臭いの原因になるって本当?ストレスと口の健康の関係性とは
ストレスと虫歯
虫歯の一番の原因は細菌感染であり、日々の丁寧な口腔ケアによって虫歯を防げます。そのため、虫歯になると歯磨きが不十分だったと考える人が大半です。しかし、実は精神的ストレスも虫歯の大きな原因となります。
これは、ストレスによって唾液の量が減ることに起因しています。唾液は副交感神経が刺激されることによって分泌されます。しかし、ストレスを感じると副交感神経ではなく交感神経が優位になるため、唾液の量が減って口の中が乾燥してしまうのです。
唾液が少なくなると口の中がカラカラになり、細菌を洗い流す力が弱くなります。また、唾液によって保たれていた口腔内のpH バランスが崩れ、虫歯菌が繁殖しやすい状態になります。さらに、唾液がもつ抗菌作用も十分に得られなくなってしまうのです。
このように、ストレスによって唾液が少なくなることで虫歯になりやすい口腔環境になってしまいます。ストレスがかかりやすい環境にあるときには、より丁寧に歯磨きをするのが大切だと言えるでしょう。
ストレスと歯周病
口の病気で代表的なものとしては、虫歯のほかに歯周病が挙げられます。歯周病も虫歯と同様に細菌感染が原因で引き起こされるため、ストレスによって唾液が減少すると歯周病になりやすくなると言えます。
さらにストレスは体の抵抗力を弱めます。ストレスによって食習慣や口腔ケアの習慣が変わることも、歯周病になる原因の1つだと言えるでしょう。
ストレスと歯ぎしり
歯ぎしりは寝ている間にするものなので、歯ぎしりをしているという自覚があまりない人もいるかもしれません。もし朝起きたときに奥歯が痛い、顎が疲れているなどの症状があれば、歯ぎしりをしている可能性が高いと言えるでしょう。
多くの人が悩まされている歯ぎしりですが、その原因は完全には明らかになっていません。しかし、一般的にはストレスや飲酒、喫煙、噛み合わせの悪さなどが原因だとされており、特にストレスは大きなウエイトを占めていると言われています。
ストレスが溜まっているときに歯ぎしりをするのは、ストレスを発散するためです。しかし、歯ぎしりをし過ぎると歯にダメージを与えてしまうので注意が必要になります。
ストレスと顎関節症
顎関節症は、口を開けづらい、口を開けようとすると顎が痛む、顎の関節が鳴るなどの症状を呈する病気です。一生の間に2人に1人は経験すると言われるほど身近な病気で、そのほとんどは自然に治ります。しかし、症状が悪化し治療が必要になるケースもあります。
そして、顎関節症はストレスと非常に深い関わりがあるとされています。顎関節症の患者さんを対象に行った研究では、情緒不安定や自律神経の乱れなどが多くみられることが明らかになりました。また、神経質な人や完璧主義な人は顎関節症になりやすいという傾向もあるようです。
ストレスと口臭
前述したように人はストレスを感じると唾液の分泌量が少なくなります。そして、唾液の分泌量が少ないと口の中の雑菌が増えて嫌な臭いの原因となります。
口臭が気になるときには、丁寧に歯磨きをして口の中の衛生状態を保つ、ニンニクなど口臭の原因になるものを食べないなどの対策をとる人が多いと思います。しかし、口が乾いていると感じることが多い場合は、ストレスが原因であることを疑ってみてください。
ストレスと舌痛症
舌痛症とは舌に原因不明の痛みが生じている状態のことを指します。そもそも原因が不明なので、症状を根治させるための治療法は確立されていません。舌痛症の治療は、痛みをコントロールするなどのいわゆる対症療法が主になります。
原因がわかっていない舌痛症ですが、舌痛症の患者さんは大きな精神的ストレスを抱えていることが多いことで知られています。そのため、舌の痛みに悩んで歯科を受診したときに精神科を紹介されることも多いようです。
上手にストレスと付き合うことが大切
精神的ストレスと口の健康は深く関係しており、ストレスが溜まることで口腔内環境が著しく悪化してしまうことがあります。さらに、口の健康を損なうことは全身の健康を損なうことにもつながります。
もちろん、ストレスを完全に回避することはできません。大切なのは、日々のストレスと上手に付き合っていくことです。過度のストレスを避け、口の中の健康を保つためにも自分なりのストレス解消法を探してみてはいかがでしょうか。