口の中のガン「口腔ガン」の特徴について

2017.09.09 healthReiko Okabe

口腔ガンの特徴

口腔ガンの特徴の1つは、口腔ガンという名称が口腔内にできたガンの総称であることです。歯肉に発生した場合は「歯肉ガン」、歯肉舌に発生した場合は「舌ガン」など、ガン化した細胞がどこにあるかで名称が変わるため、他のガンと比べて詳細に分類されています。また、発生した部位が異なればその症状も異なると点も特徴です。

そして、注意したいのが、口腔ガンは首にあるリンパ節に転移する可能性があるということです。口腔ガンに気づかずに過ごしていると、リンパ節や首にしこりが見つかり、ガンが判明する場合もあります。

口腔ガンは、国立がん研究センターの2015年の統計データを見ると年間7380人が亡くなっており、2000年では5066人だったことからも、年々死亡者数が増加している決して無視できない病気なのです。

各部位の口腔ガンの特徴

部位ごとに名称の異なる口腔ガンは、食事中にしみる、口内の一部がヒリヒリするといった症状がみられることがあります。また、発生箇所によって他にもさまざまな症状が確認されているので補足情報と併せて紹介します。

歯肉ガン

歯肉ガンは、歯肉、つまり歯ぐきにできるガンのこと。上顎の歯肉の場合は上顎歯肉癌、下顎の歯肉の場合は下顎歯肉癌と呼ばれます。

症状としては、初期の場合、白板症といい歯ぐきの一部が白くなり歯肉の表面が赤くただれ、潰瘍などができて歯肉がえぐれることがあるとされています。その後、歯の周囲の骨に進行するため、歯がぐらつく、抜けるということも。さらに進行すると頬や口蓋などにも広がります。

舌ガン

口腔ガンの50~60%を占める舌ガンは、女性よりも男性に多い癌の1つで、おおよそ“男性2:女性1”の比率で発生しています。10代~20代でも発生することがあります。また、舌ガンは比較的治りやすいと言われていて、早期発見・早期治療ができた場合の生存率は80~90%です。

舌ガンは口内炎と間違えられやすく、初期症状として小さなできもののようなものができるという特徴があります。舌の縁にしこりができ、歯にあたるなどの違和感があればすぐに受診するようにしましょう。

頬粘膜ガン

頬粘膜ガンは、頬の内側にできるガンです。特に発生しやすいのは、歯列の一番奥にある臼歯という平らな歯の噛み合わせ部分。頬を噛んでしまった記憶がないのに、頬の内側が赤くなったり膨らんでいたりする場合は、頬粘膜ガンの可能性があるので注意しましょう。その他の症状としては、歯肉ガンのように白板症が現れたり、潰瘍ができたりするケースもあります。

また、リンパ節への転移は20~50%と確率も高く、進行した頬粘膜ガンは皮膚や顎の骨に浸潤するなど、首から顎にかけての手術が必要となる可能性があります。

口腔底ガン

口腔ガンは目で見ることができるため、体の中にできるよりも外科的な治療が簡単だと言われていますが、その中でも特に厄介なのが“口腔底ガン”。

発生する部位は、舌の裏側が接する部分(口腔低)です。この部分にはさまざまな神経が入り組んでいるため、手術で大きく取ることが躊躇される箇所であり、さらにリンパ節に転移がしやすいと考えられています。

前歯の裏側あたりに発生する正中型、または奥歯の内側あたりに発生する側方型があり、歯肉や顎の骨にまで浸潤する可能性があります。

口蓋粘膜ガン

口の中の上側部分を口蓋といい、この部分に発生するガンを口蓋粘膜と言います。口蓋粘膜ガンは、口腔内の上皮の粘膜に隆起や腫瘍が発生する“扁平上皮”と、口蓋の後ろ半分にできやすく、潰瘍ができずに痛みを伴う“腺”の2種類があると言われています。

熱いお茶などで口の中をやけどすると、上顎の粘膜が赤くなったり白くなったりすることがありますが、そうした覚えがないのに異変を感じた場合は注意が必要です。

こんな人は口腔ガンに要注意!

口腔ガンが発生する主な原因は、口腔内への慢性的な刺激だと考えられています。特に喫煙によって口腔ガンの発生するリスクは高くなると言われており、喫煙者は非喫煙者の約7倍の発症率とされています。タバコの主流煙に含まれる有害物質が、慢性的な刺激となり口腔ガン発生につながるようです。

また、喫煙と同時にお酒を飲む人は注意が必要です。お酒に含まれるアルコールは、タバコに含まれる発ガン性物質を溶かす働きがあるため、口腔内の粘膜に発ガン性物質を付着しやすくしてしまいます。

普段、飲酒や喫煙をする習慣がある人は、特に注意しましょう。

定期的な歯科検診はガンの早期発見につながります

治りにくい口内炎やしこり、唇のしびれなどの症状がみられる場合、口腔ガンの可能性があります。口腔ガンは他のガンと比べて比較的治りやすいガンであるとされていますが、早期治療を行わないとリンパ節へ転移する可能性もあるため、早期発見が重要となります。定期的な検診を受けることで早期発見につながるので、口腔外科のある歯科医院で歯科検診を行うことも有効です。なるべく早期にガンを発見できるように、定期的な歯科検診をおすすめします。

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