歯茎下がりで「老け見え」プラス10歳!歯科衛生士が教えるエイジングケア~ちぃ先生の手記第55回~
美意識が高い人は「歯茎」のオーラルケアを積極的にやっていた
老け見えにつながる「歯茎下がり」は健康にどんなデメリットをもたらす?
「歯茎が下がったように見える」あるいは「歯が伸びたような気がする」これは歯肉の退縮によるものと考えられています。たしかに、老化が原因で歯肉は退縮してしまいますが、歯肉の主成分はコラーゲン繊維なので、お肌にハリがなくなってしまうのと同じように、歯肉もだんだんと痩せ歯茎が下がったように見えてしまいます。
もう一つ大きな要因として歯周病が考えられます。歯茎が腫れ、歯茎と歯の間に隙間ができると細菌が内部に侵入し、どんどん歯周病を進行させてしまいます。歯周病は歯の周りの骨や歯肉といった組織を破壊してしまう病気なので、少しずつ歯茎を下げて支えきれなくなります。
歯茎が下がると、歯根の部分が露出するようになります。歯根露出は、知覚過敏の原因につながり、根面の虫歯も起こしやすくなってしまうでしょう。
このように、見た目の悪印象のほかにも、健康面で考えても、歯茎下がりは見過ごせませんね。
歯茎下がりの原因は「歯の磨き方」にあった?
歯肉退縮は加齢や歯周病だけでなく、若い方や健康な方でも起こしてしまう原因があります。それは“歯みがき圧の強さ”です。これはちぃが歯科衛生士として患者さんに口すっぱく指導していたのですが……そもそも自分がどれくらい強い力で磨いているのか分からないんだと思います。
通常、正しいブラッシング圧は150gほどだと言われており、実際に歯ブラシを持って量りではかってみると、驚くほど弱い力です。歯肉側の感覚は「羽でなでられているくらい」のソフトな力。「磨いている感覚がなくて、ものたりない」くらいでしょう。
反対に力が強いと、歯肉を傷つけ血が出たり、歯肉の形態が変な形に変わり(歯科ではフェストゥーンやクレフトと呼びます)露出した歯根がえぐれてしまいます。
歯みがき圧は、習慣や自覚が足りないために、指導しても改善しにくい傾向があります。歯茎下がりを止めるためには、まず日頃の歯みがき圧から変えてみましょう。
歯茎下がりを予防するためには?
歯茎ケアで若々しい口元へ!歯科衛生士が教える歯肉のエイジングケア方法
(1)正しい歯みがき
第一におこなっていただきたいのは、やはり“歯みがき圧”の見直しです。とにかく優しく丁寧に歯みがきをしましょう。また、毛先が広がった歯ブラシを使い、強い力で磨いてしまうことは歯肉退縮の原因へとつながるため注意が必要です。
歯は1本1本丁寧に、優しい弱い力で小刻みに動かしながら磨きましょう。歯磨き圧が強すぎる場合は、少しでも力を弱くするために、歯ブラシのお尻のほうを指でつまむようにもってから磨くことを提案しています。
(2)マウスピースを作る
意外と多いのが、無意識でおこなってしまっている歯軋りや食いしばりです。自覚がなくても歯をぎゅっと噛んでしまう人や、寝ている間に歯軋りをしていることで、歯周組織にダメージを与え、歯肉が下がってしまう要因にも……。マウスピースを作りクッションにすることで、歯茎へのダメージをケアする働きが期待できます。歯科クリニックへよくご相談くださいね。
(3)唾液腺と歯肉のマッサージ
歯茎に十分な酸素や栄養分を運ぶために、血行を促進する歯肉マッサージや、唾液の分泌を促す唾液腺マッサージが効果的です。唇の上から歯肉に触れてくるくる回すように動かします。
歯肉が下がることは見た目が悪いばかりか、知覚過敏や根の虫歯につながりやすいため、気が付いた時点で歯科医院へ来院するようにしましょうね。一度歯根が大きく露出すると元には戻らないので、放置しないように気をつけてください。
※参考データ 2013年 小林製薬・オールアバウト共同調査
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~