顎が外れた緊急事態に知っておきたい応急処置方法
そもそもなぜ顎が外れてしまうのか
「大笑いしたとき」「あくびをしたとき」「大きく口を開けたとき」にガクッと急に衝撃が走り、顎が外れてしまうのがよくあるケースです。一度顎が外れてしまうと、元に戻さない限り口を閉じることすら困難になります。顎が外れている状態を医学的には「顎関節脱臼」と言います。顎関節脱臼の発症には、以下の要因が考えられます。
要因1:顎を動かす筋力の低下
下顎を元の位置に戻すための筋肉が衰えた結果、脱臼につながる可能性が高くなります。最近の若者はあまり硬い食べ物を食べなくなったため、顎が弱くなっていることもその要因として考えられます。
要因2:歯の生え方
上の前歯が内側に傾いて生えている場合、下顎の動きが抑制されるのでスムーズに動かなくなります。それが顎を動かす筋肉に影響を及ぼすことがあります。歯の生え方に関しては、矯正治療が必要になるケースもあるので、まずは歯医者に相談することをおすすめします。
もし顎が外れてしまった場合の対処法とは?
顎が外れると口が開いたまま動かすことができなくなったり、顎が下にだらんと伸びたり、下顎の方が前に出たり、言葉が話しづらくなったり、口の中に唾が溜まったりします。顎関節脱臼を突然発症してしまうことも考えられるため、応急処置する方法を覚えておくといいでしょう。
応急処置1:頬の上から顎関節を押し戻す方法
顎の関節が外れることで耳の前に今まではなかった出っ張りが出現します。まずはその位置を確認し、出っ張りの上側に指を当て人差し指・中指・薬指の腹で出っ張りを囲むように置いてください。顔の皮膚ごと下、もしくはやや後ろ下にその出っ張りを押し下げます。そうすることで外れた顎の位置をもとに戻せるでしょう。
応急処置2:ヒポクラテス法
両親指を下顎の下に、残り4本の指は口の中に入れて下の奥歯に当て、下顎をつかみます。下顎を下げてからゆっくり後ろに押し、顎関節がハマったことを確認してください。(ハンバーガーを持つようなイメージで下顎をつかむのがコツです)
普通の顎関節脱臼であれば、脱臼してから一週間以内で関節を手で正常な位置に押し戻す方法で顎関節をもとの位置に戻すことができるとされています。ただ、応急処置だけでは不安な方は、病院に行って医師の診断を受けるようにしましょう。
顎が外れないように意識すべきこと
一度顎が外れてしまうと、その後も癖づいてしまう可能性が高まります。しかし、そうならないように予防に努めることは可能です。顎に負担をかけないように以下の項目を心がけましょう。
□急に大きく口を開けない
□あくびやくしゃみをするときは、顎に手を添えて支える
□口を開けている途中で首を曲げない
□顎に負担がかかる姿勢(頬杖・片側だけで噛む・歯をくいしばる)をしない
□正しい姿勢でいることを心がける
上記に気をつけて、顎が外れないよう予防に徹しましょう。顎の筋肉は、ストレスなどで緊張することで不調に陥ることがあるので、なるべくストレスを溜め込まないように過ごすことも大切です。定期的にストレスを発散させて、顎の筋肉をほぐしてあげましょう。
程度によっては迷わず病院で治療を
顎が外れるという症状は何となくお年寄りのイメージを持たれている方も少なくないでしょう。そのため、病院に行くのが恥ずかしいと思うかもしれません。しかし、放置することで痛みが強くなり、完治にも時間がかかるケースもあります。程度によっては迷わず病院での診断を受けましょう。
また、「いつも自分で戻せているから」と馴れている人も要注意です。少しでも違和感を覚えたらすぐに病院に行って相談してください。顎関節はとてもデリケートな箇所なので、応急処置後の炎症などには十分注意しましょう。