赤ちゃんへのキスや口移しで虫歯が移るって本当?歯周病は?

2018.12.23 health福本春香

虫歯菌は特に移りやすい“時期”がある!?

驚く赤ちゃん

実は生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、菌がほとんど存在しません。それは虫歯の原因となるミュータンス菌においても同様です。病気をもたらす菌が少ない状態をなるべく維持したいところですが、人と関わっている以上、それは難しいでしょう。時にはお友だちのなめたおもちゃをなめてしまう可能性もありますし、兄弟で同じアイスクリームをかじることもあるはずです。

その中でも特に要注意な期間が“感染の窓”と呼ばれる1歳7ヶ月から2歳半くらいまでの時期。この時期は次々と乳歯が生えそろってくる時期ですが、乳歯は歯質が弱いので菌にさらされることで虫歯になりやすいと言われています。ただし、要注意期間をすぎるとだんだんミュータンス菌は定着しにくくなります。そのため、成人になってパートナーとキスをして菌が移っても、確実に虫歯まで移っているわけではないのです。

また、虫歯の原因は菌だけでなく食事環境や遺伝などさまざまな要素が関わります。菌が移らないよう気をつけるのも大事ですが、自分が虫歯になった原因を知ることも同じくらい大切と言えます。

家族みんなでできる虫歯予防

家族の歯ブラシ

虫歯菌は家族間やパートナー同士で感染する恐れがあるので、1人だけ完璧にプラークコントロールができていても確実な予防にはなりません。大切な人みんなで、以下のことに気をつけてましょう。

予防1:まずはパパとママがしっかり虫歯予防を

お子さんがいる家庭の場合、お子さんのケアを優先しがちです。しかし、親自身のお口のケアも同様に重要。実は親の虫歯菌が多いほど、子どもへの感染率が高いという研究結果があります。歯磨きはもちろん、定期的な歯科医院でのメンテナンスは家族みんなで受けるようにしましょう。

予防2:食事のときは特に注意

大人が使ったスプーンやお箸で子どもに食事をさせると、虫歯菌が移ってしまう可能性があります。さらに熱い食べ物をフーフーと冷ましてあげるのも実は危険。唾液が飛ぶと虫歯菌も一緒に飛ぶことが考えられます。

予防3:うがいのコップは別々に

歯磨き後は口の中がキレイだからと安心しがちですが、菌がキレイになくなったわけではありません。せめて大人用と子ども用は分けるようにしましょう。

歯周病に感染する危険性は常にある

母と子

歯周病菌も虫歯菌と同じく、キスや口移しで人から人へ感染します。さらに虫歯菌が子どものころに限定して感染しやすいのに対して、歯周病菌は子どもから大人まで常に感染の危険があるのです。日本では成人の8割が感染していると言われており、決して他人事ではありません。

また、歯周病の症状が進行しやすいかどうかは体の状態とも深く関係しています。赤ちゃんや妊婦さんなど免疫が弱い時期の人、糖尿病の人、タバコを吸っている人など。体の抵抗力が弱いときほど悪化しやすくなります。

歯周病は痛みを感じないうちにいつの間にか進行し、最後には歯がグラグラになって抜けてしまうこともある恐ろしい病気。普段はそこまで神経質にならなくてもいいかもしれませんが、自分が少し弱っているなと感じたら、感染の危険がある行為は避けたほうがいいかもしれません。

歯周病予防は歯ぐきのケアが重要

デンタルフロス

歯周病も虫歯と同じく、大切な人に感染させないようしっかりと自分自身のお口をケアしておく必要があります。見落としがちですが、歯周病予防で重要なのは歯ぐきのケア。私たちの歯ぐきは健康な状態でも1~2mmの溝がありますが、ここに歯周病菌がたまってしまうと炎症を起こしてしまいます。オススメは以下のようなケアです。

ケア1:歯磨きは歯ぐきまで

歯磨きのときは歯と歯ぐきの境目にブラシをあて、小刻みにうごかして歯ぐきも磨くようにします。

ケア2:デンタルフロス

デンタルフロスは歯と歯の間だけに通すのではなく、歯ぐきの溝のプラークまでしっかり除去しましょう。はじめは血が出るかもしれませんが、それは炎症を起こしている証拠。続けていると健康な歯ぐきに戻ります。

自身や大切な人のためにもお口のケアの徹底を

親子

虫歯や歯周病に感染するリスクは、人と一緒に暮らしているとなかなか避けられないものです。しかし、予防法を知っておけば、万が一感染したとしても発症を最小限に抑えることができるかもしれません。正しいお口のケアで、自分と大切な人のお口の健康を守りましょう。

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