7歳児の口内に歯が526本!?子どもの「過剰歯」リスクとトラブルとは~ちぃ先生の手記第95回~
人ごとじゃない?子どもの「過剰歯」リスク
どうして「過剰歯」が起きるの?原因とは
過剰歯は通常の歯の本数よりも多くできた歯のことで、病気ではなく先天的な異常だと考えられています。歯の元である「歯胚(しはい)」が多く作られるほか、分裂することなどが関係しているでしょう。
発生頻度はおよそ30人~40人に1人程度の割合で、女性よりも男性に多い傾向があります。特に起こりやすい部位は上の前歯(49.2%)で、次に上の奥歯(37.8%)、下の奥歯(6.6%)の順に多く見られるとのことです。多くの場合は永久歯に起こり、乳歯に関連したものは極めて稀だといわれています。
そして、過剰歯と間違えがちなのが「歯牙種」です。記事の冒頭で紹介したインドのニュースも、よく見るとこちらですね。歯牙種は歯を形成する硬組織が増殖したことでできる良性の腫瘍で、発生の原因は今のところ不明……。顎骨の中に存在しており痛みはありませんが、成長によって周辺の歯を圧迫し、歯根の吸収や歯列不正などを引き起こす恐れがあるため、摘出するケースが多いでしょう。
レントゲンを撮影して偶然発見…過剰歯の調べ方
過剰歯が1人前の歯としてきれいに生えてくることは稀で、小さい歯や丸い粒のような変形した歯として見つかるほか、ほとんどの場合はあごの骨の中に埋まったままか、歯茎から頭だけが出たような状態になる傾向に。顎の骨に埋まったままの場合は、歯と歯の間の隙間が大きい、乳歯が抜けたあと永久歯が生えてこないなどのサインで気づくことがあります。レントゲンを撮影して初めて発見できるケースも少なくないよう。
過剰歯の半数近くが、正中埋伏過剰歯だといわれています。正中埋伏過剰歯とは、余分な歯が上顎の前歯の間に存在することで、中には永久歯の前歯が生えるのを邪魔してしまうリスクがあるため、永久歯が生える前に抜くケースが多いです。
もし「過剰歯」だった時どうする?
(1)子どものケース
過剰歯は紹介した通り先天的な異常だと考えられているため、子どものうちに発見されることが多いです。ただし、発見してもすぐに治療をするとは限りません。
乳歯から大人の歯並びになる途中の段階で、過剰歯が顎の中に深く潜っている場合には、そのまま数年様子を見ることがあります。なぜなら成長途中の永久歯と見分けがつきにくいことや、治療は顎の中を切開する大掛かりな手術になるためです。永久歯が生えてくると、過剰歯も比較的浅い位置まで成長してくることが多く、それまで待ってから治療を行うことが多いようです。
(2)大人のケース
大人の場合は問題なければ放置または抜歯することになります。子どものうちに発覚してすでに抜歯しているか、生活に影響していないケースが多いため、大人の過剰歯を見ることは比較的少ないです。
しかし過剰歯による矮小歯(普通のサイズより小さく円錐型の歯が多いです)や、永久歯が生えてこないことを気にする方も……。
歯が過剰にあるというのはなんだか怖く感じられるかもしれませんが、過剰歯は病気ではないですし、そんなに怖いものではありません。
子どもの乳歯から永久歯への生え替わりが遅い、乳歯が抜けてから永久歯がなかなか生えてこない、前歯の歯並びが気になるなどの場合、過剰歯が関係している可能性もあります。歯医者さんによく相談してみてくださいね。子どものきれいな歯並びやスムーズな歯の生え替わりのために、普段から気をつけてあげましょうね。
【ライター紹介】 ちぃ先生
歯科衛生士の有資格者でありながら多くの女性メディアで活躍中のライター・編集者。現在は女性向けの美容メディアやJJなどのファッション誌などに寄稿している。コスメコンシェルジュの資格を持ち、コスメ・美容への造詣が深い。また、サッカー好きが高じてアスリートフードマイスターの資格も取得している。美容と健康に高い関心と知識を持っており、Ha・no・neでは利用者のQOLの向上を目指し、ためになる情報を発信していきたいと意気込んでいる。
・ちぃ先生の手記まとめPART1 ~美容ライター兼歯科衛生士の知恵袋~
・ちぃ先生の手記まとめPART2 ~美容テク&お口の健康講座~