今注目を集めているプロバイオティクスによる虫歯・歯周病予防

2017.09.25 health福本春香

プロバイオティクスって何?

プロバイオティクスと聞くと「ヨーグルトなどに入っている体にいい善玉菌」というイメージがあるかもしれませんが、善玉菌そのものを表しているわけではありません。微生物や細菌による作用、また微生物や細菌を使った製品、それらを活用して健康を目指そうという考え方そのものを「プロバイオティクス」と言います。

以前は、アンチバイオティクスという抗生物質で悪玉菌をやっつける方法が主流でした。しかし、それでは無害な菌まで殺してしまったり薬剤耐性菌などが生まれてしまったりするため、反対の考えである「体にいい菌を増やす」というプロバイオティクスが注目されるようになってきたのです。

プロバイオティクスで活用される菌はさまざまな種類があります。特に身近なものでは乳酸菌・ビフィズス菌・ガセリ菌など。これらの菌が生きたまま腸までたどり着くことで、腸内は酸性になります。すると悪玉菌の増殖が抑制され有害物質が減少。腸の機能が活発になり、消化吸収によい効果をもたらしてくれるのです。

プロバイオティクスと虫歯・歯周病の関係

虫歯や歯周病の原因は菌による感染です。虫歯はミュータンス菌などが酸をつくり出して歯の表面を溶かすことで起こり、歯周病はジンジバリス菌などが歯ぐきの溝に棲みつきゆっくりと組織を溶かしていくことで起こります。わずか1mgのプラークの中には、約1億個以上の細菌がいるともいわれています。だからこそ、毎日の口腔ケアや定期的なメンテナンスで菌を除去することが何より大事なのです。

このように腸内と同じく口の中にも悪さをする菌がいますが、プロバイオティクスを活用すればこれらの悪玉菌の働きを抑制したり数を減らしたりすることができます。つまり、虫歯や歯周病の予防にプロバイオティクスが効果的であると考えられるのです。

虫歯・歯周病に効く乳酸菌

プロバイオティクスで使用される細菌にはさまざまな種類があり、それぞれ効果が異なります。その中でも、特にお口のケアに力を発揮してくれる乳酸菌を4つ紹介します。

LS1(ラクトバシラス サリバリウスT12711)

私たちの口の中にもともといる善玉菌で、歯周病の原因となるジンジバリス菌を減少・抑制させることが研究で明らかになっています。歯周病菌を上回るほどのスピードで増殖するのも特徴です。また口の中の唾液を酸性やアルカリ性から中性にしてくれるので、虫歯になりにくく口臭も出にくい環境にしてくれます。口臭のある人がLS1を2ヶ月摂取したところ、7割程度の人の口臭が軽減したという研究結果もあるそうです。

ロイテリ菌

人間を含む哺乳類の消化管にいる善玉菌で、母乳にも含まれています。ロイテリ菌は善玉菌には影響を与えず、悪玉菌をピンポイントで攻撃してくれるという特徴があります。ピロリ菌の抑制や免疫力の強化など、幅広く活躍してくれる菌です。ロイテリ菌を含むヨーグルトを1日1回、2週間摂取したところ、唾液中の虫歯菌が減少したという研究結果もあるそうです。

L8020

善玉菌を増やして細菌バランスを整え、ミュータンス菌・ジンジバリス菌を減少させ増殖を防ぐ効果があります。口の中にいるカビの一種であるカンジダ菌の抑制にも効果があると言われています。

WB21

健康な人の口の中にもともといる菌です。悪玉菌を攻撃する力があり、体の健康維持に効果をもたらしてくれます。虫歯や歯周病菌の減少・抑制だけではなく、胃がんの予防や便秘解消といった効果もあると言われています。

どんな製品があるの?

乳酸菌を配合した口腔ケア用品には、さまざまな種類があります。一番手軽で種類も多いのはタブレット。寝る前になめると就寝中にお口の菌の増殖を防ぎます。マウスウォッシュは、口の中をゆすぐことで善玉菌がいきわたり、お口のネバネバや口臭が軽減できます。ヨーグルトは1日1個を継続的に食べるものが多く、続けることでより効果が期待できるそうです。

プロバイオティクスによる虫歯・歯周病予防は簡単に取り入れられるので、毎日の口腔ケアにプラスしやすいですよね。ぜひ、ご自身に合った方法を見つけてみてください。

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