「歯みがき革命!」著者の歯科衛生士に聞いた むし歯になる人とならない人がいる理由

2018.08.17 dhHa・no・ne編集部

「歯みがき革命!」出版に至った経緯について

歯みがき革命!

まず大きな反響を呼んでいる、「歯みがき革命!~歯みがきよりも大切なこと~」の出版の経緯について我妻さんに伺うと、意外にも「院長にすすめられたから」という答えが返ってきました。我妻さんが歯科衛生士として勤務している「岩田有弘歯科医院」の岩田有弘院長は、これまで「より多くの患者さんに来院してもらいたい」という想いから、さまざまな歯にまつわる書籍を出版してきました。そして、書籍の編集担当者さんも今では岩田有弘歯科医院の患者さんだというから驚きです!

以前から「歯科関係者なら誰でも知っていることを一般の人に発信したい」と思っていた我妻さんは、そんな院長のすすめもあり出版を決意。書籍を作るうえで意識したのは、「まだ自身の歯が悪い状態にあると意識していない人も手に取ってもらいたい」という点でした。確かに歯科関係の本って、歯の病気が進行している人が手に取るイメージがあります。デザインも派手さがなく、なんだか難しそうな医学書のイメージがあります。

だからこそ、“手に取りやすい本”にするため、我妻さんは知り合いのイラストレーターひなたかほりさんに依頼し、書籍の中にふんだんにイラストを使用。わかりやすく、かつページをめくるのが楽しくなるようなイラストのおかげで、難しそうなイメージを抱かずに歯についての知識を深められる本が完成しました。

むし歯になる人とならない人の違いは唾液とミュータンス菌

取材

出版の経緯を一通り聞けたところで、むし歯になりやすい人となりにくい人の違いについてお話を聞きました。多くの人が誤解していますが、「歯みがきをよくしている人がむし歯になりにくい」わけでは必ずしもないようです。もちろん、歯みがきは重要ですが、むし歯を防ぐうえで重要なカギとなるのが“唾液”の存在だと我妻さんは力説してくれました。

唾液には口腔内を洗浄する役割のほかに、抗菌作用、再石灰化作用など歯の健康を維持するうえで重要な機能があります。再石灰化とは、簡単に説明するとむし歯菌によって溶けた歯の表面を元の状態に戻す機能のこと。唾液の分泌が多い人は再石灰化が促進されるため、むし歯になるリスクを低くすることができます。自分の唾液について日常生活であまり意識しないからこそ、我妻さんは一度歯科医院で唾液の分泌量について調べることをすすめています。

また、唾液と並んで重要なのが「ミュータンス菌」の存在。多くの人にとって聞き慣れない言葉かもしれませんが、「歯みがき革命!」の中では、このミュータンス菌について、むし歯のきっかけを作る“ボス”的な存在として紹介しています。日本人のほとんどがミュータンス菌に感染していますが、人によって菌の保有量が異なり、数が多ければ多いほどむし歯に感染するリスクが高まるのです。

ミュータンス菌は親から感染し、糖の多い食事を摂取することで歯に定着。そして、むし歯を引き起こします。そのため、ミュータンス菌を定着させない食生活を送っている人が、「むし歯になりにくい人」と言えるのです。「ミュータンス菌」は歯の健康を知るうえで欠かせないキーワードであることがわかりました。我妻さんの書籍「歯みがき革命!」では、こうした一般にはあまり知られていない情報がわかりやすく説明されていて、「歯の知識を広めたい!」という強い想いが随所に感じられます。

子どもと接するお母さん自身がミュータンス菌を減らすこと!

妊婦

日本でもこの10年くらいで「むし歯菌は感染する」という認識が定着してきました。そして、「赤ちゃんにキスしたり、食器を共有したりしたらうつってしまう……」という母子感染を危惧する声も聞かれるようになりました。しかし、我妻さんは母子感染についてはあまり神経質になる必要はないとのこと。というのも、子どもにミュータンス菌がうつるのは、生後19~31ヶ月の間。つまり乳歯が生え始め、生え終わるまでの期間だけで、その時期を避ければミュータンス菌の感染についてあまり神経質になる必要はないそうです。

そもそも、ミュータンス菌を一切うつさないことは不可能だそうです。では、赤ちゃんの歯をむし歯から守るにはどうしたらいいのでしょう?我妻さん曰く、「赤ちゃんと接する機会の多いお母さんの口をきれいにし、ミュータンス菌の数を少なくすること」が重要だそうです。そのためには、お母さんご自身がむし歯やミュータンス菌についての知識を深めることから始めるべきとのことでした。

また、「むし歯になりにくい食生活」について知ることも同様に重要。砂糖を過剰摂取しないなど食習慣についての知識を身につければ、お母さんご自身のむし歯予防はもちろん、子どものむし歯予防にもつながるのです。

個人のケアも歯科医院のケアも両方大切

歯みがき

むし歯についての知識を深める中で、「個人で行うケア(セルフケア)と歯科医院のケア(プロケア)、どちらが効果的?」と思う方もいるかもしれません。我妻さんによると、スウェーデンではPMTCを受けた患者は生涯で1本も歯を失わないというデータがあるそうです。ちなみにPMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaning/プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニングの略であり、歯みがきで取り切れない歯垢を、歯科医院で除去する処置のことを意味します。

歯科医院でのプロケアは確かに重要ですが、とは言っても受けられるのは年に数回程度。残りのケアは、セルフで行う必要があります。つまり、個人によるセルフケアが歯科医院で受けるプロケアと同じくらいか、それ以上に重要なのです。

また、我妻さんはプロケアにおいても、単に歯をきれいにする処置を受けるだけではなく、「歯の情報や知識を正しく学ぶ」ことが重要だと強調しました。正しいケア方法の知識が身につけば、歯に対する意識を高めることができるからです。実際、岩田有弘歯科医院では開院してからの9年間で歯周病によって歯を失った患者さんは1人だけであり、その数も1本だけだそうです。歯科衛生士は“歯のトレーナー”として患者さんに処置だけでなく、必要な知識を教えてくれることで健康を守る手助けをしてくれます。

そんな歯のトレーナーの1人である我妻さんから、貴重なアドバイスが1つ。それは「柑橘系の果物や炭酸飲料など強い酸性の飲食物を摂取してすぐに歯磨きするのはNG」だということ。というのも、食後歯の表面が酸で溶けている状態のうちに歯みがきをすると、歯質が削れてしまう可能性があるからです。強い酸性の飲食物を摂った後に歯みがきをするのは、再石灰化によって歯の表面が元に戻るまでは控えた方がベター。

ただし、それ以外の食事の場合はプラークが付着している箇所から歯が溶けていくため、むしろ早めにプラークを取ってあげた方がケースもある。また、30分後にと思っていたら寝てしまった、忘れてしまう方がむし歯のリスクを高めるため、よく言われている食後30分以降の歯みがきは、すべての人にお薦めできるわけではないそうです。

1人ひとりのむし歯予防の意識向上が不可欠

歯医者

歯の健康を守るうえでは、個人のケアの意識が重要であることを我妻さんが丁寧に教えてくれましたが、実は地域によって子どもの歯の健康状態に差があるという衝撃の事実も判明しました。我妻さんはほかの歯科医院に勤める歯科衛生士さんと交流する中で、子どもの歯の状態について知る機会があるそうです。それによると、地域によっては地元の歯科医院が勉強会を開き、歯の知識を広める機会があることも。そうした地域では当然、子どもの歯の健康状態はよい傾向にあります。

また、親が歯の健康に関心のある家庭で育てば、矯正治療を行うことで歯並びが改善され、歯みがきがしやすくなり、結果として子どもはむし歯になりにくくなります。このように地域や親の取り組み次第で、子どもの歯の健康は左右されることは明らかです。むし歯に対する高い予防意識を周囲の大人たちが持つことで、子どもの歯の健康を守ることにつなげることが求められます。

お母さんも子どもも健康な歯でいるために

我妻美夕紀

インタビューの中で何度も触れられたのが、むし歯をなくすためには日頃のケアや予防が何よりも大切、という点でした。しかし、歯の健康に関心がある人はまだまだ少ないのが現状です。我妻さんにインタビューした中で印象的だったのは、「髪や肌のケアにはお金をかけるのに、なぜ歯にはお金をかけないのか」という意見でした。

実は歯周病で前歯を失って後悔する女性の数はとても多いそうです。また、歯の健康を保つことは美容だけでなく、妊娠したときの備えのためにも重要になります。妊婦さんが歯周病になった場合、早産のリスクが通常の7~8倍になるとも言われているからです。

お母さんも子どもも健康な歯でいるためには、一緒に歯についての知識を深めていくのがよいでしょう。子どもが生まれたらキシリトールでむし歯を予防するのも1つの方法です。キシリトールには、ガムやタブレットをはじめ、お菓子と同じ甘みを持つチョコやグミタイプもあります。そうした食品を活用することで、我慢せずに楽しみながらケアを学ぶことができます。

もう少し子どもが大きくなったら、歯の健康を保つための食生活について話し合うのも効果的です。緑黄色野菜や根菜など、たくさん噛めて唾液の分泌を促せる食べ物は、体にも良いものばかりなので積極的に摂るようにしましょう。毎日の心がけやケアでお母さんと子どもの歯の健康状態は変わります。正しいケアを身につけるためにも、参考となる「歯みがき革命!」のような書籍を1冊購入しておくと心強いいかもしれませんね。

▼取材協力▼
岩田有弘歯科医院
医院HP http://www.haha-nukuna.com/
〒103-0011 東京都中央区日本橋大伝馬町2-8 BROS. 大伝馬5F
歯みがき革命ブログ https://ameblo.jp/miyuki-azuma/

❤ Ha・no・ne読者様限定! プレゼントキャンペーン ❤

こちらの記事を読んでいただいた方限定で、「歯みがき革命!」の本を抽選で3名様にプレゼントいたします!
キャンペーン期間中に、ハッシュタグ「#hanone歯みがき革命」をつけてSNSに投稿するだけの簡単応募♪ どなたでもお気軽にご参加いただけます!

歯みがき革命!

 応募方法 
【STEP1】Ha・no・ne公式アカウントをフォロー
・Twitter「@hanone201610073
・Instagram 「@hanone1007
・Facebook「Ha・no・ne(ハノネ)

【STEP2】指定ハッシュタグをつけて本記事へのリンクを投稿!
・ハッシュタグ「#hanone歯みがき革命
・本記事リンク https://ha-no-ne.com/column/summary/0001168
※Instagramの場合は、記事のスクリーンショットもしくは本の表紙画像を投稿

 キャンペーン期間 
2018年8月17日(金) ~ 2018年8月31日(金)正午

 抽選・当選発表 
厳正な抽選の上、当選した方には各SNSの「ダイレクトメッセージ」にてご連絡させていただきます。
そのため公式アカウントを必ずフォローしていただきますようお願いいたします。

※当選通知受信後、お届け先などの必要項目をご返信ください。7日以内にご連絡がない場合は当選を無効とさせていただきますのでご注意ください。
※プレゼントのお届けは9月中旬から10月上旬の予定です。
※賞品の発送は日本国内に限らせていただきます。

あわせて読みたい

レコメンド

関連記事