服用することで歯科治療に影響する可能性がある薬とは

2018.04.08 medicalオオタカ

服用中の薬が歯科治療に影響があるわけ

歯の治療は全身疾患など体の状態に影響を受けることは少なくありません。そのため、薬の副作用には特に気をつける必要があります。

服用している薬が悪影響を及ぼすことも

複数の医療機関にかかっている場合、もっとも注意すべきことは薬の飲み合わせです。薬の飲み合わせが悪いとさまざまな悪影響が考えられます。こうしたことから最近ではお薬手帳が患者さん1人ひとりに配られるなど、薬の飲み合わせには最善の注意が払われています。

また、歯医者で抜歯など外科的処置の場合に、服用している薬によっては出血が止まりにくくなる、治療によるキズが原因であごの骨に影響を与えるなどのケースもあります。

必ずお薬手帳を持参しましょう

服用している薬による事故などを防ぐためにも、治療を受ける前に必ずどんな病気の治療で、どんな薬を服用しているのかを事前に申告する必要があります。しかし、服用しているお薬の名前を明確に把握している人は少ないでしょう。

そこでお薬手帳を上手に活用しましょう。歯医者へ通院して治療を受ける前に、お薬手帳を提出すれば歯科医師は患者さんの服用している薬や病気などの情報を把握できます。病気治療中や薬を服用中の方は問診表に記入した上で、受付にお薬手帳を渡しましょう。また市販薬などを常用している場合も必ず歯科医師に報告してください。

歯科治療に影響する可能性のある薬

歯科治療の際に特に影響があるとされる薬について紹介します。市販薬を含め、薬を常用している場合は必ず歯医者に伝えるようにしましょう。

骨粗しょう症の薬

「骨粗しょう症(こつそしょうしょう)」とは骨密度が低下する病気で、手首や骨のつけ根などが骨折しやすくなります。女性や高齢者に多く見られる症状で、50歳以上の日本人女性の3人に1人が骨粗しょう症の疑いがあると言われています。

骨粗しょう症の治療では、ビスホスホネート製剤という薬が投与されることがあります。ビスホスホネート製剤は古い骨を分解・吸収する「破骨細胞」の働きを抑えて骨を丈夫にする役割がありますが、その反面、「ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)」を発症するケースがあるため、抜歯、インプラント、歯周外科などの治療を行う場合は特に注意が必要です。

日本口腔外科学会や日本骨代謝学会などの学会では、「ビスホスホネート製剤を服用前に歯科医師の受診が必要」との見解を示しました。そのため、骨粗しょう症の主治医ならびに歯科医師との連携が不可欠です。必ず担当医と相談しながら治療を適切に進めるようにしましょう。

高血圧の薬

高血圧の治療薬を服用している方も歯科治療を行う際は要注意です。血圧を下げるために降圧剤を服用している方が抜歯など外科的処置を受けた場合、出血が止まらなくなることがあります。このため、治療の際は以下の点に注意しましょう。

・当日に降圧剤を服用したかどうかを確認する
・歯科治療は午前中に行う
・治療前に血圧を測る
・心臓の負担を減らすため治療は座って行う

治療中や治療後の体調の変化にも気を配り、心配な場合は事前に担当医に相談しましょう。

脳腫瘍や心疾患の薬

脳腫瘍や虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)、心筋梗塞、狭心症といった症状の治療には、抗血栓薬や抗擬個薬が使用されることがあります。抗血栓薬や抗擬個薬を服用している場合は止血がしにくくなることがあるので、抜歯など外科処置を行う場合は十分に注意する必要があります。

ステロイド薬

ステロイド薬は喘息やリウマチ、アレルギーなどの治療薬として使用され、免疫反応を抑制して炎症やかゆみを抑える役割があります。ステロイド薬を長期にわたり服用していると副作用により免疫機能が低下し、抜歯などの際に細菌感染を起こしやすくなります。またストレスを抑制するホルモンも低下するので、治療の際の刺激や痛みでショック症状を起こすこともあるので注意が必要です。

全身疾患の方や薬を服用している方は必ず担当医に相談を

歯の治療は口腔内だけの問題ではなく、全身疾患とも密接に関わっています。しかし、多くの人はその関係性について認識しておらず、薬の副作用が起きるリスクを想定していません。下記のような持病を持つ方は、歯科治療によってトラブルが起きる可能性がありますので、十分に注意しましょう。

・高血圧症
・糖尿病
・骨粗しょう症

薬の服用による事故やトラブルなどを未然に回避するためにも、歯の治療を受ける際は罹患している病名、服用している薬に関する情報を必ず担当医に伝えるようにしてください。

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