ほとんど歯を削らない虫歯治療「ドックスベストセメント」とは

2017.09.06 healthReiko Okabe

一般的な虫歯治療との違いは

虫歯に痛みが出ている場合、一般的な虫歯治療の場合は歯髄部分の神経を取り除き、痛みを感じなくするという方法で対処します。しかし、神経を取り除いてしまった歯は、健康的な歯と比べると脆くなり、強い衝撃が加わったときに割れやすくなったり、変色したりすることもあります。また、一度削った歯は元に戻らないため、できれば残しておきたいものです。

そんなときに活躍するのが、現在注目を集めている“ドックスベストセメント”。銅、酸化亜鉛、酸化チタン、リン酸、水酸化アルミなどで作られたミネラルを利用することで虫歯を治療します。虫歯により歯が溶け出していても、お薬の中の天然ミネラルが歯質を強化してくれます。

“ドックスベストセメント”のメリット

痛みをほとんど感じない

一般的な虫歯治療の場合は、患部を専用の機械で削らなければならないので、ウィーンという嫌な音とともに不快な振動が伝わります。また、その振動が神経に伝わり、痛みを感じることがあります。

しかし、ドックスベストセメントは歯を削らないため、治療中の痛みをほとんど感じることがないと言われています。また、治療前に麻酔をすることもほとんどないので注射を打つときのチクッという痛みもありません。

内部が虫歯になりにくくなる

ドックスベストセメントの治療は、虫歯部分に鉄と銅で作られたセメントを詰めるだけです。詰めたセメントによって無菌化することで内部が虫歯になりにくくなります。さらにこの殺菌力は一時的なものではなく、半永久的に持続します。

象牙質を再生させる可能性がある

歯の内部にドックスベストセメントを詰めると、殺菌効果を発揮するとともにミネラルを補給することができます。このミネラルは、銅やリン酸、亜鉛など、元々体の中にある成分なので安全性が高く、副作用の心配もないため、安心です。さらに、これらのミネラルを補給することで象牙質の再石灰化が促されます。

アレルギーを起こすことがほとんどない

ドックスベストセメントは、歯科用に用いられているセメントの中で、もっともアレルギーが少ないとされているため、一般的な歯科用セメントでアレルギーが出た場合でも、使用できる可能性が高いと言えます。

“ドックスベストセメント”のデメリット

自費診療のため高額である

ドックスベストセメントには、デメリットもあります。保険診療が認められていない「自費診療」になるので、治療費が高額になることがあるのです。また、歯科医院によって治療費に大きな差が出ます。1本あたりの治療費は3,000円~25,000円ほどとなっており、医院によってまちまちです。

治療ができない場合がある

あまりにも小さすぎる虫歯“初期虫歯”や、進行しすぎて完全に神経が虫歯菌によって溶かされている場合には、ドックスベストセメント治療ができないことがあります。また、虫歯になっている範囲が広すぎたり、歯ぐきの下まで虫歯が進行したりしているような場合にも治療ができません。

歯とセメントの色が異なることがある

ドックスベストセメントの色は天然歯に近い白色ではありますが、色の調整ができないのが難点です。歯が黄ばんでいる人や、過去にホワイトニングをして周りの歯が白い人などは、セメントの色と天然歯の色が違って見えてしまうことがあります。

治療前に歯科医院に問い合わせてみてください

ドックスベストセメントは、多くのメリットを持つ虫歯治療ではありますが、自費診療のため、取り扱いがない歯科医院もたくさんあります。まずは、かかりつけの歯科医院に治療を行っているか問い合わせてみましょう。もし、治療を行っていない場合は、インターネットなどを利用してドックスベストセメントの治療を行っている歯科医院を探してみてください。

あわせて読みたい

レコメンド

関連記事