虫歯があると宇宙飛行士になれないって本当?

2018.08.26 health福本春香

宇宙飛行士が虫歯NGな理由とは

宇宙

放置している虫歯があったり、治療途中の歯があったりするにもかかわらず、宇宙に行ったとしたら、実はものすごい激痛を伴う恐れがあります。それは気圧の関係によるものです。

宇宙で作業をするときは、宇宙服を着てスペースシャトルから出ますが、そのときシャトルの中と外では気圧の差があるので、あらかじめ宇宙服の中の気圧を約0.3気圧まで減圧しておきます。そうしなければ宇宙服が膨れ上がってしまい、手足の自由がきかなくなってしまいます。

この減圧の際に虫歯や歯の治療によって空洞ができていると、その部分の空気が膨張して内側から歯を圧迫。すると神経が圧迫されるなどのトラブルが起き、普段は感じない痛みを感じやすくなってしまうのです。

宇宙に行く前に必ずやること

歯の健康診断と治療

宇宙飛行士が地球を離れる前には、必ず健康診断を行います。この際に歯の健康診断も必ず行われています。そこで虫歯になりかけの歯はないか、宇宙飛行中に状態が悪化しそうなところはないか、くまなくチェックされるそうです。もし虫歯が見つかった場合でも、しっかり治療すれば問題なく宇宙へ行くことができます。JAXAの毛利衛さんも、宇宙へ行く前に小さな虫歯が4本見つかり、治療したと言われています。

抜歯の訓練

歯科医師免許を持つ歯科医師以外にも、抜歯が唯一許されているケースがあります。それが宇宙飛行中の宇宙飛行士です。無重力空間ではたとえ歯科医師がいたとしても、歯を削ったりする治療はできません。そのため、万が一に備えて歯を抜く訓練をしておくそうです。

万が一宇宙で虫歯が痛んだら

子どもの虫歯

しっかり治療を施したにもかかわらず、もし宇宙で歯が痛むようなことがあったら、どう対処すればいいのでしょうか。まず、痛み止めのお薬を飲んで様子を見ましょう。それで治まれば問題はないですが、それでも痛みが強くなった場合は歯科医師の指導のもとにほかの乗組員が抜歯を行います。いくら訓練をしたとはいえ、整った環境下でない抜歯はさすがにちょっと怖いですよね。そのため、地上だけではなく、どんな場所でも歯の健康維持が大切なことがおわかりでしょう。

宇宙飛行士の他にお口のトラブルがあると困るお仕事

口の中に問題があると仕事にならないのは、何も宇宙飛行士だけではありません。以下のような職業も、歯と歯ぐきが健康であってこそ本来の力を発揮して務めることができます。

その1:パイロット・キャビンアテンダント

飛行機も宇宙ほどではありませんが、体が気圧の変化を受けます。そのため、何度も乗り降りするパイロットやCAたちも歯の健康は重要だと言えます。

その2:演奏家

ラッパやホルンなどの息を吹く楽器を演奏する場合、歯が痛んだり調子が悪いと音が変わってしまったりするそうです。

その3:スポーツ選手

野球バットやゴルフクラブで球を打つ瞬間や、サッカーボールを蹴る瞬間など。スポーツは歯を食いしばって力を出す場面が多くあります。歯や歯ぐきの調子がよくないと、大事な試合で結果が出せなくなってしまいます。

その4:ダイバー

ダイビングの世界でも、海に深く潜れば潜るほど気圧の変化が生じます。そのため、ダイバーも宇宙飛行士と同じく虫歯や治療中の歯がない状態を維持することが必要です。

普段からきちんと虫歯・歯周病予防を

宇宙飛行士をはじめ、さまざまな職業にも影響を及ぼすお口の健康。普段からしっかりケアすることで、どんな時も好きな仕事に打ち込めるようにしておきたいものです。虫歯・歯周病予防に大切な以下の項目を、改めてチェックしましょう。

□ 定期的に歯科医院で予防メインテナンスを受けている
□ 自分が磨き残しやすい部分を知っている
□ デンタルフロスやワンタフトブラシで細かい部分のプラーク掃除している
□ キシリトールなどで虫歯菌の増えにくい口腔内環境をつくっている

もし1つもチェックが入らないという方は、今からでも遅くないので自身の予防の意識を改めてみるといいでしょう。虫歯・歯周病の予防は普段のケアがもっとも重要だと言えます。

来るべき未来、虫歯のない歯で宇宙に

夢

宇宙空間と虫歯の意外な関係についてご理解いただけたでしょうか?また、宇宙飛行士でなくても、人と関わるうえで清潔なお口はエチケットだと言えます。いつか宇宙へ行ける日を夢見る方はもちろん、そうではない人も日ごろからオーラルケアにしっかり取り組みましょう。

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