歯磨きで「おえっ」ってなるのはどうして?

2017.01.25 health風間千秋

「おえっ」の正体とは?

えずく

これは嘔吐反射という現象です。口の中に異物を入れたときに起こる反射で、異物を誤飲しないようにするための本能的な反応です。私たちが歯磨きをしているときに「おえっ」となる現象は、歯磨き中に誤って歯ブラシを飲み込まないようするための本能的な反射だったのです。

嘔吐反射には個人差があり、ある程度深くまで異物を入れなければ反応しない人もいれば、異物を入れた場所が浅くても反応することがあります。さらに、呼吸法やストレスなどで嘔吐反射が誘発されることもあります。

呼吸法のケースは、口呼吸の人が嘔吐反射をしやすくなると言われています。また、嘔吐反射は自らの身体を守るための反応なので、ストレスや不安を感じていることで異物に過剰な拒否反応を示してしまい、嘔吐反射が強く出てしまうこともあります。

このような原因で嘔吐反射が強くなると、歯科医院で歯型を取る際に口にトレーを入れたときやレントゲンのフォルダーを入れたときなどに嘔吐反射を誘発し、治療を受けることに抵抗を感じてしまいます。実際に、嘔吐反射が強いことが原因で、歯科医院での治療を受けたくないという方も多いようです。

食べ物で嘔吐反射が起きないのはなぜ?

考える女性

嘔吐反射は、ものを口の奥に入れることで起こる現象です。ではなぜ、食べ物を口の中に入れても嘔吐反射が起こらないのでしょうか。それは、食べ物は異物ではないと脳が認識しているからです。

しかし、ストレスや不安なども嘔吐反射を誘発する原因になるため、食べ物自体に不安がある場合など、嘔吐反射を引き起こす可能性があります。

みなさんは、世界の珍味などのテレビ番組を見たことがあるでしょうか?

世界には、日本では決して食べることのない料理がたくさんあります。たとえば、中国の一部の地域では蝉を油で揚げたものを食べる習慣があります。ですが、日本では蝉は食べ物ではなく、「虫」という認識ですよね。

中国人は蝉を食べ物だと認識しているため口にすることができても、日本人は蝉を食べるという文化がないため、視覚から不安を感じたまま口に入れると、異物感と同時に嘔吐反射を起こしてしまうのです。

嘔吐反射が強いときの対処法

リラックスする女性

嘔吐反射は異物感やストレス、不安感などで起こりやすくなります。たとえば、歯科医院での治療にトラウマがあるという人は嘔吐反射が起こりやすくなり、酷い場合は前歯を触られただけで嘔吐反射が起こってしまい、治療が受けられないという人もいるようです。

嘔吐反射を抑えるには、リラックスすることがポイントです。全身の力を抜き、身体をリラックスした状態にして、鼻でゆっくりと深呼吸をします。それでも嘔吐反射が出てしまう場合は、「笑気麻酔」というガスを使用した麻酔をすることがあります。

笑気麻酔は、意識がなくなったり痺れたりすることはなく、身体をリラックスさせて恐怖心や不安感などを軽減し、精神を安定させるものです。治療前にリラックスした状態を保つことで、治療がスムーズに行えるようになります。

「おえっ」となったらリラックスしましょう

歯磨き中に起こる「えずき」は、異物が体内に入るのを阻止する本能的な嘔吐反射で、誰にでも起こるものです。歯科治療に支障が出てしまう方は、まずリラックスすることを心がけてください。それでも嘔吐反射が出てしまう場合は、歯科医師に相談して麻酔をしてもらうなどするとよいでしょう。

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