歯を失い引きこもる高齢者が増加!歯を失うリスクとは?
歯を失ってしまったことで引きこもる高齢者が増えている
最近の東北大学の調査では「残存歯が19本以下で入れ歯を使っていない高齢者が、1週間に1度も外出せず引きこもりになる可能性は、残存歯が20本以上ある人に比べ約1.8倍」という結果が出ています。この結果から歯が抜けてしまったことで、引きこもりがちになってしまうということが、明らかになりました。
本来、食べ物を噛むために必要だと言われている歯は、その他にもいろいろな役割を果たしています。つまり歯を失うことは、日常生活に影響を出してしまうということになるのです。今回の場合、実際どのような影響を受けることで引きこもりがちになってしまうのでしょうか?
なぜ歯を失うと引きこもってしまうのか?
食事を美味しく楽しめない
歯を失うことで、はじめに支障が出るのは食事でしょう。噛み切れない、噛み砕けない、咀嚼(そしゃく)できないと食べることの不便を感じるようになります。たとえ1本失っただけでも、この感覚は随分と変わってきます。
また、歯には神経が無数に存在し、味覚に加えそこに伝わる歯ざわりで「美味しさ」を認識しています。そのため、入れ歯やブリッジになることで、その歯ざわりが伝わりづらくなり、うどんなどのコシやおせんべいの堅さを感じたくても感じることができなくなってしまうのです。これは、毎日の生活のみならず、旅行などの外出先の食事に対する楽しみにも大きな影響を及ぼします。
発音の不明瞭で会話をためらう
歯が活躍するのは食べ物を噛むときだけではありません。食事以外に歯がとても重要な役割を果たすのが、会話をするときです。とくに歯擦音と呼ばれる「さ行」は、前歯がなくなることで発音できなくなってしまいます。
なぜなら、歯擦音は前歯から息が漏れる音を使い発音している音だからです。この他にも、「た行」や「な行」なども、この歯擦音を使い発音をしなければならないので、発音が不明瞭になってしまいます。そのため、話をしても相手に理解してもらえないことが原因で、他人と会話をするのをためらってしまうようになるのです。
入れ歯に不快感が現れる
入れ歯の装着に不快感が現れるのも、引きこもりがちになってしまう原因のひとつになっていることがあります。お口に合っていない入れ歯は、痛みや外れやすさなどのトラブルが起こりやすくなります。とくに装着感という点では、入れ歯はインプラントのように人工的な歯根を顎の骨に埋め込んで固定するものではないので、会話中にずれて空気が漏れてしまいしゃべりにくくなる傾向にあります。
また保険診療の入れ歯など、タイプによっては入れ歯が動かないようにするために他の歯にバネを引っ掛けなければなりません。すると、口を開けたときにバネが見えるので見た目が気になってしまします。
笑顔に悪影響を及ぼす
歯は、表情に大きな影響を及ぼします。健康的な歯の場合、咀嚼筋や表情筋をしっかりと動かすことができるので、豊かな表情を作ることができ、笑顔もさらに魅力的になります。しかし、歯を失うとこれらの筋肉が衰えてしまうので、口角をキュッと引き上げて笑うことが難しくなります。思うように表情を作れないことで、他人と顔を合わせることに後ろ向きになってしまい、引きこもりがちになるようです。
歯を失うことで引きこもらないために
このように、人は歯を失うことで引きこもりがちなる可能性が高まります。本来は楽しいはずのおでかけや食事、会話が億劫になってしまうのです。そのため、将来的に歯を失わないように心がけることが大切です。みなさんも、ご自分の歯を大切にして、自分が高齢者になったときに歯を失うことがないようにセルフケアに努めましょう。併せて積極的に歯医者での定期検診を受診することをおすすめします。