歯ぐきが下がった?歯が伸びて見える原因とは

2017.12.19 healthオオタカ

「歯ぐきが下がる原因」は1つではない

歯ぐきが下がったり痩せたりする原因は1つではありません。歯ぐきが下がって歯の根元の部分が露出してくると、知覚過敏などの症状が出てくることもあるので注意が必要です。

原因1:歯周病

歯周病は日本人の成人の80%が罹患している、もしくは予備軍であるとされている病気です。歯周病は、歯垢(プラーク)のなかに潜む細菌によって引き起こされる感染症。細菌が出す毒素によって歯を支える顎の骨が溶かされると、覆いかぶさっていた歯ぐきが痩せて(退縮して)いきます。歯周病が進行するにつれて歯ぐきに隠れていた歯が露出するので、歯が伸びたように見えるのです。

原因2:加齢

加齢にともない、歯ぐきのコラーゲンは徐々に減少していきます。加齢にともなって歯ぐきが痩せる場合はほぼ均等にすべての位置の歯ぐきが下がってくること、そして少しずつ時間をかけて進行することが、歯周病との違いです。なお、歯ぐきは10年で2mmほど下がっていくといわれています。

原因3:力強い歯磨き

「歯周病の治療や予防のために……」と思うあまり、力強く歯磨きをしてしまうと、逆に歯ぐきを傷めてしまいます。特に歯周病が進行している歯ぐきはとてもデリケートなので、過度な力でブラッシングをしていると下がりやすくなります。

原因4:歯並びの乱れ

歯が外に飛び出していたり、逆に内側に向きすぎたりしている箇所は歯ぐきが薄くなっていることが多く、こうした箇所はブラッシングによって歯ぐきが下がりやすくなります。また、歯並びが悪いと歯垢がたまりやすく、歯周病になりやすい――というリスクもあります。

原因5:矯正治療

歯を抜かずに顎を広げてスペースをつくる矯正治療を受けると、歯の外側の歯ぐきが薄くなることから、歯が長くなったように見えることがあります。矯正治療前に主治医の先生とよく相談することをおすすめします。

下がった歯ぐきの治療法は?

一度下がった歯ぐきは、そのままにしていても元に戻ることはありません。しかし今日では、移植手術などによって歯ぐきを元のように再現することが可能です。

治療法1:遊離歯肉移植

遊離歯肉移植(FGG)は上顎の健康な歯ぐきを切り取り、歯ぐきが下がって歯根が露出した部分に移植する治療法です。一般的に、数ヶ月でしっかりとした歯ぐきを取り戻せます。手術時は、局所麻酔を施します。

治療法2:結合組織移植

結合組織移植(CTG)は健康な歯ぐきから組織を取り出し、歯ぐきが下がった部分の上皮と骨膜の間に組織を移植して歯ぐきを増やす治療法です。こちらも局所麻酔を施してから手術します。

治療法3:ヒアルロン酸注入治療

ヒアルロン酸を歯ぐきに注入して再生を促す治療法です。ヒアルロン酸注入治療は主に美容外科で用いられていますが、歯ぐきに注入することで厚み・弾力が戻ります。ただし、ヒアルロン酸は少しずつ体内に吸収されていくため、定期的に注入する必要があります。

こちらの施術は健康な歯ぐきが対象であり、歯周病などが進行している場合はその治療を先に行わなければなりません。治療結果に個人差があることも、念頭に置いておきましょう。

「歯ぐきが下がる」を予防するポイント

上記のように外科処置で歯ぐきの見た目を回復させることは可能ですが、それ以上に「歯ぐきが下がらないように努めること」が重要です。

予防1:歯周病の予防と早期治療に努める

歯ぐきが下がる一番の原因は、歯周病です。歯を失う恐れのある歯周病を予防するためにも、日々の歯磨きと適切な歯ぐきケアを心がけましょう。歯ぐきが赤い、腫れる、出血するなどの歯周病の初期症状が見られる場合は、すぐに歯医者で診察を受けることをおすすめします。

予防2:「正しい歯ぐき磨き」を徹底する

「歯ぐき磨き」をする場合は注意が必要です。毛先の硬い歯ブラシでゴシゴシと歯ぐきを磨くと、余計に歯ぐきが下がってしまうかもしれません。毛先の細い歯ブラシを使い、歯と歯ぐきの境目を斜め45度の角度で優しく、小さく振動させるようにブラッシングしましょう。

予防3:歯ぐきのマッサージをする

マッサージは血行を良くするので、歯ぐきの健康維持にも効果的です。歯磨きの後に手をよく洗い、人差し指または中指でクルクルと円を描くように歯ぐきをマッサージしてください。この際も、歯ぐきを傷めないように優しくマッサージすることを心がけましょう。

歯磨きの際は歯ぐきのチェックをお忘れなく

毎日丁寧に歯磨きをするという方でも、歯ぐきの健康管理については疎かになりがちです。起床後か就寝前、1日1回は鏡の前で歯ぐきの健康チェックをしてみることをおすすめします。

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