療を希望する多くの患者を悩ませる問題です。私の場合は父の援助により、抜歯後すぐにインプラント治療を始めることができましたが、父に話をする前は「デンタルローンを活用する」という選択肢も考えていました。デンタルローンを使えば月々1~2万円ほどの支払いで、無理なく治療を受けることができるので、ご興味のある方は歯科医院で話を聞いてみるといいでしょう。デンタルローン(デンタルクレジット)についてはリンクのコラムをご一読ください。

次回はいよいよインプラント埋入手術の模様についてお話していきます。トピックは「懐かしい味?おいしい麻酔」「大げさな手術用エプロンにビビる」「ドリルの振動の恐怖」です。お楽しみに!

父

治療費を負担してくれた父には、後日おいしいお刺身とビールでお礼をしました。

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【ライター紹介】 RIKA

RIKA

Ha·no·ne編集部でもっとも歯に悩みを抱えるライター。小学生時代に上下の顎の噛み合わせが逆である「不正咬合」であることが判明したのを皮切りに、乳歯が生え替わる際に必要な永久歯が生えない「先天性欠損」や慢性的に冷たい物が歯にしみる「知覚過敏」など数々の困難を経験。2017年春には25歳にして永久歯を1本失った。そんな“口運”に見放された悲劇のヒロインとしての物語を「実録!インプラント女子」にてありのままに綴っている。予防歯科や矯正治療の重要性を世の中に発信したいという気持ちは、当然ながら“ノンフィクション”だ。

Twitter:香取さとり【文筆業】
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