「ダラダラ飲み」が歯に大ダメージ!虫歯&酸蝕歯は飲酒後のケア不足から
お酒が引き起こす怖い2つの症状とは…
そもそも酸蝕歯って一体何?
虫歯に比べ、酸蝕歯(さんしょくし)という言葉は耳にしたことがない人もいるかもしれません。酸蝕歯とは、簡単に言うと酸性の食べ物や飲み物によって、歯が溶けてしまう症状を指します。近年では、虫歯、歯周病に次ぐ第3の歯の疾患として問題視されています。
日常的に口にする飲食物の中で酸性のものとしては、炭酸飲料やかんきつ類、お酢をつかったドレッシングなどがあげられます。とはいえ、これらの飲食物を口にしたからといってすぐに歯が溶けるわけではありません。通常は唾液が酸を中和してくれるため、歯がそこまで大きなダメージを受けることはないのです。
しかし、唾液による中和が間に合わないと、酸蝕歯になり大きな問題を引き起こしてしまうことがあります。最初に歯の表面のエナメル質が溶け、象牙質が露出した状態になり、歯がしみる、欠けるなどの症状が出るようになります。
そして、酸蝕歯と虫歯の大きな違いとしてはその範囲があげられます。虫歯が局所的であるのに対し、酸蝕歯は歯全体に起こり得ると考えられています。だからこそ、正しく酸蝕歯について理解して対処することが大切でしょう。
お酒が虫歯や酸蝕歯の原因になる理由とは
お酒が虫歯の原因になるのは、ずばりお酒に糖分が含まれていることも原因の1つです。含まれている糖分の量が多いほど虫歯を引き起こしやすくなるため、チューハイなどが好きな人はウイスキーや日本酒が好きな人以上に注意する必要があるといえるでしょう。
もちろんジュースにもたくさんの糖分が含まれていますが、大きな違いはお酒は飲み続けることが多いということです。ジュースを一気に何杯も飲む人は多くありませんが、飲み会の場でお酒を飲み続けることはよくありますよね。そのため、気付かないうちに大量の糖分を摂取していることも少なくありません。
そして、お酒が酸蝕歯につながるのはお酒が酸性であるためです。なお酸性といってもお酒の種類によってpHは大きく異なり、麦焼酎のpHは6.3、日本酒のpHは4.3~4.9、ビールのpHは4.0~4.4ほどですが、酎ハイのpHは2.5~2.9、赤ワインのpHは2.6~3.8、白ワインに至ってはpH2.3~3.4ほどです。pHが低ければ低いほど酸性が強いため、酸蝕歯にならないように注意する必要があるといえるでしょう。柑橘系の果肉や果汁の入った酎ハイは特に注意が必要です。
なお、歯の一番外側の層であるエナメル質が溶けるのはpH5.5以下の飲食物に触れた場合……さらに、その内側にある象牙質はpH6.2以下から溶け出してしまう傾向にあります。たとえ酸性の弱いアルコールでも、酸蝕歯防止のためのケアを怠らないことが大切だといえるのではないでしょうか。
虫歯や酸蝕歯を予防するお酒の飲み方
お酒が歯にダメージを与えるとはいえ、お酒をすべて避ける必要はありません。大切なのは、飲み方です。
一番気を付けたいのは、「ダラダラ飲み」といった長時間にわたってダラダラとお酒を飲む行為。これでは唾液で酸性を中和することができないため、歯が溶けてしまうリスクがあるでしょう。
もちろん、お酒だけではなく一緒に食べるおつまみも要注意です。きちんと酸性を中和できるように、適度に水やお茶を飲む癖をつけるようにするといいでしょう。また飲み物をストローで飲むだけでも歯への接触を減らすことができます。さらに飲食後にガムをかむと唾液がたくさん分泌されるので、口の中をアルカリ性に戻すのに効果的です。
食後にすぐ歯磨きをするのは虫歯には有効であるともいわれますが、酸蝕歯には逆効果です。飲食後、すぐに歯を磨いてしまうと歯のエナメル質を削り取ってしまう恐れがあります。
なので、食後すぐではなく、当たり前のことですが寝る前にきちんと歯磨きをしましょう。普段はきちんと歯磨きをする人でも、お酒を飲んで酔っ払うと歯磨きをせずに寝てしまいがちです。しかし、これは虫歯や酸蝕歯の大きな原因に。リスクを減らすためにも、歯磨きはきちんとおこなうようにしてください。
正しくお酒を飲んで虫歯や酸蝕歯から歯を守ろう!
虫歯や酸蝕歯になると、歯科医院で治療しなければいけません。また時間がないからといって治療をせずに放置すると、いずれ歯を失ってしまう可能性もあります。このような事態を避けるためには、やはりお酒の飲み方に気を付けることが大切です。お酒の席を存分に楽しむためにも、ダラダラ飲みをしないこと、間にお水やお茶をとること、そして寝る前に歯磨きをすることは徹底するようにしてくださいね。