子どもの乳歯が抜けたのに永久歯が生えてこない!「埋伏歯」の対処方法とは?
まずは理解しておきたい「埋伏歯」について
埋伏歯は乳歯が抜けたのに、生えてこない状態になっている歯のことを指します。その状態を細かく分類すると「半埋伏」「水平埋伏」「完全埋伏」の3種類あります。まずはきちんと状態を把握するためにも、それぞれの特徴の違いを理解しておきましょう。
1:半埋伏
永久歯が半分ほど表面に出ている状態の埋伏歯です。少しでも永久歯が見えている場合は半埋伏歯に分類されることがあります。
2:完全埋伏
まったく永久歯が表面に見えていない状態の埋伏歯です。腫れやすく、化膿もしやすいので、早めの治療が必要になることもあります。
3:水平埋伏
完全埋伏歯が真横に向かって生えている状態であり、前歯にはあまり見られず、基本的には奥歯にみられる症状です。特に親知らずなどにみられることがあります。埋伏歯は永久歯が成長していないわけではなく、歯ぐきの中で歯を形成している状態です。噛み合わせや歯並びの乱れの原因にもなり得ます。
埋伏歯になる原因とは?
埋伏歯になる原因の多くは、顎のスペース不足です。近年、柔らかい物ばかりを食べる食習慣が定着した影響から、顎が極端に小さい子どもが増えています。そうした骨格だと、乳歯と永久歯の入れ替えがスムーズに行えず、埋伏歯になってしまうケースもあるようです。
また、スペースが狭い以外にも生えてくる歯が大きすぎることも原因となることもあります。水平埋伏歯の場合は、何らかの影響で成長段階の小さな歯が歯ぐきの中で動いてしまうことで真横に向かって生えてしまうことがあるそうです。
埋伏歯の対処法
埋伏歯の対処法はその種類により異なるので、症状によって臨機応変に対応する必要があります。たとえば、半埋伏歯の場合は少しでも歯が見えていれば矯正器具によって歯ぐきに埋伏している状態を整えることができるケースもあります。しかし、完全埋伏歯のように歯がまったく見えていない状態の場合は、矯正器具による改善は期待できません。その場合は、歯ぐきの皮膚が厚くて外に歯が出られない状態になっているので、歯ぐきを切開し、歯の頭を出す方法を選択することがあります。
水平埋伏歯は、横向きに生えている親知らずです。この状態の歯は機能を果たさないことに加え、他の歯に何らかの悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。そのため、ほとんどの場合、抜歯が選択されます。
埋伏過剰歯の場合の対処方法
埋伏歯の中には、過剰歯の影響で乳歯が抜けても永久歯が生えてこない場合があります。過剰歯で埋伏している場合はかなり特殊なケースですが、永久歯の根元を溶かすことで歯がぐらつく原因になり、それにともない神経が死んでしまうこともあります。さらに、死んでしまった神経を放置すると、永久歯の根元に細菌が入り込み、化膿して腫れることもあります。
過剰歯は非常に厄介で、子どもの頃に歯として表面に顔を出していなくても、大人になり骨格が変わることで表面に出てくることもあります。また、大人になってからの抜歯の場合は、骨の深部に進行している場合があるので、子どもの頃にしっかりと治療を行うことがベストです。治療はまずレントゲンを撮り、過剰歯の位置を確かめます。そのあとに歯ぐきを切開し、骨を削り、過剰歯を抜歯するという方法が一般的です。子どもの治療の場合は、おおよそ30~40分程度で治療が終わります。大人の治療になると骨が成長しているため、1時間以上の治療を必要とする場合もあります。
埋伏歯の対処はなるべくお早めに
今回は「埋伏歯」について解説しましたが、お子さんのお口の状況に当てはまる症状はありましたか?もし該当する場合はきちんと歯科医院で治療を受けることをおすすめします。埋伏歯は半埋伏の場合ならば矯正治療によって改善が見込める場合もありますが、完全埋伏の場合は切開が必要なので少し体への負担がかかります。また、大人になってから過剰埋伏歯を治療しようとすると、治療そのものが難しい場合もあるのでなるべく早めの対処を心がけましょう。