“ガム離れ”の時代で“顧客のファン化”を実現する リカルデントのブランド戦略とは?
「ブランド価値の訴求によって“顧客のファン化”を実現」
Ha・no・ne編集部:森下(以下森下)
近年は若者を中心に“ガム離れ”が進んでいると言われており、業界全体の売上が過去10年間で4割減少しているというデータもあります。この現状についてはどのようにお考えですか?
モンデリーズ・ジャパン株式会社 リカルデントマーケティング本部ブランドマネジャー:田代さん(以下田代)
業界の売上がここ数年間微減を続けているのは間違いありません。しかし、内訳をくわしく見ると、みなさんにとってお馴染みのスティックタイプに比べて、家庭やオフィスなどで共用でも食べられるボトルタイプ非常に穏やかな下がり幅です。そのため、市場は微減が続いていますが消費者へのアプローチ方法によってはまだまだ成長する余地があると捉えています。
森下
素晴らしいですね!では微減が続く市場の中で、競合優位性を示せている要因はどのあたりにありますか?
田代
当社が取り扱うリカルデントやクロレッツなどの製品は、「なぜこのガムを噛むのか?」という顧客の問いに対して機能性などのブランド価値を明確に提示することができています。ブランドが確立できている製品はシェアを伸ばしているのです。
森下
ブランド価値を理解してもらうことで、顧客のハートをがっちりつかんでいるのですね。
田代
そうです。特にリカルデントは、2016年にリニューアルをして“ブランド価値”の訴求をより強化しています。その甲斐あってか現在、過去5年間で1番のシェアを獲得している状況です。市場の動向は厳しいものはありますが、製品のブランド価値をきちんと訴求することで“顧客のファン化”を実現できると考えています。
森下
なるほど!“顧客のファン化”を実現できているからこそシェアを獲得できているのですね。
森下
ブランド価値の向上のためにどのような取り組みを行っていますか?
田代
リカルデントは「むし歯の始まりを抑制する※1」という製品ベネフィットを訴求している製品のため、特にお口の健康が気になる30~40代の大人女性のファンが多い傾向にあります。1人でも多くの方にリカルデントのファンになってもらい、そしてロイヤルカスタマーになってもらうために、「歯の健康に良い」ことを明確にアピールすることを重視しています。
森下
なるほど。具体的な施策についても教えてください!
田代
たとえば、2016年のリカルデントのリニューアルのタイミングで日本歯科医師会※2から推薦をいただきました。やはり、歯科医師推薦となったことで「歯に対する効果、効用」が非常にイメージしやすくなったと思います。また、店頭でも目につくようにパッケージのデザインも一新しました。ターゲットにマッチするスタイリッシュなデザインに加え、「歯を丈夫で健康に※1」などの文言を入れています。そうした取り組みがシェアにつながったと考えています。
森下
確かに日本歯科医師会の推薦はブランド価値向上に大きく寄与しそうですね。
田代
実は、リニューアル前からリカルデントには「むし歯の始まり」を抑制するCPP-ACP※1」という牛乳由来成分を配合しており、これまでも「歯を丈夫で健康※1にする」というコンセプトを強調していたんですよ。ただ、このリニューアルのタイミングで新たに日本歯科医師会の推薦※2を得ることができたため、いっそう信頼性の高い製品としてアピールできるようになりました。
森下
製品の特徴をしっかりと伝えることは、顧客に支持してもらいファンになってもらううえで非常に重要なんですね。その他には何をリニューアルしましたか?
田代
パカッと出すことも小口で少量を取り出すこともできる「次世代2WAYキャップ」のボトルに改良することで、より取り出しやすい構造になったかと思います。また、原材料を見直して味もちや味の立ち上がりを改良しました。このようにリカルデントはすべての面においてリニューアルに取り組んでいるんですよ。
※2日本歯科医師会により歯科保健の発展・普及に寄与すると共に、安心・安全に使用できる歯科衛生品として推薦された商品です。発売中のリカルデントには日本歯科医師会推薦でない製品もあります。
森下
お話を聞いていると、すべてが綿密な戦略に基づいていることが伺えます!ちなみに製品やパッケージなどのリニューアルもさることながら、ブランド価値向上のためにプロモーションにもいっそう力を入れているようですね。
田代
はい。リカルデントのリニューアルに際しては、コアファンである30~40代の女性から支持が厚いモデル・女優のすみれさんをCMに起用しました。彼女自身がセレブリティで洗練されたイメージがあり、さらにロイヤルカスタマーとなっていただきたい層の方が目指す健康美を兼ね備えています。
森下
健康的で歯が美しく、笑顔が印象的な方なのでブランドのイメージに合っていますね。
田代
リカルデントは歯の健康にに関連するブランドなので、歯がきれいで明るい女性が最適かと。歯の健康はその人の自信や健康美につながるところがあるので、その点でブランドイメージにもぴったりです。
森下
確かにそうですよね。一方で意外に思ったのは、お笑い芸人のナイツさんをキャンペーンに起用されている点でした。なぜナイツさんを起用しようと思ったんですか?
田代
キャンペーンを通してコアファンはもちろんのこと、幅広い世代にもアプローチしたいと考えていたので、老若男女問わず人気のナイツさんがぴったりかなと。CPP-ACPの効能など、歯の健康に関する情報には専門的な要素が多いので、ナイツさんのように面白おかしく内容を伝えていただける方々にアンバサダーを引き受けていただけて良かったです。
森下
そういう意図だったんですね。確かに楽しい内容でしたね(笑)。お馴染みの「ヤホーで調べてみました。」は本当に笑えました!この内容ならメインターゲット以外の顧客層のファン化も期待できますね。
「プレミアム製品の発売などリカルデントの長所を広める戦略を」
森下
いろいろと興味深い話を聞かせていただき、ありがとうございました。リカルデントのブランド価値向上における今後の展望についても教えていただけますか?
田代
やはりCPP-ACPによって「歯を丈夫で健康にする※1」「むし歯の始まりを抑制する※1」という特徴はリカルデントならではの強みなので、そういった長所をより知ってもらう取り組みをしていきたいと考えています。その一環として、2017年10月16日に「リカルデント プレミアム さわやかミント※3」という新製品商品を発売することが決定しています。
森下
プレミアムというのがまたそそられるワードですね(笑)。普通の「リカルデント」とどのような違いがあるんですか?
田代
牛乳由来成分のむし歯の始まりを抑制する「CPP-ACP」が通常のリカルデントの2倍配合※4されています。実は自社で発売している“歯科医院専用のガム※5”と同量の配合なんです。そのため、オープン価格ですが、通常のリカルデントよりも価格設定が高めになっています。そういった高付加価値の製品を発売することもブランドとしての価値向上につながると考えています。
森下
歯の健康を意識する人にとって、すごく耳寄りな情報ですね!これまで歯科医院でしか売っていなかったガムと同じ成分の製品が店頭で買えるなんて、ますますリカルデントのブランド価値を多くの方が認識してもらう機会になりそうです。今日はいろいろとお話していただき、ありがとうございました。
田代
こちらこそありがとうございます。次回は今回、あまり触れられなかったリカルデントの製品の魅力についてお話させていただくので、楽しみにしていてください。
※3特定保健用食品の製品ではありません
※4 オーストラリアのメルボルン大学 歯学部レイノルズ教授により研究されるCPP-ACPを自社品(歯科医院専用品を除く)の2倍配合しています
※5 自社品 リカルデント歯科医院専用グリーンミントのこと