虫歯予防に大切?意外と知らない唾液の役割とは

2018.05.27 health福本春香

唾液が虫歯予防において重要な理由

笑顔の女性

意識されることなく口の中にたまっている唾液ですが、1日に1~1.5リットルも分泌されると言われています。どんなにしっかりオーラルケアしていても、唾液の分泌量が減ると洗浄作用が弱まるので虫歯になりやすい環境になります。虫歯予防において唾液は以下の働きをしています。

理由1:口の中の汚れを洗い流す

唾液には口の中にたまった食べかすやプラークを洗い流す働きがあります。そのため、分泌量が減ると細菌が繁殖し、虫歯や歯周病になりやすくなったり口臭がきつくなったりするリスクが高まります。

理由2:口の中のphを中性に保つ

私たちの口の中は通常ph6.8~7.0の中性を保っています。ところが食事をして糖分を摂取するとphが酸性に傾き、歯を覆うエナメル質が溶けやすい環境になります。唾液にはこの傾いたphを中性に戻してくれる緩衝能があり、歯を酸から守ってくれているのです。

理由3:再石灰化を促す

虫歯の初期段階は脱灰と呼ばれ、エナメル質の結晶がスカスカになった状態です。しかし、そこに唾液の再石灰化が行われると、カルシウムイオンとリン酸イオンを補給することでエナメル質をもとの健康な状態に戻してくれます。つまり、唾液が再石灰化を促すことで口のトラブルを未然に防ぐことができるのです。

自浄効果だけではない唾液の役割

唾液には口の自浄効果だけではないさまざまな役割があります。以下で紹介する内容は、どれも生きていくうえで非常に重要な働きだと言っても過言ではありません。

役割1:免疫力を維持する

口には、外から侵入してくる細菌やウイルスなどから体を守る免疫機能があります。唾液にはリゾチームという抗菌作用を持った酵素が含まれています。

役割2:食べ物を飲み込みやすくする

パンやスナック菓子などパサパサするものはそのまま飲み込みづらいですよね。しっかり噛むことで唾液が分泌されれば、食べ物をうまく塊にして飲み込みやすい状態にします。また、むせたり間違って気管に入ることも防げます。

役割3:口の中の粘膜の保護

口の中は硬い歯と柔らかい粘膜があります。しゃべったり硬い物を食べたりしても粘膜が傷つかないのは、唾液が口中を潤すことで保護しているからです。

役割4:消化を助ける

小さい頃、親に「よく噛んで食べなさい」と言われたことはありませんか?それは本当に大事なことで、よく噛むことで唾液が出るとアミラーゼという消化酵素が炭水化物を分解してくれます。そうすることで食べ物が分解されやすくなり、胃などの消化器官の負担を減らしてくれるのです。

唾液を増やす方法

ガム

唾液はストレスを感じると出にくくなったり、加齢とともに分泌は減ったりします。また、口呼吸も唾液の分泌を妨げる原因です。ストレス社会で生活する中もし口が乾きやすいと感じたら、唾液の分泌を増やす次の方法を試してみてください。

方法1:よく噛んで食べる

20~30回噛むとよいと言われていますが、食べている時にいちいち回数を数えていては食事を楽しめませんよね。そこで目安として、口の中の物がおかゆ状になったら飲み込むようにしましょう。

方法2:水分補給する

水分不足は唾液の分泌が減る原因となるので、こまめに水分補給をしましょう。おすすめは1日1~1.2リットルの水を飲むこと。お茶などに含まれるポリフェノールは唾液の分泌を抑制する働きがあるので、適度に摂るようにしましょう。

方法3:マッサージする

「耳下腺」という部分を軽くマッサージすると唾液の分泌を促すことができます。やり方は人差し指から小指までの指を顎のつけ根にあて、ゆっくり優しくグルグル回してマッサージします。

方法4:キシリトールを摂取する

キシリトール入りのガムやタブレットを口に含んでおくと、唾液の分泌を促進させるだけでなく虫歯菌が増えにくい環境をつくります。キシリトールは100%配合のものがおすすめです。

唾液は歯を守る重要な役割を担っている

白い歯

歯磨きや定期的なクリーニングも大切ですが、唾液は身近なところで私たちの歯を守ってくれる大切な役割を担っています。常に口の中がしっかり潤うよう、こまめにチェックするようにしましょう。

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