銀歯に含まれる有害物質を体の外に出すキレーション点滴とは?

2017.08.10 healthReiko Okabe

有害重金属と水銀アマルガムによる水銀中毒について

歯科治療に使われる有害重金属「水銀アマルガム」とは?

キレーション点滴を解説する前に、有害重金属とされるアマルガムについて解説しましょう。

冒頭で言及した水銀アマルガムという歯科用の素材は、かつて虫歯治療などにおいて歯の詰め物に使用されていました。安全性が危ぶまれてからは、水銀アマルガムを治療に用いる歯科医師はほとんどいませんが、現時点では使用が完全に禁止されているわけではありません。一部の歯科医師は、いまだに使用している可能性があると言われています。

水銀アマルガムは、口腔内で劣化すると水銀蒸気を発生させます。これは皮膚や粘膜から体内に吸収され、徐々に人体に蓄積します。そして、蓄積した水銀が原因となり、食欲不振や頭痛、倦怠感、精神障害などのさまざまな症状を引き起こすリスクがあるのです。

水銀中毒を原因とする病気とは?

水銀中毒は、次のような病気を発症させるおそれがあります。

【末梢性ニューロパシー】……手足がしびれて、筋肉に力が入らなくなる。
【うつ病】……気分障害の一種で、気分が憂鬱になり精神活動が低下する。
【リウマチ】……全身の関節に炎症が起こり腫れたり痛んだりする。

水銀中毒でもっとも深刻なのは、脳神経と筋肉への影響だと言われています。

水銀アマルガムを使った銀歯の特徴

水銀アマルガムを素材とする銀歯は、少し黒っぽい銀色をしています。過去に虫歯治療により金属製の詰め物をしたことがある場合、水銀アマルガムが使われている可能性があるため、銀歯の色を確かめてみてください。疑わしいときは歯科医院に相談しましょう。

キレーション点滴とは?

キレーション点滴は体内に蓄積した有害重金属を身体の外に排出する点滴で、デトックス点滴とも呼ばれています。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)と呼ばれる合成アミノ酸を定期的に点滴することで、有害金属を取り除く効果があり、有害重金属が原因で起きたさまざまな疾患にも効果があるため、注目を集めています。

水銀アマルガムはビタミン点滴を用いた治療法でも取り除くことができますが、即効性はそれほどありません。一方のキレーション点滴は比較的即効性があり、効果的に取り除くことができるので、ビタミン点滴と併用されるケースが多くあります。ただし、妊娠中の方はキレーション点滴を受けることができません。その他にも既往症や治療中の病気がある場合は適応しないことがあるため、事前に歯科医師に相談しましょう。

キレーション点滴よる治療の流れ

1.毛髪検査・尿検査
アマルガムによる水銀中毒症状が出ている場合、まず有害重金属の蓄積度を検査するために毛髪検査が行われます。毛髪検査では水銀をはじめ、カドミウムやヒ素などの有害金属の蓄積度も調べることができます。

その他、尿検査が行われる場合もあります。尿検査では主に尿の中に含まれるミネラルを分析することで、キレーション治療の有効性を調べます。

2.キュレーション点滴による治療
体内の有害重金属蓄積量や、キレーション点滴の有効性を検査した後、点滴による治療が始まります。点滴には2時間前後かかりますが、これを定期的に受けることになります。キレート剤の効果により、ビタミンやミネラルも同時に取り除かれてしまうため、ビタミン点滴で不足を補うことがあります。

3.場合によって総合ミネラルサプリメントを服用
キレート剤の効果で失われたミネラルは、サプリメントにより摂取することも可能です。治療と並行して、総合ミネラルサプリメントなどの服用をすすめられることもあります。

水銀アマルガムを使った銀歯がないかチェックしましょう

かつて虫歯治療に使われていた水銀アマルガムは、さまざまな悪影響を及ぼす可能性があり、人体に有害です。過去に虫歯治療を行った経験がある方は、銀歯の様子をチェックしてみましょう。

さらに水銀中毒症状に心当たりがある場合は、速やかにかかりつけの医師に相談をして適切な治療を受けてください。

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