カップルに危険信号!彼とのキスで「歯周病」が感染する~ちぃ先生の手記第57回~
キスで感染するのは「歯周病」だけじゃない?
ギネスブックにも載っている恐ろしい「歯周病」になるメカニズム
ギネスブックにも載るぐらい恐ろしい歯周病ですが、そのメカニズムをご存知でしょうか。みなさんは、子どもの頃「おじいさん、おばあさんになると勝手に歯が抜ける」と思っていませんでしたか?実は老化以外で「歯が抜ける」というのも、歯周病が進行した結果の1つなんですよ。なんと歯周病原菌は、成人の約80%がすでに持っていると言われています。
そもそも歯周病とは、プラーク(歯垢)の中の歯周病菌によって、歯を支える歯肉や骨などの歯周組織に炎症が起きてしまい、破壊されていく病気です。進行すると歯が抜け落ちてしまうほか、誤嚥などによって体内に侵入すると、肺炎や糖尿病、心疾患などとも密接に関係していると言われています。
歯周病はキスで感染る?実は虫歯も着色も…
それでは一体、歯周病原菌はどこから感染するのか。その中に、唾液が触れる“キス”などが要因だというケースもあります。たとえ交際経験がない方でも、両親や友人から感染している可能性が……。
現在では妊娠した方のための『両親学級』などで「虫歯菌が感染するリスクがあるので、赤ちゃんにキスをしたり口移しをしたりしてはいけない」と学ぶことがあります。しかも、虫歯菌だけではなく歯周病菌、そしてタバコを吸う方のヤニや着色も感染るリスクが懸念されています。唇にキスをしなくても、箸を共有するまわし食べや、飲み物の回し飲みなどでも感染経路となることがあるでしょう。
自分が歯周病菌を保持しているのか、確認していないとわかりにくいですよね。相手から感染させられることだけでなく、自分からも相手に感染させてしまわないよう注意しましょう。
歯周病を見分ける方法とは?
相手が歯周病かどうかの見分け方と対処法
相手が歯周病かどうか見分けるためにはどうしたら良いのでしょうか?ひとつは『口臭』です。歯周病が進行すると、嫌気性菌が産生する硫化水素などの揮発性硫黄化合物による独特のニオイがします。よく歯周病は口臭が「ドブのような臭い」になると表現されるでしょう。この口臭によって歯周病かどうか判断し易いと思います。
もう1つは『歯肉が腫れているか』がチェックポイント。歯周病は歯肉炎の悪化が原因になりやすいからです。見分け方は、恋人が笑ったり喋ったりしているときに歯茎のきわが赤く丸みをおびたかたちにぷっくり腫れていると歯肉炎の状態だと思われますので、指針にしてみましょう。
しかしこの方法は、前歯しか見つけにくいことと、歯肉炎が必ずしも歯周病になるとは限らないので、一般の方には難しい方法かもしれません。
歯医者さんに通う習慣があるかそれとなく聞いて見るのも手です。定期的にメンテナンスする習慣のある方なら、歯石取りや歯茎の検査もおこなっているはずなので、歯周病が進行しているケースは少ない傾向に……。仮に歯周病で通院しているとしても、歯科医院での管理によって歯周病菌の活性は抑えられていると考えられるからです。
歯周病が感染るからと言って、キスをするなと言っているわけではありません。口の中に歯周病菌が入り込んでしまっても、すぐに歯周病を発症するわけではなく、正しいプラーク(歯垢)コントロールによって歯周病の発症や進行を抑えられます。自分にも相手のためにも、日頃の丁寧なブラッシングと歯科クリニックでの定期的なメンテナンスをおこないましょうね。
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~